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骨の奥、矜持抱えて 映画「沈まぬ太陽」主演・渡辺謙

大人であることに価値があった頃の男を演じられる二枚目がいない。今の男優が大人の重みや渋みを表現しようとしても、力んでいるようにしか見えない。

 原作をもう一度読み返してみて「あれっ」と思った。「恩地は結局何も成し遂げていないんですよ。すべてが道半ばで終わっている。どう演じたらいいか雲をつかむようだった。これはもう、恩地と一緒に走り、一緒に悩むしかないと切り替えた」

 恩地は理想を求めて不遇を嘆かず、30年にわたり、会社の収益至上主義と闘い続ける。しかし「彼は決して信念の人ではない」と渡辺は言う。「もう辞めたいと思ったことが何度もあったはず。彼を押しとどめたのは表面的なプライドではない。悩み苦しみをそぎ落とし、それでも骨の奥に残った矜持(きょうじ)です」

「何のために企業が存在するのか、その理想に立ち返る時に来ている。僕らは、自分たちが抱えてきた『負』の部分をきちんとテーブルに上げるような作品を作っていかないといけない」