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【日本の未来を考える】東京大・大学院教授 伊藤元重 “オオカミ”は必ず来る

 政府がこれだけの債務を抱えていても国債利回りが低いのにはいくつかの理由がある。第一には、世界的な不況と金融危機の影響で、資金が安全な国債に逃げているからだ。第二には、日本の国民の潤沢な貯蓄が国債を支えているということがある。そして第三には、まだ国民の税負担率が比較的低い日本では、政府が大幅に増税をすれば財政健全化をすることが可能であると市場が判断していることがあるだろう。

世界的な不況と金融危機が遠ざかれば、資金がリスク資産に移動しはじめ、世界的に金利は上昇しはじめるだろう。日本の金利もある程度はそれにつられるはずだ。また、国債を支えている国民の貯蓄だが、高齢化が進む中で日本の家計の貯蓄率が急激に低下し、いつまでも膨大な国債を支えきれるかどうか分からない。そして増税の可能性であるが、今の政治状況の中では増税はなかなか難しそうである。また、政府債務がさらに拡大していけば、増税でカバーできる余地を超えてしまうかもしれない。デフレで政府の税収が落ち込んでいることも、財政状況をさらに厳しくしている。