小林吉弥氏による最新の獲得議席予測では「民主68議席」「自民33議席」と民主の圧勝となるが、仮に、小沢氏が東京地検特捜部に立件された後も幹事長職などに居座った場合、「民主党は50議席台となり、単独過半数割れもあり得る」という衝撃的な分析となった。
まず、与党陣営。鳩山由紀夫首相(代表)率いる民主党は「単独過半数獲得」に全力を挙げているが、小林氏は「選挙区49、比例区19の計68議席」と、改選前から15議席増の大勝利を予測する。
「事件の影響はあるが、政党支持率を見る限り『好民主、嫌自民』は定着しつつある。首相の指導力不足はマイナスだが、丁寧な発言などで救われている。来年度予算案も、まずまずの評価。批判も多いが、小沢氏による幹事長室への陳情一本化は効いている。業界団体や地方自治体の自民党離れが相当進んだ」
「民主党の足腰は強くなった。29ある1人区で民主党は26議席はいく。12ある2人区の半分(12議席)、5つある3人区でも8〜10議席はいく。圧勝した選挙の次は2割程度の揺り戻しがあるものだが、現状ではそこまではいかない。まだ、有権者の『自分たちが作った政権だ』という意識が強い」
一方の野党陣営。
自民党の谷垣禎一総裁は「みんなで努力して参院選勝利につなげていきたい」と意欲をみせているが、「選挙区19、比例区14の計33議席」で、改選前から12議席減という惨敗だ。
「通常国会で、民主党政権を『政治とカネ』で攻めているが、決め手にかける。政策論争の深みも打ち出せていない。候補者の3分の1が現職で、高齢化が深刻。新陳代謝ができていない。党内で路線対立や世代間対立があり、いまだに党再生を明確に打ち出せない。谷垣氏の指導力は鳩山首相以下だ。人材も枯渇している」
「自民党の選挙マシンだった派閥が無力化し、候補者は個人で戦うしかない。選挙手腕のある二階俊博氏が選対局長を辞めたのも痛い。頼りの自公協力も崩壊した。本来、求心力を高めて戦う選挙に、遠心力が働いている。選挙前に、舛添要一前厚労相や中川秀直元幹事長らが離党したら、選挙にならない懸念がある」
ただ、そこに大きな影を落としているのが小沢氏に対する事件捜査だ。
「仮に特捜部が、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で(小沢氏を)立件した場合、『形式的なミス』と主張する小沢氏はそのまま徹底抗戦するのではないか。問題は、それを世論や党内がどう受け止めるかだ。小沢氏が幹事長続投を納得させられなければ、内閣支持率や政党支持率は急落する。参院選の獲得議席も50議席台となり、単独過半数は夢となる」
「一方、一部で指摘される所得税法違反(脱税)容疑での立件となれば、小沢氏は幹事長を辞職し、離党せざるを得ないだろう。そうなると、民主党はスッキリする。事件で抱えた後ろ暗いイメージも払拭できる。ただ、選挙指揮や与党内調整を担っていた小沢氏の離脱は痛い。剛腕幹事長がいなくなれば、国民が民主党に『ひ弱さ』を感じるマイナスも出る。小沢氏の存在はそれだけ大きい」
当然だが、小沢氏が立件されなければ何の問題もない。果たして、特捜部はどのような最終決断を下すのか。