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〔アングル〕大手行の国債投資方針定まらず、景気回復・追加緩和めぐり思惑

主要な債券投資家であるメガバンクなどのマネーセンターバンクが、新年度入り後も積極的に国債を買ってこない状況が続いている。

長期金利の上昇に見られる米国を含めた世界経済の回復基調が鮮明になり、日本株の上昇や円安基調も手伝って日本の長期金利も上がるのではないかとの思惑がくすぶる一方、日銀の金融政策スタンスが政府と歩調を合わせるようにデフレ克服に主眼を置き、さらに追加緩和を実施する可能性もあるとの思惑も出ていることが背景にある。

ファンダメンタルズを重視するべきか、日銀のデフレ対応に配慮するべきか、銀行勢の気迷いは、4月末の次回日銀金融政策決定会合まで継続する可能性がある。

 金利低下が目立った4月1日。複数の市場関係者によると、主役はゆうちょ銀行や地方銀行だったという。しかし、その後の店頭市場では目立った資金流入はなく、財務省が6日実施した10年国債入札もさえなかった。預金取扱金融機関が抱える余剰資金は少なくない。通常、こうした資金は国債市場に流れ込むが、その流れが鈍っている。運用先は中短期なのか長期なのかと悩んでいる投資家が多い――。外銀の幹部が指摘するのは、市場参加者の間で「中央」と呼ばれるマネーセンターバンクの投資行動だ。

 デフレ脱却へ現在の緩和的な金融政策が長期化したり、さらに強化される方向なら、償還期間の短い債券が選好されやすい。一方、景気回復に伴い利上げが視野に入るようなら、償還期間の長い債券に投資するのが一般的とされる。ところが、足元の雰囲気はそのいずれでもない。「金融政策の影響を受けにくいとの消去法的な理由で、長期ゾーンを物色する動きにとどまっている」と外資系金融機関の関係者は話す。償還年限ごとに性質の異なる債券売買は、難しい舵取りを迫られている。

 さらに銀行勢を悩ませているのが、好転するファンダメンタルズを重視して投資計画を決めるべきか、それとも日銀のさらなる緩和を想定して国債運用を決めるべきなのかという問題だ。新興国だけでなく、米国の経済指標も想定よりも強めの結果が多くなってきており、国内を見ても、3月日銀短観やその他の経済指標の中に景気回復を示すデータが多くなり、日経平均も1万1200円台まで戻ってきた。輸出企業の収益に直結する為替動向も、ドル/円が93 94円台まで円安方向に戻り、輸出企業の収益がさらに上振れする可能性も出てきた。

 ある都銀関係者は「教科書通りなら、国債を高値で買うことはリスクが大きい。海外勢が売り仕掛けしてきている中で、4 6月の国債投資をやや抑え目にする選択肢もある」と話す。一方で、日銀がさらに追加緩和に動き出すなら「5 10年ゾーンの購入をかなり多めにして、収益計画を固める必要が出てくる」と述べる。しかし、日銀がどうするのか7日の白川方明総裁の会見を聞いても「景況感は強めにしているが、本当に緩和打ち止めか言質を取られないようにしている」(別の都銀関係者)との受け止め方が多い。結果として「(運用計画をどうするのか)決断するところまで行っていない」(先の都銀関係者)という状況になっているという。

 一方で「最近の金融政策は政治的判断に委ねられており、日銀に当事者能力はない」(国内証券)と、冷めた声も残っている。