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日銀による国債引き受けは一度使うと止まらない“麻薬”|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

「需要不足があるときに、日銀に10兆円程度国債を引き受けさせたところで、ハイパーインフレになるはずがない」という声も聞こえる。それはそのとおりだ。しかし、一度政府がその“打ち出の小槌”を使い始めたら、節度が失われるだろう。そういった事例は古今東西、枚挙にいとまがない。


 近年でいえば、1990年の中南米(カリブ諸国を含む)の平均インフレ率は480%。また、93年に年間インフレ率が100%を超えていた国は世界で24ヵ国、そのうち1000%を超えていた国はじつに12ヵ国もあった(IMFのデータより)。それらはすべて、税収の裏づけのない歳出を政府が行い、中央銀行が紙幣を何年も刷り続けた結果である。


「いや、今の日本の政治家には高い財政規律が備わっているから心配はない」とあなたが信じるなら話は別だが、もしそうなら、政府債務はここまで巨大に積み上がっていないはずである。

 32年からの高橋是清財政を成功例として持ち上げる声がよく聞かれるが、あれは成功例だったのだろうか。ロンドンではポンド建て日本国債は暴落し、ジャンク債扱いになった。二・二六事件で暗殺されていなくとも、高橋が日銀国債引き受けを停止することは当時容易ではなかっただろう。大蔵省理財局国債課長を務めた、西村淳一郎氏は次のように記している。


「(日銀国債引き受けを)初め非常に心配して、こんなことをしてえらいことになるのではないかと相当議論の的になっておったのが、これは簡単にできるよい制度だというような空気に変わった」「世間はそれに慣れてしまって引受制度はあたりまえ、本来かくあるべきものだと考えていた」


 日本は近い将来、高齢化によって貯蓄が減少し、海外投資家に日本国債を買ってもらわねばならない比率が緩やかに高まる。それまでに、日銀国債引き受けによって日本国債の格付けが悲劇的に低下していたら、海外投資家は高いリスクプレミアムを要求するか、あるいは購入を拒むだろう。


 そうなると、もはや日銀は国債引き受けをやめられなくなる。一度始めると、破綻に行き着くまで止まらなくなるメカニズムがそこに内包されている。

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