■ - d1021の日記

登場は私の大好きな紫ベルベットのキラキラ衣装。メイクはトート、鬘はナシ。一幕最後の曲（♪お前に命、許したために〜）で。客席後方からではなく、舞台袖から。エリザベートのお茶会なので、左右のお立ち台はなし。昨年は11曲歌ったけど、今日はエリザベートだから3曲くらいしかない、とのこと

で、乾杯。クリスマスイヴイヴに全くクリスマスと関係ないディナーショー形式のものって、世界中で私だけなんじゃないか。（エリザベートの世界から）抜け切れていない訳ではないけれど、抜け切れてない。このあと、シメさんがエリザベートにこだわる理由をお話し下さいました。

『うたかたの恋』でアキレス腱断裂したあと戻ってきたときに劇団事務所でエリザベートの扇を持った人がいて、「これ次の公演で」というようなことを言っていて「ルドルフのお母さんですよね、私好きなんです」「それがミュージカルなんだけど」というようなやりとりがあって。

退団二十日後に阪神淡路大震災があって、ヨーロッパ旅行に行くつもりだったのが没になって、そのあと一路と一緒にウィーンとかスイスとか廻る旅行をしようといって、最後のウィーンで小池先生と花總が待っているので『エリザベート』っていうミュージカルを観ることになっているから一緒に観よう、と

そこで初めて『エリザベート』を観たんだけど、隣が一路でその隣がミーミルちゃんで。ドイツ語上演だったけれど、歴史的背景とか分かっているから観ながらずっと感動していて、ところが一路は「あれどういう意味？」って何度も聞いてくるからその度に教えてあげたんだけど、黙って観させてくれ〜、と

子ルドルフが登場したときにダァーっ泣きました。「そっか、そっか、そっかぁ〜」このときからもう“死”が傍にいたんだよ〜、って。「これを演るの？　い、一路さん？」みたいな感じで。隣にいるエリザベートのことを何も分かってない人が、って。あー、だから余計に悔しかったんですねぇ。シメさん

そこに小池先生もいらして、宝塚でこれを演ろうと思った、って。「え〜〜〜〜、あたし辞めてるやん」…でした。で、一路は終わった瞬間に「ねぇねぇねぇ、このミュージカルどう思う？」って「めっちゃ、似合うやんねー」「へぇ〜、そうなんだ」その人が主演ですよ！　そりゃ18年間引っ張るでしょう

↓なんかこのシメさんとイチロのやりとりの温度差が想像出来て面白い。そこからシメさんの『エリザベート』封印が始まったそうです。でも今回のガラコンで嬉しかったのは小池先生がプログラムにそのことを書いてくれていて、諸々の想いが全部降りた気がしたそうです。

小池先生はトートを人間ではないモノにするだろうなって理解出来たし、ドラキュラに近いんだろうな、魔物にしたら素敵だろうな、って自分が演出家になったように思ったし、実際に幕を開けたらそうなっていた。これが一生の悔いというか、思い残すことになるなと思いました。

宝塚を辞めたことによって宝塚を観ることが出来なくなっていたし、またそれと違う問題で『エリザベート』というものを一生演じることは出来ないので観るのは辛いから封印してしまう。絶対観ない、悔しいから観ない、そう思っていた。あやかのサヨナラは行かせて頂きました。

誕生日に最前列で観たので、リカルキーニに「今日は紫苑ゆうさんが来てます」って言って、客席全員が「♪ハッピーバースデートゥーユー」って歌ってくれて、今までの誕生日の中であんなに華やかな誕生日はなかった。悔しさのひとつとして、何故雪組の後に我が星組で上演したのか、って。

ちゃんとしたガラコンサートで相手役もいて、アンサンブルもいて、まさか自分の人生でこんな形でトートを演らせて頂くなんて、夢が叶うとはこのことだ、奇跡とはこのことだと思いました。現役の時にこの公演が廻ってきたら、先日のようなトートは出来なかったと思っています。

現役の時だったら全然違ったトートだったと思うし、私だったら出来なかったかもしれない。やはり一路真輝さんだったから出来たと。今回いろんなことが腑に落ちたというか、私はやっぱりダメだったな。今だから出来たんだなと、とても思い知りました。

在団中にミュージカルが廻ってきたことがなく、宝塚歌劇は芝居があって歌が何曲か入るけど、こういう海外ミュージカル、特に『エリザベート』は殆どが歌で、その大変さは初めてキッチリと公演として参加させて頂いて、なんていう甘い考えで「トートをしたい」って言ってたんだろうと思いましたし、

勉強になりました。この歳になって勉強させて貰えるって、ありがたいなーと思いました。