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バーナンキ米FRB議長の発言要旨

 <FRB監査法案について>

 
 「FRB監査法案が通過すれば、FRBの直近の金利決定に不満を持つ議員が「よし、私が監査しよう」ということになるだろう。それは基本的には、FRBの独立性はく奪に向けた一歩になるとみられる。金融政策は目先の政治的配慮ではなく、長期的な視野で決めることが望ましいという考え方は、全世界で非常に強く支持されている。中銀は金融政策の決定に際し、一定の独立性が必要だ。法案が通過すれば、独立性が非常に大きな打撃を受ける」

 
 <インフレ> 


 「われわれは、銀行がFRB保有する準備額を増やしマネタリーベースを拡大させた。これがインフレを誘発するとの意見もあるが、個人的にはそうした兆候はあまりみられないと考えている。インフレ期待はかなり抑制されているし、FRBはインフレが問題になる前に刺激策を解除するために必要なあらゆるツールをもっている」

 
 <GSE改革>

 
 「しばらく放置されてきた主要分野が、危機の初期段階で政府管理下におかれた連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)や米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)などの政府系住宅金融機関(GSE)だ。この問題はあまり進展がなく、対応が必要だ」

 
 <債務上限の象徴的な価値>

 
 「象徴的な価値があると思う。他の国にはこうした制度はない。分別のある歳出計画と分別のある歳入計画を立案し、政府をどこまで大きくするか、どこまで小さくするかを決めることがポイントになる。ないほうが良いが、なくすのは無理だろう」 


 <先行きを「慎重ながらも楽観」>

  
 「私は景気の回復を望んでいる。労働市場の改善を望んでいる。財政政策への対応を望んでいる。明らかに困難な問題が多数存在する。ただ、物事は動いている。望ましいほど早いペースではないが、正しい方向に動いている。したがって、今後2─3年については慎重ながらも楽観している」

 
 <債務上限問題への対応としての1兆ドル硬貨発行>

 
 「この問題への適切な対処法ではないと考えている。法律面の問題、政策面の問題がある。正しい対応策は、先ほど指摘したように、議会が想定されていることをやり、やるべきことをやり、債務上限を引き上げ、債務の支払いを可能にすることだ」

 
 <消費者信頼感>

  
 「消費者はより楽観的だ。財政政策が過度に混乱しなければ、消費者はもっと前向きになるとみられ、これはポジティブな要因だ。ただ、前進してきたことは確かだが、まだ満足するにはほど遠いということを明確にしなければならない」

  
 <住宅部門>

 
 「明るい材料の一つが住宅だ。2007年、2006年以来初めて建設増と価格の上昇がみられ始めており、これは家計の富に影響する。2013年と2014年の状況改善にとって明るい要素だ」

 
 <量的緩和の成功>

 
 「これまでのところ、一定の効果が出ていると考えている。まだ少し早いが、全体としては、3回繰り返したことで、長期金利をかなり大幅に引き下げることができたのは明らかだ。住宅ローン金利が明確な証左となるだろう。30年物住宅ローン金利は現在3.4%程度と、信じられないほど低い。これにより住宅が以前よりも手に届きやすくなっている」


 「大まかに言って、効果的なツールであると認識している。ただ、今後も引き続き効果を検証する。時間の経過とともに状況が変化し、ツールの効果が変わる可能性があるためだ」


 「ただ、短期金利がゼロに低下しても、FRBは弾切れにならないということは、はっきりと示した。できることは残されているし、実行はしてきた」 

 
 <債務上限>

 
 「議会が定期的に行わなければならない債務上限の引き上げは、既存の勘定を支払う能力を政府に付与するものだ。新たな赤字、新たな歳出は生み出さない。債務上限を引き上げないというのは、「クレジットカードの請求を無視すればお金を節約できる」と言って格付けの引き上げを目指す世帯のようなものだ。議会が債務上限の引き上げに必要な行動をとり、政府が勘定を支払えない状況を回避することが非常に重要だ」 


 <米国は難局を脱していない>

 
 「財政面で他にも極めて重大な分岐点が多数迫っており、難局を脱したと言える状況ではない」


 「政府の財源、財政の崖をめぐる合意の一環で2カ月先送りされた自動的な歳出削減、悪名高い債務上限といった問題が今後浮上する」