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人間の心は、動き続けるものだから。@ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌

 正塚節満載の会話だとか、普遍のテーマ「自分探し」×3だとか、薄暗い舞台にモノトーンの衣装、コロス多用だとか、行き交う雑踏の人々だとか、お約束に満ちていることだけでなく。

 いつまでも「あの国」「あの戦争」の話をし、やりたいのはストレートプレイの会話劇なのに、仕方なく無理矢理ダンスシーンを入れるために、主人公を「クラブ・オーナー」とか「クラブのダンサー」とかにし、忘れた頃に主人公が1曲長々と歌って「ミュージカルだから仕方ないんだ、さあ、銀橋ソロやってやったから、あとはもういいよな」とまた会話劇、えんえん続く録音モノローグ、主人公はまともに恋愛しない、しても「タカラヅカがたら仕方ないんだ」という言い訳程度、クライマックスも盛り上がりもなく、自己満足な「男の美学」で終了。

 正塚せんせの間違ったハードボイルド観が炸裂しているときって、主人公に友だちがいないの。
 クールで孤独な男こそ至上!と思うあまり、根本をまちがえてしまう。
 クールでも孤独でもいいけど、それと「他人すべてを軽んじている」ことは、別。
 べたべたした恋愛や友情を繰り広げる必要はない。
 主人公が人間を愛し、尊んでいること。根底に人としてまっとーなものがあり、表面的にはクールで孤独、「男が憧れる男」であればいい。

 どんだけクールぶっても悪ぶっても、BJが愛情深い人だということが見える。
 なにしろBJなので女性と恋愛はしないけれど、恋に匹敵する深さで他人とつながっている。関わり合っている。