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そぎ落とすことで多くを創出する 映画「フライト」 デンゼル・ワシントンさんインタビュー

 オスカーを2度も獲得した俳優は何が違うのか。映画「フライト」(ロバート・ゼメキス監督)のプロモーションで来日したデンゼル・ワシントン(58)は記者団の質問に「Less is more」と即答し、そぎ落とすことでかえってより多くを創出する大切さについて、穏やかな口調で述べた。この俳優哲学は幼少期に母親から学んだそうで、「よく『物事をシンプルに考えなさい』と言われましたね。反抗期には母の話を聞かないときもあったけれど」と懐かしそうに振り返った。

 物事をシンプルに考えて行動するように意識し始めると、いつの頃からか、簡素な人生をじっくりと味わうのが楽しみとなり、「日々、そのときそのときを一生懸命に生きることこそが大切。過去は一切振り返らない」といった境地に至った。ワシントンは、常にその哲学に忠実であるよう努めており、本作で初めて演じることとなった飛行機のパイロット役についても、不安よりワクワクする気持ちが勝ったという。「事前に長い期間役作りのための準備をするし、撮影中も毎日十分な準備をしている」。毎日を全力投球で勝負する心構えさえあれば、何も怖くはないということなのだろう。

 物語の柱の一つは、力ずくでも正面から向き合おうとするウィトカー機長と、それに強く反発する息子とのぶつかり合いだ。この衝突を経てウィトカー機長は、生きていくために本当に必要なことは何かを模索するようになる。ワシントン自身はといえば、息子に対しては、自分が親から学んだことを教えているという。シンプルに考えることはもちろん、「一生懸命努力をする。人生ではそれが結果を生む」と伝え、さらに言えば「すべきことを一生懸命すれば、やりたいことができる。簡単に言えば、勉強すれば遊べるということ」と諭しているそうだ。

 では、今後、取り組んでみたい仕事は? 基本は「脚本を読んでハッと思うもの」であることを強調し、来年はまたブロードウェーに戻り、2015年には映画監督として作品を手がける−とすらすらと答えてくれた。「舞台も好きだし、役者がいい演技を見せてくれたときの喜びも映画監督の醍醐味(だいごみ)だしね」。

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