去年12月の衆議院選挙は選挙区ごとの1票の格差が最大で2.43倍と前回、4年前よりもさらに広がり弁護士などの2つのグループが「国民の意思を反映した正当な選挙と言えず、憲法違反だ」などと主張して、全国14の裁判所に選挙の無効を求める訴えを起こしています。
このうち宮城県の選挙区を対象にした裁判の判決が14日、仙台高等裁判所で言い渡されました。
判決で宮岡章裁判長は、「憲法違反の状態だと指摘したおととしの最高裁判決から今回の選挙までのおよそ1年9か月の間に不平等を解消することが不可能だったと認めることはできない」と指摘し、4年前と同じ区割りのまま行われた去年の衆議院選挙は憲法に違反するという判断を示しました。
一方で、選挙を無効とすることまでは認めませんでした。
宮岡章裁判長は「投票価値の不平等を是正するために必要な合理的期間は、選挙時までに経過していた」と判決理由で指摘した。
2009年の衆院選について最高裁大法廷は11年3月の判決で、各都道府県にあらかじめ1議席を配分する「1人別枠方式」による最大格差2・30倍の区割りは違憲状態にあり、速やかに改めるよう求めた。これを受け昨年11月に小選挙区の議員定数を「0増5減」する選挙制度改革関連法が成立したが、昨年の衆院選には適用されなかった。
【1票の格差】昨年の衆院選「無効」と言い間違え? 仙台高裁
【1票の格差】昨年衆院選は違憲状態、無効請求は棄却 名古屋高裁
名古屋高等裁判所の加藤幸雄裁判長は判決で憲法違反の状態だったとしたうえで、「ねじれ国会の状況だったことなどを考慮すると格差が是正されなかったことを一概に国会関係者の怠慢だと非難することはできない。国会の対応が与えられた裁量の範囲を逸脱するものとまではいえず、憲法に違反するとはいえない」という判断を示し、訴えを退けました。
名古屋高裁の判決のあと原告の弁護しグループが記者会見し、「ひと言いうと不当判決だ。『ねじれ国会』の状況になることは今後もありうるなかで、国会がねじれ状態ならば、制度の見直しに時間がかかってもいいのか。全く評価に値しない判決で直ちに上告したい」と話していました。