インタビュー:国債1500億円の純増目指す=朝日生命運用計画
朝日生命保険は、2013年度の一般勘定資産の運用計画において、国内公社債を1500億円程度積み増し、円金利資産中心の安定的な運用を継続する方針を明らかにした。
ただ日銀の追加緩和政策により低金利が続く場合には外国債券への振り向けを検討し、現状9割強のヘッジ比率の引き下げも視野に入れる見通し。一方、国内株式などリスク性資産は引き続き削減していく。
朝日生命によると、国内公社債の12年度末残高は2兆9300億円程度。12年度下半期にかけた国内金利の低下を背景に前の期から300億円程度減少した一方、外債の積み増しが目立ったという。外債は12年度末残高の2000億円程度を維持する見通しだが、「足元のような低水準の国内金利が続く場合には、国内公社債の積み増しを慎重にし、一部を外債に振り向ける」(小野氏)といい、相場動向に応じて機動的に対応していく姿勢を示した。
外債への振り向けでは為替ヘッジなしのオープンで投資する手法も視野に入れる。従来はフルヘッジが基本だったが、12年度下半期の外債積み増しにより、ヘッジ比率が9割強まで低下した。小野氏は「米金融緩和の出口戦略の時期が明確にみえてくれば、為替の方向性も見通しやすくなる。さらなる円安が見込まれると判断すればヘッジ比率の引き下げを検討する」と述べる。地域別では12年度末の米国6割、欧州3割、豪州1割の比率を基本とし、欧米比率で多少の増減はあると含みを持たせた。
10年国債利回りの予想レンジは0.3─0.9%で、13年度末の水準は0.7%の見通し。米金利は同1.5─2.6%で年度末2.0%を見込んでいる。為替はドル/円がレンジ90─110円、年度末100円、ユーロ/円が同112─143円、同127円とした。
国内株式の12年度末の残高は2300億円程度となり、前の期から約600億円削減した。足元ではアベノミクスへの期待感などから市場環境が改善し、株価上昇への期待が高まっているが、「リスク資産の圧縮方針は変わらず、国内株を積み増すことはない」と小野氏は述べた。日経平均のレンジは1万1000円─1万4500円、年度末1万3500円を想定している。
貸し付けは12年度末の6500億円程度から約200億円圧縮する。ヘッジファンドなどオルタナティブ投資は中身の入れ替えを行うものの、500億円弱の残高を維持する見通し。不動産も横ばいを見込む。13年度末の一般勘定ベースの運用資産は12年度末の約5兆6000億円と同程度となる計画だ。
日銀の金融政策に関して、小野氏は「発行額の7割にあたる日銀の国債買い入れは驚きだった。当面は金利が上がりづらい期間が続くだろう。政府・日銀は2年で2%の物価上昇率を目標としており、実現すれば金利上昇が期待されるが、現時点ではその効果が見通しづらい。アベノミクスでいう2本目、3本目の矢とセットになって物価上昇率2%が実現性を帯びてくるので、今後発表される財政政策や成長戦略を見極めたい」と語った。