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今週はリスクオン相場の試金石、読みにくい米指標への市場反応 | Reuters

経済指標が強い場合、金融緩和期待は後退するのか、それとも力強い経済を評価するのか、一方、指標が弱い場合、緩和継続期待が高まるのか、それとも弱い経済に失望するのか。短期過熱感が強まるなかで市場の反応が注目されている。

足元のリスクオン相場は、イエレン次期FRB議長候補のハト派発言で加速したが、最初に火をつけたのは前月8日に発表され非農業部門雇用者数が上振れた10月米雇用統計だ。景況感が改善しながら、金融緩和期待も途切れず、株価が上昇したことで、強気なマーケットセンチメントが醸成された。


それから1カ月、11月米雇用統計が発表される今週から来週前半にかけてが、「リスクオン相場の持続力を占ううえで、非常に重要な期間になる」(国内銀行)という。市場に過熱感が強まっている中で、経済指標を受けてさらに相場が上昇を続ければ、年末ラリーが期待できる。しかし、材料出尽くしムードが広がれば、これまでの急ピッチの上昇の反動が大きくなる可能性がある。


今週は、雇用統計以外にも、11月米ISM製造業景気指数など重要指標が目白押し。経済指標が良かった場合に、強まるテーパリング(緩和縮小)観測の影響を最小限にとどめ、素直に経済改善を評価すれば、米株高とドル高・円安が期待できるため、日本株にとっては最も良いシナリオになる。逆にテーパリング観測が強まることで、過熱感の強い日米株が調整に入れば、株価との連動性が高くなっているドル/円は弱含む可能性がある。この場合は日本株にはダブルパンチだ。


一方、経済指標が弱い場合も2つの反応が考えられる。1つは素直に経済指標の悪化を嫌気する場合だ。10月雇用統計以降、盛り上がっていた景気回復期待に水を差し、緩和マネーはいったん巻き戻される可能性がある。一方、金融緩和の長期化観測が強まれば、株価が下支えられる期待もある。

市場の反応が予想しにくくなっているのは、株価や為替相場が微妙な水準にあることも一因だ。短期的な過熱感は強くなっているが、バリュエーション面でみれば「バブル」的になっているわけではない。


米ダウ.DJIとS&P500.SPXは過去最高値水準で推移しているほか、出遅れていたナスダック.IXICも13年ぶり高値まで上昇してきた。ダウは前週まで調整らしい調整がなく8週連続の上昇と1998年以降での最長記録に並んでいる。


欧州株もドイツ株が最高値水準にあるなど、依然として上昇基調が途切れない。また欧州通貨は、ユーロ/円が139円台まで上昇し、リーマンショック後の高値を更新した。「債務危機の後退で欧州に緩和マネーが流れ込んでいる」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)という。


ただ、日米欧ともに企業業績は堅調で、日経平均の予想株価収益率(PER)は16倍程度とバブル崩壊後の平均15─16倍のレンジ内。米S&P500社の4四半期(13年第3・四半期―14年第2・四半期)の予想PERも15.4倍だ。


景気も改善基調を強めている。日本では7─9月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、設備投資額(ソフトウエアを含む)は全産業で前年比1.5%増と、小幅の伸びにとどまったが、基調は強いとの見方が多い。


三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉氏は「法人企業統計の設備投資はサンプル修正などの影響が出ている可能性がある。企業の設備投資意欲は高まっており、実勢はもっと強い」と話す。


設備投資に火が付けば、持続的な経済成長が期待できる。来期以降を見渡せば、日本株は上値余地は大きいとの強気は少なくない。ただ、株価が急落すれば、ようやく盛り上がってきた個人や企業のマインドに冷や水を浴びせかねないだけに、警戒感も大きい。