人間は、自分が分割されない個(individual)として、掛け替えのない1回限りの生を生きる存在であることを自覚するとき「人格」となる。またそのとき初めて、自分ではない他のすべての人間と向かい合い、他の人間を自分とは分かたれる別の存在として認識し、なお自分と共に生きる「他者」として経験する可能性をもつ。こうして個としての自我意識を核としながら、自分に向かい合う世界を対象化して捉えていくことができるようになる。そこに文化を生み出し、歴史をつくり出していく「人格的前提」があるといってよい。
神々に争いがあるから。