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焦点:イラク介入に「及び腰」の米政府、軍事支援も効果は限定的か | Reuters

オバマ米大統領が国民の間で極めて人気の低かったイラク戦争終結を宣言してからおよそ2年半。武装勢力の猛攻にさらされているイラク政府に対して、米政権が実行し得る支援策は極めて少なく、検討されている空爆すらもその効果には疑問符が付いているのが実情だ。

イラクでは米軍が訓練を施した治安部隊が敗北し、北部の都市が次々と陥落。米政府当局者によると、想定を上回る速さで展開する事態に、米国がこれを制御するのは難しいのではないかとの懸念が生じたという。ある米政府高官は「これはかなり厳しい状況だ」と述べた。


ホワイトハウスに近い関係筋によると、米政府の対応が失敗した際のリスクを緩和するため、オバマ政権は段階的な支援策を選択する可能性がある。まずイラク軍の支援にとどめ、さらに状況が悪化した場合は、より直接的な軍事行動をとるといった方法だ。


イラク支援策をめぐる最大の焦点は、戦闘機または無人機による空爆を行うかどうかという点だ。国防総省が13日の会見で「動的攻撃」と呼んだこうした作戦は、米海軍の空母またはトルコのインシルリク空軍基地から行われる可能性がある。また同省は、米海軍のジョージ・ブッシュ空母戦闘群がすでに「現場に」展開していることを明らかにした。


米軍が空爆に踏み切れば、イラク政府を存続させることへの米政府の決意を武装組織に示すことができると考えられている。その一方で国家安全保障当局者は、空爆が、移動を続ける武装組織に的を絞り、どれだけ戦闘能力をそぐことができるのか懐疑的にみている。


安保当局者らは、空爆により都市やインフラに壊滅的なダメージを与えれば、危機を悪化させる可能性すらある、と危惧する。またもう一つの大きな懸念として、誤爆で友軍や民間人に被害が及ぶ危険性がつきまとう。

オバマ大統領は13日、イラクでの軍事行動は「的を絞った的確」なものになるだろうと述べた。これは民間の犠牲を防ぎつつも、米国民をイラクの宗派間対立の泥沼にひきづりこまれないようにしたいという政権の慎重な姿勢の表れとみられている。


事情に詳しい元米政府当局者は、オバマ政権は米軍の関与を極力抑えようと模索していると指摘。国防総省が提案する武器供与や兵員訓練、空爆などの支援に踏み切るかは極めて懐疑的だと語った。この元当局者によると、大統領と側近は、イラク政府への武器売却を増やすことに焦点を当てる一方、ISILに対する無人機を使った攻撃の提案には消極的だという。

米政府の元高官で、米ブルッキングス研究所のケン・ポラック氏は、米政権は対策を迫られているが、提示された案はいずれも「基本的に、現状に何ら効果を及ぼすことのない」ものばかりだ、と指摘。


さらに、イラクのマリキ政権は少数のスンニ派を疎外しており、米政府がシーア派政権に肩入れしているとの見方が広がれば、事態はより一層複雑なものになりかねないと警告した。