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トルコ 国民が直接選ぶ初の大統領選 NHKニュース

トルコでは憲法改正に伴って、国民が直接、大統領を選ぶ初めての選挙の投票が今月10日に行われます。
この選挙にはエルドアン首相が大統領を目指して立候補し、2003年以降、イスラム的価値観を重んじながら経済発展を実現した成果を強調して初当選を目指しています。
これに対し、野党第1党と第2党が統一候補を擁立し、激しい選挙戦となっています。
エルドアン首相は選挙戦で、「国民に直接選ばれる大統領は、これまでとは異なる意味を持つ」と述べて、象徴的な存在だった大統領の権限の強化に乗り出す構えを見せていて、国の行方を大きく左右する選挙に注目が集まっています。7日に発表された最新の世論調査では90%以上が「投票に行く」と回答していて、国民が高い関心を寄せていることがうかがえます。今週、エルドアン政権を巡る汚職疑惑の捜査を担当していた警察官が多数拘束され、野党側からはエルドアン首相が捜査を妨害するために強権を発動していると批判が相次いでいて、エルドアン首相が大統領に就任すれば、強権的な支配につながるという懸念も強まっています。

トルコでは、これまで大統領は議会の議員の投票で選ばれる象徴的な存在で、政治的な権限は限られていました。
しかし、憲法改正によって、今回の大統領選挙はトルコ史上初めて大統領を直接、国民が投票によって選びます。
立候補しているエルドアン首相は当選すれば、大統領の権限を強化し、大統領制への移行を目指す考えを明らかにしています。
このため、今回の選挙はトルコの政治体制そのものの行方を左右する選挙と受け止められています。今回の選挙には合わせて3人が立候補し、1回目の投票は今月10日に行われ、過半数を獲得する候補がいなければ、今月24日に上位2人による決選投票が行われます。
エルドアン首相のほかに野党第1党と第2党が統一候補として擁立したOIC=イスラム協力機構の前事務局長、イフサンオール氏(70)と少数民族クルド人などの権利拡大を訴えているクルド系政党の党首、デミルタシュ氏(41)が立候補しています。
世論調査では、エルドアン首相の優勢が伝えられていて、1回目の投票でエルドアン首相が過半数の票を獲得できるかどうかが焦点となっています。

トルコのエルドアン首相は60歳。
イスタンブール市長を経て、2003年に首相に就任して以降、11年にわたって政権を率いています。
トルコは建国以来、政治と宗教を厳格に分ける政教分離を国是としてきましたが、エルドアン首相は伝統的なイスラムの価値観を重んじる政策を進めています。
エルドアン政権は、都市開発やインフラ整備など大規模な建設事業に力を入れるとともに、外資を積極的に呼び込んで目覚ましい経済発展を実現し、1人当たりのGDPはこの10年で3倍以上になり、1万ドルを超えるまでになりました。
外交面ではEU加盟交渉を進め、アメリカとの結びつきを維持する一方、欧米と対立してきたイランとの関係も築くなど「善隣外交」を展開し、中東の地域大国の指導者として存在感を高めてきました。こうしたエルドアン首相の国づくりは3年前、中東で起きた民主化運動「アラブの春」で独裁政権が崩壊した国々からは、国づくりの成功モデルと見なされてきました。しかし、ここに来て課題にも直面しています。
エルドアン政権が隣国シリアの内戦で反政府勢力を支援する立場を鮮明にすると、良好だったアサド政権との関係は断絶されました。さらに、反政府勢力の中でイスラム過激派組織が勢力を拡大し、ことし6月にはイラク第2の都市を制圧して、イラクとシリアにまたがった「イスラム国」の樹立を宣言すると、過激派の台頭を招いた一因はトルコにあるとして批判されました。
また、協力関係にあり、経済的にも結びつきの強かったエジプトのモルシ政権が去年、事実上のクーデターで退陣に追い込まれると、エジプトとの関係も急速に悪化し、地域大国としての影響力の低下が指摘されるようになりました。
緊張が続くガザ情勢を巡っても、イスラム原理主義組織ハマスを支援し、一定の影響力を持っているものの、イスラエルとは関係が冷え込んでいて、仲介役を担うことができていません。
エルドアン首相は歯に衣着せぬ発言で知られ、トルコ国内ではイスラム系の与党支持者からカリスマ的な指導者として支持を集める一方、世俗派の若者などからは政治手法が強引だとか、経済優先の政策は格差を生み出しているなどと反発が強まり、去年夏には反政府デモが全国に拡大しました。
去年12月にはエルドアン政権を巻き込んだ汚職疑惑が発覚し、閣僚3人が辞任に追い込まれ、政権への批判がインターネット上で広がると、エルドアン首相はことし3月、インターネットのツイッタ―やユーチューブを遮断する強硬措置をとりました。
先月から今月にかけては汚職疑惑の捜査を担当していた警察官が多数拘束され、野党側はエルドアン首相が捜査を妨害するために強権を発動していると批判を強めています。
エルドアン首相が大統領に就任すれば、権限の強化に乗り出し、強権支配につながるという懸念も強まっています。

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