イラクでは、アメリカ軍が攻勢を強めるイスラム教スンニ派の過激派組織に対して空爆を続けていて、事態の鎮静化に向けて挙国一致の政権づくりが求められています。
こうしたなかマリキ首相は10日、国営テレビを通じて緊急に演説し、改めて首相を続投する意向を示したうえで、「大統領は憲法に違反している」と述べ、首相を指名する手続きを巡って、新たに選出されたばかりのクルド人勢力出身のマスーム大統領を批判しました。
イラクでは、イスラム教の宗派間の対立を激化させたことが過激派の勢力拡大につながったとして、マリキ首相の退陣を求める声が高まっています。
現地からの報道によりますと、首都バグダッドでは、政府の主要機関が入っている建物の周辺などに、マリキ首相に忠誠を誓う軍の戦車や治安部隊が展開しているということで、首相への退陣圧力が強まっていることに反発した動きと見られています。
マリキ首相が退陣を拒否し大統領を批判したことで、政治的な対立が改めて浮き彫りとなり、事態の打開に向けた見通しが立たない状況です。