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参院選1票格差「違憲状態」 NHKニュース

去年7月の参議院選挙は、選挙区ごとの1票の価値に最大で4.77倍の格差があり、2つの弁護士グループが投票価値の平等を保障した憲法に違反すると主張して選挙を無効にするよう求めていました。
この裁判について、最高裁判所は15人の裁判官全員による大法廷で審理していました。
判決は26日午後3時に言い渡され、この中で寺田逸郎裁判長は「去年の選挙で行われた『4増4減』の措置は一部の選挙区の定数の増減にとどまり格差を解消するには足りないものであったと言わざるをえない。憲法違反の問題が生じる程度の著しい不平等状態にあった」と述べて、去年の選挙を「憲法違反の状態」と判断しました。
その一方で、前回の最高裁判決から去年の選挙まで9か月しかなかったことや格差是正に向けた議論が国会で行われていることから、憲法違反とまではいえないとして選挙の無効を求めた訴えを退けました。
そのうえで、国会に対して、「選挙区を都道府県単位としている現行の選挙制度を改めるなどして速やかに不平等な状態を解消すべきだ」と指摘しました。

今回の最高裁判決は、去年の参議院選挙の1票の格差について、2つの弁護士グループが全国で起こした15件の裁判に対する統一判断です。
こうした国政選挙の無効を求める訴えは、高等裁判所が1審を担当します。
各地の高裁判決では、15件中3件が「憲法違反」と判断し、このうち、広島高裁岡山支部は、参議院選挙で初めてとなる「選挙無効」を言い渡しました。
このほかの12件はすべて「違憲状態」で、「憲法に違反しない」とした判決は1件もなく厳しい判断が全国で相次ぎました。
これらの高裁判決では、格差の是正に向けた国会の取り組みについて、「選挙無効」を言い渡した広島高裁岡山支部が「真摯(しんし)に取り組んでいたと言うには大きな疑問が残る」と指摘したほか、「違憲状態」とした札幌高裁も「次の選挙までに抜本的な是正が行われなければ『憲法違反』もありうる」と警告していました。

参議院選挙の1票の格差は、昭和22年に参議院議員選挙法が制定された当時、最大で2.62倍でしたが、都市部への人口の集中が進んで次第に大きくなりました。
平成4年の選挙では格差が最大で6.59倍まで広がり、最高裁判所参議院選挙で初めて「憲法に違反する不平等な状態だ」という判決を言い渡しました。
その後、一部の選挙区で定数の見直しが繰り返し行われましたが、いずれも大幅な格差の改善は見られず、5倍前後の格差が続きました。
参議院選挙で1票の格差を縮小できないのは選挙区の区割りが都道府県単位になっていることが大きな原因です。
3年ごとに半数を改選するため、人口が少ない県にも最低でも2議席を配分する必要があり、議員総数を増やさずに選挙区間議席を増減するやり方で格差を縮小するのは限界があるとされています。
こうしたなか、最高裁は、おととし最大で5倍の格差があった4年前の参議院選挙について再び「憲法違反の状態」だという判断を示したうえで、「都道府県を単位とする今の選挙制度の仕組みそのものを見直す必要がある」と、これまでにない強い表現で国会に抜本的な見直しを迫りました。
これに対し、国会は去年の参議院選挙を「4増4減」の定数見直しにとどめて実施する一方で、再来年の次の選挙に向けて制度の抜本的な見直しを図ることを改正公職選挙法の付則に明記し、参議院の各会派による協議会を設けて議論を進めていました。
協議会では、ことし中の取りまとめを目指し、これまでに選挙区の定数を「6増6減」する案や22の府県を11の合区にまとめる案、それに、全国をブロックに分ける案などが各会派から示されました。
しかし、各会派の意見の隔たりが大きく、今月21日に開かれた会合で座長が協議会で改革案を1つに絞ることを断念する考えを示し、最高裁が求める選挙制度の抜本的な見直しは見通せない状況が続いています。

ガリレオ判決