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『山の学校12周年に寄せて』 | 京都 山の学校|新しい学びの場

 ところで大学といえば近頃はどこも改革の話題で持ちきりで、日本の高等教育もグローバルスタンダードに適応せねばと、鼻息の荒いかけ声がほうぼうで聞かれます。

 山の学校でのクラスのことを振り返るとき、わたしが思い出すのは、こうした慌しさとは正反対の何かです。たとえば瓜生山の草木のあいだを渡る風の音のこと。あるいは夕日が穏やかに赤く染める教室のこと。静けさに包まれているのだけれど、内側からはふつふつと熱気が溢れてくるような空間。そこでは知は、どこにも逃げ出さず、わたしたちをじっと辛抱強く待っていてくれたように思いますし、深く夢中になることを許してくれたように思います。