https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

企業は景気回復を確信できず設備投資は減少する|野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて|ダイヤモンド・オンライン

 前回、日本銀行の異次元緩和政策は、資産価格に関する期待を上昇させただけで、実物経済に関する期待には影響を与えていないと述べた。


 これを言い換えれば、株式市場だけを見ていれば強気になるが、経済の実体を見れば、弱気の見通ししか持てないということだ。


 このことは、4月1日に発表された日本銀行の3月の「全国企業短期経済観測調査」(短観)で確かめることができる。

 このように、日本企業は、景気回復を確信できていないわけだ。その理由としては、これまでの利益の増加が、円安、消費税増税前の駆け込み需要、2013年の公共事業増加などの一時的要因によると意識されているからだろう。そして、後述のように、個人消費や輸出が不調だからであろう。


 そしてこのような見通しが、つぎに述べる設備投資の減少につながっている。

 このように、多くの企業は15年度において、14年度よりも設備投資を減少させる計画を持っている。その傾向は、業種別では非製造業において著しく、企業規模別では中小企業で著しい。


 設備投資は、将来に対する企業の期待を最も顕著に反映するものだ。それがこのような状態であることは、実体経済に関する企業の期待がまったく改善されておらず、むしろ全体的に見れば悪化していることを示している。

 つまり、デフレ見通しが弱まっているということはなく、逆に、物価上昇率の見通しは低下している。原油価格が低下していることを考えれば、物価上昇率の見通しが低下するのは当然のことだ。何ら問題とすべきことではない。物価上昇率を引き上げることによって経済を好転させようとする基本的な考えが誤っているのだ。

 以上を総括すれば、日本企業は、景気見通しについて慎重な姿勢をとっていると言える。3月の景況判断は、昨年12月より改善しているとは言えない。とくに問題なのは、6月にはさらに悪化するだろうと予測されていることだ。


 そのため、設備投資計画にも慎重だ。つまり、経済の好循環と見なし得るような現象は生じていないのである。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150408#1428489757
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150404#1428143839
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150402#1427972146