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FRBのパウエル議長は10日、議会下院の公聴会に出席し、証言しました。

この中でパウエル議長は景気の現状について、好調な雇用情勢を背景に「底堅く推移している」という認識を示しました。ただ、「この数か月で不確実性が高まった。米中の貿易摩擦と世界経済の減速懸念が引き続き、アメリカ経済の見通しの重しになっている」と述べ、企業の設備投資や物価の上昇が鈍っていることに懸念を示しました。

こうした状況を踏まえ、FRBの会合の参加者の多くが緩和的な金融政策が必要だと判断しているとして、アメリカ経済の拡大を維持するため、適切な行動をとる」と述べ、景気の減速を防ぐため、今月下旬の会合で、利下げに踏み切る可能性を示唆しました。FRBが利下げに踏み切れば、2008年12月以来、およそ10年半ぶりとなります。

FRBの金融政策をめぐっては、トランプ大統領が、去年12月まで段階的に進められてきた利上げを繰り返し批判して、金利の引き下げを迫っていて、FRBの最終的な判断の行方に関心が高まっています。

実施されれば、およそ10年半ぶりとなるアメリカの利下げ。トランプ大統領と市場が利下げを求めて圧力をかけ続け、中央銀行FRBを追い詰める構図となっています。

トランプ大統領は経済成長を加速させるため利下げが必要だと主張していて、去年12月まで段階的に利上げを進めてきた、FRBに対して、露骨な批判を繰り返しています。トランプ大統領は6日もツイッターFRBアメリカが抱える最も困った問題だ」と投稿。パウエル議長の解任もちらつかせながら、執ように利下げを要求しています。

このようにトランプ大統領FRBへの圧力を強める背景には来年の大統領選挙があります。先月18日に立候補を正式に表明した際にはアメリカの経済はかつてないほど強くなった」と述べ、大規模な減税などみずからの政策の成果を強調。トランプ大統領としては、再選に向けて好調な経済をアピールするため、FRBも利用したい思惑があり、政府とは一線を画して金融政策のかじ取りを行う中央銀行の独立が揺らぎかねない事態になっています。

また、株式市場も、景気の減速を未然に防ぐため、利下げへの期待を強めています。ニューヨーク株式市場は、米中の貿易摩擦による景気の減速を避けるための予防的な措置として、FRBが、今月下旬の会合で、利下げに踏み切るとみて、ダウ平均株価は9か月ぶりに最高値を更新しました。このため利下げを行わなければ、株式市場が再び動揺する可能性があり、市場もパウエル議長に利下げを迫る形になっています。

トランプ大統領と市場の圧力を受けて、FRBはどう対応するのでしょうか。FRBも、アメリカ経済の拡大は続いているとはいえ、物価の上昇率が目標の2%を下回っていることや、米中の貿易摩擦を受けて企業の設備投資が鈍くなっているとして、警戒感を強めています。

先月の会合では、アメリカ経済の拡大を維持するため適切な行動をとる」として、景気が減速する可能性が高まれば利下げも辞さないという姿勢を示し、金利を据え置いてきたこれまでの政策を転換しました。ただ、好調な雇用情勢などあくまで経済指標を見極めながら利下げの是非を判断するとしています。

景気の拡大が続いているアメリカ。利下げによる副作用はないのでしょうか。

FRB政策金利を引き下げた場合、銀行は企業や個人にお金を貸す際の金利を引き下げることになります。このため、設備投資を検討する企業や、住宅や自動車の購入を考えている個人がお金を借りやすくなり、景気が上向く効果があります。

ただ、利下げは景気の悪化に直面した際に景気回復への刺激策として打ち出されるのが一般的です。FRBが最後に利下げを行ったのは、2008年12月。金融危機、いわゆるリーマンショックによる深刻な不況に歯止めをかけようという政策でした。

ところが、アメリカ経済は目下、拡大が続いています。7月、景気拡大の期間が121か月、10年と1か月となってこれまでで最も長くなる見通しです。物価の上昇率は、目標を下回っているものの、失業率はことし、3.6%と、49年ぶりの水準にまで低下。専門家の間では景気の拡大が続く中で、利下げをすれば、土地の価格などが上昇してバブルのように景気が過熱する恐れがあるという指摘も出ています。

さらには、今、利下げのカードをきってしまえば、将来、リーマンショックのような経済危機が起きたときに中央銀行として政策対応の余地が限られてしまうという懸念も出ています。

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