エジプトのモルシ元大統領は、中東の民主化運動「アラブの春」によって独裁政権が崩壊したあと、エジプトでは初めての民主的な選挙によって大統領に選ばれましたが、おととし7月、軍による事実上のクーデターで解任されました。
エジプトの裁判所は16日、モルシ元大統領が4年前に起きた刑務所からの脱獄に関与したとして「死刑に相当する」という判断を示し、これに対して、元大統領の出身母体のイスラム組織は「不当な内容で受け入れられず、抵抗を続ける」として、抗議デモを呼びかけました。
エジプトでは、現在のシシ政権に反対する勢力に死刑などの厳しい判決が相次いで出されており、国際的な人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、今回の裁判所の判断について、「公正な司法手続きが取られておらず、死刑が政敵を排除するための道具になっている」と批判しています。
また、モルシ政権当時、友好関係にあったトルコのエルドアン大統領も、「エジプトは古い時代に逆戻りしている」と強い懸念を示すなど、国際的な批判が相次いでいます。
判決は来月2日に言い渡される予定で、裁判所が最終的にどのような判断を示すのか注目されます。