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コラム:波乱の欧州国債、ドラギ総裁より怖い群集行動のわな | Reuters
コラム:市場が慣れるべきもう1つの現実は「株安」 | Reuters

投資家は債券市場のボラティリティだけではなく、株価の下落にも慣れる必要が出てくるのかもしれない。債券価格と株価の相関性が高まっているからだ。


4日の債券相場の変動ぶりは凄まじかった。ドイツ10年国債利回りDE10YT=RRは一時10ベーシスポイント(bp)上昇して0.988%を付けた後、国際通貨基金IMF)が米連邦準備理事会(FRB)は来年まで利上げを先送りするべきだと異例の提言を行ったのを受け、前日比3bp低い0.83%まで低下した。


大変な1日だったが、債券市場、とりわけ欧州の債券市場はこのところ厳しい日々の連続だ。


ドイツ国債利回りは6月に入ってわずか4日で50%超も上昇。10年物米国債利回りUS10YT=RRはこの間10%上昇して2.31%に達しており、ドイツほどではないものの、やはり異例の変動幅となっている。


しかしユーロ圏国債市場は3日、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁から厳しい現実を突き付けられた。


総裁は同日の記者会見で「一つの教訓は、われわれはボラティリティが高まる局面に慣れる必要があるということだ。極端な低金利下では、資産価格のボラティリティは高まりがちだ」と述べた。


おっしゃる通りだが、ボラティリティが上昇すると投資家は価格の下落を要求する傾向があるという、もう一つの真理がある。


債券市場のボラティリティ上昇は、債券価格の支援材料にはならない。資産のボラティリティが高まれば高まるほど、ヘッジや保有のコストは高まる。現在は利回りが歴史的低水準にあるため、投資家はなおさらインフレ率や流動性リスクを大幅に織り込みたがるだろう。


翻って、債券価格の下落は株価の支援材料にはならない。株価は将来の企業のキャッシュフローを反映するものだから、債券利回りが示すところの割引率が上昇すれば、将来の配当や自社株買いの正味現在価値は低下する。


<相関性の高まり>


つまり株価は債券利回りの上昇だけでなくボラティリティの上昇によっても打撃を被る。他の条件が等しければ、いずれも株価の支援要因にはならない。実際、国債価格が急落した間、株価はやや弱含んだ。


株式市場が直面するもう一つの問題は、債券との相関性の高まりだ。


金融危機の間とその後の期間の大半において、先進国の株価と債券価格は逆相関の関係にあった。一方が上がれば一方は下がった。


しかしソシエテ・ジェネラルのデータによると、2015年に入って以降、株と債券の相関性は急速に高まり、年初には大幅な負の相関だったのが、現在では約35%の正の相関に転じた。これは過去10年余りで最高だ。


ソシエテ・ジェネラルのアナリストチームは「先進国の株価と債券価格の相関が正に転じ、債券利回りが上昇すれば株価が下がる可能性を示唆している」と説明している。


インフレ率が高まるにつれ、株価と債券価格の相関性が高まることを示す過去のデータも存在する。インフレ率が上昇しつつあると確信を持てる状態には程遠いし、国債利回りの上昇は物価上昇よりもリスクプレミアムを織り込む動きかもしれない。


とはいえ、インフレを背景とした金利上昇もまた、株価にとって良い材料にはならない。


ドラギ総裁が言う通り、われわれは慣れるしかないのかもしれない。