この中で、中谷大臣は憲法9条の下でも自衛権は認められるとした昭和34年の砂川事件の最高裁判所の判決について、「憲法上認められる自衛の措置に関して、個別的と集団的を区別して論じているわけではない。安全保障関連法案で認められる限定的な集団的自衛権の行使は日本の自衛の措置に限られ、砂川判決の範囲内のものだ。この意味で、砂川判決は限定して容認する集団的自衛権の行使が、合憲であることの根拠たりえる」と述べました。
また、岸田外務大臣は「集団的自衛権の行使が可能になる『存立危機事態』に当たるような事例は、過去にあったのか」という質問に対し、「わが国が国民の命や暮らしを守るために必要とする限定的な集団的自衛権には、厳格な基準を設けている。こうした基準に基づいて行使されたと説明されている事例は存在しない」と述べました。
さらに、横畠内閣法制局長官は、法案に盛り込んでいる集団的自衛権の行使について、「集団的自衛権をどう理解するかということだが、仮に毒きのこだとすれば煮ても焼いても食えないし、一部分をかじってもあたる。ふぐかもしれない。ふぐだとすれば毒があるから全部食べたらあたるが、肝を外せば食べられる」と述べました。
一方、石破地方創生担当大臣は、徴兵制について、「内閣の一員として、『憲法13条と18条の規定の趣旨からみて、許容されるものではない』という政府の見解は堅持するし、私もその立場だ。『徴兵制が合憲だ』と言ったことは一度もない」と述べました。そのうえで、石破大臣は「『憲法に反する根拠を述べよ』と言われたときに、奴隷的と苦役はわかれているが、それを根拠とすることに違和感を感じるということは、言ったことがある」と述べました。
また、横畠長官は「国際環境が変化すれば憲法解釈が変わり、徴兵制が容認されるのではないか」という指摘に対し、「武力行使の新3要件でわが国を守るための必要最小限度を明確に限定した集団的自衛権の議論とは全く別だ。徴兵制そのものは、単なる環境によって法的評価が変わるはずもなく、今後とも違憲であるという判断に変更はありえない」と述べました。
内閣法制局の横畠長官は、異例の例え話で民主党側の追及をかわしました。
民主党・寺田衆院議員:「フルスペックの集団的自衛権は憲法違反にもかかわらず、そのなかから切り出した限定的な集団的自衛権は合憲であるという理由は」
横畠内閣法制局長官:「(集団的自衛権が)仮に毒キノコだとすれば煮ても焼いても食えないし、一部分かじってもあたります。(集団的自衛権が)フグだとすれば毒があるから、全部食べたらあたりますけれども、肝を外せば食べられる」
また、菅官房長官も「法案は自信を持って合憲だ」と強調しましたが、審議はたびたびストップしながら平行線といった状況です。一方で、政府・与党側は、安保法案を成立させるために国会の会期の延長幅について具体的な検討に入っています。来月上旬の衆議院通過を見据えて、参議院での十分な審議時間を確保するために8月いっぱい、あるいは9月までという見方も出ています。安倍総理大臣はこの後、谷垣幹事長と会談し、延長幅について協議することにしています。
そう、毒だと認めてやんの(笑)