https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

人文社会科学系学部がある国立大 8割が再編検討 NHKニュース

国立大学を巡っては文部科学省が先月、教員養成系や人文社会科学系の学部や大学院について、廃止や社会的要請が高い分野への転換に努めるなど、組織と業務全般を見直すよう通知を出しました。
この方針について、NHKは対象となる学部がある国立大学64校にアンケートを行い、89%に当たる57校から回答を得ました。
人文社会科学系の見直しを求める通知については、関連の学部がある大学42校のうち、25校が「趣旨は理解できる」と答えて6割を占め、「不本意だが受け入れざるをえない」が2校、「全く受け入れられない」が2校でした。「趣旨は理解できる」と答えた大学からは、人文社会科学系は大学教育の根幹だとしたうえで、少子化や社会のニーズに対応するには教育内容や組織の改革は必要だなどという意見が自由記述で寄せられました。
また、先月いっぱいで文部科学省に提出することになっていた来年度から6年間の中期目標の素案に、人文社会科学系の見直しをどのように盛り込んだか尋ねたところ、学部などの「廃止」を検討している大学はありませんでしたが、「再編して新たな学部などを設ける」が11校、「具体的な内容は未定だが、再編を検討する」が8校、「定員を減らす学部などがある」が6校、「教育目標を明確にした」が3校、それに「国の方針を踏まえたものではないが、再編を盛り込んだ」が7校と、何らかの見直しを予定している大学が83%に上ることが分かりました。
このほか、すでに検討を終え来年度から新たな学部を設けるという大学もあり、国立大学の人文社会科学系が大きく変わろうとしていることが浮き彫りとなりました。

人文社会科学系には、文学部や教養学部、それに法学部や経済学部なども含まれます。文部科学省によりますと、86の国立大学のうち48校に人文社会科学系の学部があり、ことしの入学定員は合わせて2万5000人余りと、全定員の26%となっています。

人文社会科学系の見直しを求める文部科学省の通知について、「趣旨は理解できる」と回答した和歌山大学では、19日高校生を対象にしたオープンキャンパスが行われました。
和歌山大学では、来年度から経済学部の3つの学科を統合したうえで、定員を現在の330人から30人減らす方針です。カリキュラムも変更し、金融機関に就職するためのコースや税理士を目指すコースなど6つのコースを設け、卒業後の進路を見据えて選択できるようにするということで、オープンキャンパスでは高校生たちがコースの内容について説明を受けていました。
こうした再編の目的の一つは就職率の向上です。7年前に設置した観光学部の昨年度の就職率は99%。これに対して経済学部は87%で、10ポイント以上低くなっています。和歌山大学経済学部の足立基浩学部長は「人文社会科学系の教育は地方の人材を育成するのになくてはならないが、就職を意識して大学を選ぶ若者が増え、大学ごとの特色が求められるようになるなか、学生のニーズや社会の要請に応えるために変わっていかざるをえない」と話しています。オープンキャンパスに訪れていた経済学部志望の高校生からは、「進路を意識した取り組みはいいと思うが、定員が減って自分が入学できるか心配です」といった声が聞かれました。


岩手大学も、昭和24年の開学以来初めて大幅な再編に乗り出しています。来年度、人文社会学部と教育学部の定員を合わせて100人余り減らしたうえで、理系の学部の定員を増やすことにしています。農学部には「水産システム学コース」を新たに設けて、東日本大震災で大きな被害を受けた水産業の復興を支える人材を育成する方針です。岩手大学の岩渕明学長は「大学がみんな似たような教育をするのではなく、それぞれの地域が抱える課題に取り組んでいくことが、地方の国立大学の存在価値になっていく」と指摘しています。
この再編について、釜石市水産加工業を営む男性は「大学と一緒に研究開発をしたり、若い視点を取り入れて販路の拡大につなげたりできるのを期待しています」と話していました。


文部科学省の通知を「不本意だが受け入れざるをえない」と答えた大学もあります。経済学部と教育学部の二つの学部から成る滋賀大学はアンケートの自由記述で「大学教育の目的は実学的な職業人の養成ではなく、思考力、判断力、表現力を持つ人材の養成であることを強調したい」と書き、通知を批判しました。ただ、文部科学省の方針を受けて、文系と理系を融合させた「データサイエンス学部」を2年後に開設する方向で検討しています。ビッグデータの集計や分析、活用方法を学ぶ学部で、経済学部と教育学部の学生定員や教員の人件費を削減し、再配分する予定です。
滋賀大学の佐和隆光学長によりますと、背景には大学の運営費がひっ迫している実情があるといいます。滋賀大学は収入のおよそ半分に当たる31億円を国からの運営費交付金に頼っていますが、交付金は年々減少傾向にあり、この10年で1割ほど減りました。来年度からは、取り組みや実績が高く評価された大学に交付金が重点的に配分されることになっています。
佐和学長は「人文社会科学系の存在意義を認めないような通知は受け入れられないが、大学が貧乏所帯にならないためには新しいことをやらなければならない。これまでの人文社会科学系の教育や研究に課題があったことは事実で、通知をきっかけに改革の意欲が高まった」と話しています。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150714#1436870905
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150712#1436697479


#哲学部