https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

日経 フィナンシャル・タイムズを買収へ NHKニュース

日本経済新聞社は8億4400万ポンド(日本円にしておよそ1600億円)でフィナンシャル・タイムズ・グループのすべての株式を取得します。

フィナンシャル・タイムズ・グループは、1888年にイギリスの有力経済紙、フィナンシャル・タイムズを創刊した経済メディアです。また、日本経済新聞社は、1876年に創刊し、日本経済新聞日経産業新聞などを発行しています。
新聞業界は、発行部数の減少や広告収入の大幅な落ち込みで、経営環境が厳しさを増していて、日本経済新聞社フィナンシャル・タイムズ・グループともに、新たな収益源としてデジタル事業に取り組んでいます。今回の買収で、日本経済新聞社は、世界的に経済報道を充実させるとともに、フィナンシャル・タイムズ・グループの顧客基盤を活用して、デジタル事業を強化することをねらっています。

フィナンシャル・タイムズは、1888年に創刊されたイギリスの有力な経済紙で、サーモンピンク色の紙に印刷されていることで知られています。競合するほかの新聞との合併などを経て、1957年にピアソンに買収されました。
世界各国に50か所以上の拠点を持ち、500人のジャーナリストが取材活動に当たっていて、経済分野の報道に定評があります。
発行部数は、印刷物とデジタル版で合わせて73万7000部に上り、このうちおよそ7割は、過去5年の間に急成長したデジタル版での購読となっています。


フィナンシャル・タイムズ・グループの売却を決めた親会社のピアソンは、教育分野の出版事業なども手がける、イギリスのメディア大手です。1957年から半世紀余り、フィナンシャル・タイムズを傘下に置いてきました。
売却に踏み切った背景には、世界80か国以上で展開している英語の能力試験や参考書の出版などの教育事業に経営資源を集中し、ビジネスを拡大するねらいがあります。
ピアソンのジョン・ファロンCEO=最高経営責任者は、23日に発表した声明で、「私たちは今後、教育事業に100%集中する。質の高い教育を世界に拡大することで、非常に大きなビジネスチャンスがある」とコメントしています。また、日本経済新聞社への売却について、ファロンCEOは、「日本経済新聞は質が高く、公平で、信頼性があり、フィナンシャル・タイムズ日本経済新聞の傘下で、今後も繁栄を続けると確信している」としています。

世界のメディア界では、このところ、再編の動きが活発になっています。
特にアメリカではおととし、有力紙ワシントン・ポストが、IT企業アマゾン・ドット・コムのCEOに245億円で売却されたほか、ニューヨーク・タイムズの傘下にあったボストン・グローブも、アメリカの実業家に69億円で売却されました。さらにことし5月には、シカゴにある大手メディアのトリビューン社が、サンディエゴの有力紙を買収するなど、再編の動きが続いています。
背景にあるのは、活字離れとインターネットの普及で、購読者数が減り、広告収入の減少に歯止めがかからないことです。各社は人員削減のほか、有料化した電子版の強化に力を入れていますが、厳しい経営が続き、再編の動きにつながっています。

日経 買収で国際化とデジタル事業強化へ NHKニュース

これについて、日本経済新聞社の喜多恒雄会長は24日、都内で会見を開き、「成長を続けていくため『グローバル』と『デジタル』を中心にしなければならない。理念や価値観がわれわれと同じであると確信し、グローバル化を進めるためには最もいいパートナーだ」と述べ、今回の買収によってグローバル化とデジタル事業を強化する考えを示しました。
新聞業界は発行部数の減少などで経営環境が厳しさを増していて、日本経済新聞社フィナンシャル・タイムズが強みを持つ電子版のノウハウと欧米を中心とする顧客基盤を活用して、国内外でデジタル事業を強化していきたい考えです。
一方、喜多会長は「フィナンシャル・タイムズの編集局には全幅の信頼を置いている。報道機関にとって最も重要な編集権の独立は、これまでと変わることなく維持される」と述べました。

コラム:日経のFT買収、経済合理性に疑問も | Reuters

日経は相当大きな名声を手に入れるのは確かだ。しかし冷徹な経済合理性だけを考えるなら、調整後営業利益の35倍、そして実質価値のおよそ3倍の金額を支払ったことになる。


他の欧州系メディアの株価は、調整後営業利益の10─15倍で取引され、平均は12倍だ。買い手がそれなりのプレミアムを乗せるのは予想されるとはいえ、FTの場合、調整後営業利益に対する買収額の倍率は、米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が2013年にワシントン・ポスト紙買収で所有者グラハム一族に支払った金額の2倍前後にもなる。


こうした目の飛び出るような高額のプレミアムは、FTの財務面での先行きが不透明な点からすれば、なおさら驚かされる。デジタル化に向けた最初の関門をほぼ突破したFTは、これから着実な増収を確保する道筋を発見していく可能性はある。ただしこれまでの業界全般の流れは読者と広告主のマスメディア離れの加速化であり、デジタル化の取り組みは紙媒体と同じだけの成果を生み出せていない。


FTはかなり順調な歩みをたどってきた。電子版の購読を先駆的に導入した新聞の1つであり、現在は72万人の購読者の70%を電子版が占める。FTの14年の収入が約5億1800万ドル、営業利益は3700万ドルに上ったことも公表されている。