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多極化への捨て駒にされる日本|田中宇

2015年5月10日

 私が以前から注目してきたのは、包囲網を強化するほど中国の台頭が誘発される点、米国が中国を潰すと言って実は台頭させている隠れ多極主義的な傾向だ。

 昨春以来のウクライナ危機で、この流れにロシアが加わった。ロシアは米国との関係改善を模索していたが、自国の影響圏であるウクライナで米国が画策した政権転覆で反露政権が作られ、ロシアは米国との関係改善をあきらめた。ロシアと経済関係が強かった欧州が米国に引っ張られて対露制裁を開始し、欧州との経済関係をあきらめざるを得なくなったロシアは中国に接近した。米国はロシア敵視を強め、ウクライナ危機が長引くほど、ロシアは中国との戦略関係を強化し、石油ガスの主な売り先が中国になり、中国からロシアへの投資が増えただけでなく、ロシアは中国に積極的に軍事支援するようになった。

 米国が中国を敵視せず、南沙群島や尖閣諸島国際紛争で中国の敵方(日本やフィリピンなど)に加勢して中国を刺激することを控えていたなら、中国はこれほど急いで軍事台頭や外交力の拡大を希求しなかっただろう。中国は、内政や国内経済に問題点が多いので、中国自身は、もともと時間をかけた国際台頭を望んでいた。米国の対中戦略は、中国の台頭を煽っている。

 同じことは、軍事と外交だけでなく、経済の分野でも言える。米国は2011年にいったんIMF世界銀行における中国(などBRICS諸国全体)の発言権(出資比率)を、中国(BRICS)の経済規模拡大に見合う形で拡大することを了承したが、その後中国を敵視する米議会がこの決定の批准を拒否したため、中国(BRICS)は、仕方なくIMF世銀体制に対抗しうる独自の国際金融機関を作った。その一つがAIIBだ。

 また、米国がTPPを中国包囲網だと強調するほど、中国は対抗してASEAN+5の自由貿易圏(RCEP)の創設を急ぐ。

 米国勢は2012年に訪米中の石原慎太郎都知事をけしかけ、日本政府を尖閣諸島の土地の国有化へと踏み切らせて以来、日本を中国敵視の道具に使う傾向を強めている。米国では財界が中国との投資や貿易で儲けており、米国の議会や政府が直接に中国敵視策をやるのは限度がある。だから米国は日本を経由する間接的な中国敵視を加速して、それにより中国に脅威を感じさせ、中国の台頭を急かしている。この流れの中に今回の安倍訪米を置くと、米国が、日本を使った中国敵視の強化で、中国を台頭へと急かせる策を加速しようとしていると考えられる。

 米国のロシア敵視策は、ウクライナをだしにして行われている。同様に、米国の中国敵視策は、日本をだしにして行われている。ウクライナも日本も、米国の隠れ多極主義の捨て駒として使われている。米国が金融崩壊するなら、その前に日銀がQEでドルを支えてきた日本の国債金利が高騰し、財政破綻する。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150807#1438943769(Michael McFaul 1)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150805#1438770843(Zbigniew Brzezinski 1)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150804#1438684770(Michael McFaul 2)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150519#1432032042(Zbigniew Brzezinski 2)


#多極化


http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150809#1439116606(西郷 > 頭山 > 田中 > 小沢)


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