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アングル:金融安定「第3の責務化」、利上げ時期も絡みFRB真っ二つ | Reuters

米連邦準備理事会(FRB)が年内にも利上げに舵を切ると見られるなかで、FRBは金融市場のバブルを防止するために金利を調整すべきなのかどうか、という問題をめぐって、FRBが真っ二つに割れている。


FRBには物価安定の促進雇用最大化という2つの既存の責務に加えて、金融の安定維持という第3の責務を負わせるべきだ、という一部が唱えている主張に対しては、2007─09年の金融危機以降、信奉者が増えている。その根底には、緩和的にすぎた金融政策が過剰なリスクテークを助長し、それが金融危機につながったという反省がある。


FRBの利上げが年内にも見込まれる根拠の1つには、レバレッジド・ローンや高利回り債券、一部の自動車ローンなど、金融市場における高リスクセクターの不安定化を防ぐには、遅きに失するよりは早過ぎるくらいのタイミングで行動することが望ましい、という理由がある。


実体経済を損ないかねないリスクの出現を阻止するためには、FRBはこれまで、金融規制や銀行の監督という、いわゆるマクロプルーデンスツールを活用してきた。金融政策は、2%というインフレ目標の達成、安定的な雇用最大化、という責務を実現するためのものだった。


しかし、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が共同執筆し、2日の金融安定に関する会議で公表された報告書によると、FRB当局者は金融安定について極めて頻繁に議論しており、こうした議論は既に政策決定に影響しているという。同報告書は「政策当局者が金融の安定をはっきりと考慮に入れるべきと信じる理由がある」と結んだ。


ローゼングレン総裁は、FRBはインフレと雇用以外にも目を向けるべきだ、と主張。所得格差や政治のこう着、数年に及ぶ世界的な超低金利状態は「今や対応が一段と難しくなっている」との認識を示した。


ローゼングレン総裁の報告書は、1987年から2009年までの政策会合で、FRB当局者が金融の安定に関連した用語に言及した回数を集計した。その結果、関連用語への言及は1990年代後半のハイテクバブル期に急増し、最近の危機の際にも増えていたことが分かった。例えば、「株式市場」への言及は1210回、「破裂・破綻」は982回、「ボラティリティ」は853回、「泡・あぶく」は30回だった。


FRB当局者が利上げ時期を探るなか、金融システムにおけるバブル発生の可能性への警戒感が強まっている。イエレンFRB議長らは、借り入れコストをあまりに長期間、低く抑え過ぎると、投資家のリスクテークを助長し、経済が不安定になりかねないと懸念を示している。


フィッシャー副議長「マクロプルデンシャル手段が限られていることを踏まえると、金融安定へのリスクを抑制する手段として、金融政策の調整が話し合われるべき時期が訪れる可能性があるのではないか」とし、金融安定の責任は金融政策に委ねられるかもしれないと述べた。


<金融安定の責務化、FRB内に賛成派と反対派>


FRB2010年ドッドフランク法により、金融システム全体へのリスク防止が義務付けられているが、それは一般に、銀行などの金融機関への直接監視や、資本規制の厳格化を意味すると考えられている。


2日の金融安定に関する会合と、ローゼングレン総裁の報告書は、政策金利の役割に関するFRB内の見解の相違を浮き彫りにした。


ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁は、金融システムの安定化をFRBの責務に加えることについて、現在の2つの責務をめぐる不透明感が一段と増すだけだと主張、強い反対の姿勢を示している。


またクリーブランド地区連銀のメスター総裁と、コーン元FRB副議長も、金融安定を第3の責務とすることに反対の立場をとっている。


コーン元副議長は、レバレッジの高まりや流動性のミスマッチに対応するには、政策金利はそれほど有効なツールではない、としている。


イングランド銀行(英中央銀行)は金融の安定維持を正式な責務の1つとしている。一部新興国の中銀のなかにも、非公式にではあるが、金融の安定維持を目的として、金融政策を調整しているところもある。


クロズナー元FRB理事は、FRBはなお、金融安定の確保という新しい役割をいかに担うべきか、答えを見つけ出せないでいると指摘。


クロズナー氏は「中央銀行にリスクテークの動きが高まるのを防ぐことまでを期待することはできない」と述べ、金融安定をどこまでFRBの責任にするのか、ということは「非常に微妙な問題」と語った。


#FRB #利上げ