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アメリカの中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会のパウエル議長は金融政策の課題を話し合うシンポジウム「ジャクソンホール会議」で注目の講演を行いました。記録的なインフレを抑え込むための金融引き締めについて「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べて、利上げを継続する姿勢を鮮明にしました。

このシンポジウムはアメリカ西部ワイオミング州の高原リゾート地として知られるジャクソンホールで開かれているものです。

日銀の黒田総裁やFRBのパウエル議長など主要国の中央銀行トップや経済学者などが集まり、金融政策の課題を議論しています。

26日に講演したパウエル議長は「インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる」と警告しました。

そして、金融引き締めについて「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べて、利上げを継続する姿勢を鮮明にしました。

FRBは来月20日から2日間金融政策を決める会合を開きます。

これについてパウエル議長は新たに入ってくるデータや経済見通しに基づいて総合判断するとしましたが、大幅な利上げの可能性もにじませました。

講演でパウエル議長は「物価の安定を回復させるには金融引き締め策を一定期間維持することが必要となる可能性が高い」としたうえで「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」と語りました。

また、7月のアメリカの消費者物価指数の上昇率が前の月を下回ったことなどから市場ではインフレがピークをこえたとしてFRBが景気に配慮してこれまでの政策を転換し、利上げペースを緩めるのではないかとの議論が盛んに行われてきました。

こうした議論に関してパウエル議長は「7月のインフレ率の低下は喜ばしいことだ」としながらわずか1か月の改善は、「インフレ低下を確信する内容にはほど遠い」と述べて物価の安定には時間がかかるという見方を示しました。

またパウエル議長は現在の高いインフレ率が長引けば長引くほど、国民や企業の間で将来もインフレが高止まりするという見方が定着し、さらに物価が上がってしまう悪循環に陥ると指摘しました。

さらにインフレを抑制することで、経済が減速し、結果として失業率が上昇するといったコストは、時間ととともに増大してしまうという認識を示しました。

パウエル議長の講演について、シンポジウムに参加しているIMF国際通貨基金の元チーフエコミストでカリフォルニア大学バークレー校のモリス・オブストフェルド教授は「非常に重要なのはFRBアメリカ経済に痛みを与えるとしてもインフレの抑制を実行するという考えを示したということで、今後、失業率がある程度、上昇することは避けられない。本格的な景気後退に陥るかどうかは変動が激しい世界経済の動向と地政学的な緊張などに大きく左右されるだろう」と述べました。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日に経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で行った講演で、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしてもインフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要という見解を示した。他のFRB当局者からも「利上げ実施後に金利を据え置く」方針に支持を示す発言が相次いだ。

パウエル議長は講演で「インフレを低下させるために、トレンドを下回る成長が一定期間持続する必要がある公算が大きい。労働市況も軟化する可能性が非常に高い。金利上昇や成長鈍化、労働市場の軟化はインフレを低下させるが、家計や企業に痛みをもたらすだろう」と述べた。

その上で、残念ながらインフレ抑制にはこうしたコストが伴うとしつつも「物価安定の回復失敗はより大きな痛みを意味する」と強調。痛みが増大してもFRBが早期に緩和にシフトすることを想定すべきではないとし、市場で台頭しつつある来年の利下げ予想をけん制した。

世界的に物価が上昇する中、パウエル氏の発言はFRB当局者だけでなく、ジャクソンホール会議に出席した多くの中央銀行関係者が直面している重大な課題を総括したものだった。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁はパウエル議長の講演について「メッセージは力強く、正しいものだった」とし、自身も同調しているとした上で、「(政策金利を)4%以上に引き上げる必要がある。来年もこの水準を維持しなければならない可能性が高い」と述べた。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、パウエル議長はインフレ抑制のために利上げを実施していく中で雇用市場が弱体化する可能性があると伝えたかったと指摘。

その上で、年末までに政策金利を3.5─3.75%にするために、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%ポイントの利上げを支持する方向に傾いていると表明。FRB政策金利を現行水準からさらに1%ポイント─1.25%ポイント引き上げ、その後は「長期にわたり」その水準にとどめることを望むとし、「FRBの政策がやや制限的である水準に達するのを望む」と語った。

このほかフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、FRBが深刻な景気後退(リセッション)や大規模な失業を引き起こすことなく、インフレを低下させることが可能と確信しているとした上で、「リセッションに陥ったとしても、小幅にとどまる」との見方を示した。

今回の講演でのパウエル議長の発言は、他の主要中央銀行が発しているメッセージとも一致。この日は、欧州中央銀行(ECB)の一部の政策担当者が9月の理事会で0.75%ポイントの利上げを議論したいと考えていることが関係筋の話で分かった。

また、国際通貨基金IMF)のゴピナート筆頭副専務理事は、各国中央銀行が直面する雇用、物価上昇、経済成長との間のトレードオフを巡る問題は今後深刻化する恐れがあるとし、インフレ定着のリスクを踏まえると、中銀は想定されるコストにもかかわらず、インフレに厳しい態度で臨む必要があるとの考えを示した。

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#FRB#金融政策

米国の労働市場は現在の3.5%の失業率が示すよりもさらに逼迫しているとの研究結果が26日、米ワイオミング州で開かれている経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で発表された。新型コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)の影響で労働者が希望する勤務時間の減少傾向が加速し、今後も続くとした。

ゲーテ大フランクフルト校と米ヴァンダービルト大、セントルイス地区連銀の研究者らの研究によると、先進国などでは数十年にわたって労働者が希望する勤務時間の減少が続いている。

就業者数は増加し続けるものの、新型コロナ禍で広がったより柔軟な勤務体系や在宅勤務によって1人当たりの平均労働時間は減少傾向が強まる可能性が高いと指摘した。

中央銀行は賃金やインフレの動向を把握する際、経済が物価上昇をもたらす可能性のある就業率と一致しているか否かを推計しようとするが、それを間違えると誤った政策の実施につながる恐れがある。

研究では、希望する働き方の変化は「景気循環ショックと金融政策ショック、税制ショックに対する労働者の反応にも影響を与える可能性がある」と指摘した。

短期的には確固たる結論を出すのは難しいとみられ、時間の経過とともに状況は変わり得る。例えば現在の高いインフレ率を背景に人々がもっと働きたいと思うようになったり、引退した人が仕事に復帰したりする可能性もある。