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COP21 「パリ協定」を採択 NHKニュース

COP21の議長を務めるフランスのファビウス外相は、会期を1日延長して日本時間の13日午前3時すぎから閣僚級の会合を開き、各国に示した最終的な合意案について意見を聞きました。会合では各国から大きな異論は出ず、そのままCOPの全体会合に移行し、温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」が採択されました。
パリ協定は法的な拘束力を持つ枠組みで、気温上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えるよう努力するとし、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせて、今世紀後半には実質的にゼロにするよう削減に取り組むとしています。
また、途上国も含めたすべての国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を国連に提出し、対策を進めることが義務づけられました。削減目標は提出するたびに改善されるべきだとしたほか、排出量の実績などについて専門家の検証を受けることも盛り込んでいます。
さらに途上国への資金支援について、現在の水準の年間1000億ドルの数字は盛り込まず、その水準を2025年にかけて引き続き目指すとする協定とは別の決定を行いました。
また、経済力がある新興国なども自主的に資金を拠出できるとしたほか、先進国は資金支援の状況を2年に一度報告する義務が盛り込まれました。
温暖化対策の国際的な枠組みとしては、先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書以来18年ぶりで、途上国を含むすべての国が協調して削減に取り組む初めての枠組みとなり、世界の温暖化対策は歴史的な転換点を迎えました。

「パリ協定」の採択を受けて、各国からは歓迎する発言が相次ぎました。
発展途上国グループを代表して発言した南アフリカは「パリ協定は完璧ではないにしても、バランスのとれた合意だ。世界を救うための転換点だ」と述べました。
中国も「パリ協定は低炭素で持続可能な未来に向けた、政治的なシグナルだ」と採択の意義を強調しました。
また、アメリカも「パリ協定は、われわれすべてにとって、そして地球と将来の世代にとって大きな勝利だ。われわれが進むべき道筋を世界の市場に示し、新たな研究開発や商品を生み出すだろう」と世界の経済に与える影響に期待を示しました。
会場から出てきた各国の閣僚や交渉官からも、歓迎の声が相次ぎました。
ルクセンブルクのディシュブール環境相は「再生可能エネルギーへの転換への大きな一歩だ。世界中の国がともに温暖化防止へと動くことは、大きな希望だ」と成果を歓迎しました。
EU=ヨーロッパ連合の温暖化対策を担当するカニェテ委員は「今後は5年ごとに世界各国が削減目標をもっと高めていくことが大切だ。地球規模の課題に取り組んでいくことをEUとしてリードしていく」と話していました。
途上国のグループの代表を務める南アフリカの交渉官は「とても誇りに思っている。ひとつの山は登り終えたが、もうひとつの新しい山が待っている。とてもよい会議で交渉の雰囲気もよく、すべての国が参加し、尊敬しあった。協定に満足している」と2週間にわたる交渉を振り返っていました。
島しょ国グループの議長を務めるモルディブのイブラヒム環境・エネルギー相は「とても幸せです。気温上昇を1.5度に抑えることや温暖化による被害への資金支援など求めていた内容がすべて協定に反映されている」と興奮気味に語っていました。


また、アメリカのオバマ大統領は12日、ホワイトハウスで声明を発表し、「野心的な合意であり、地球を救うため、最高のきっかけとなる。世界にとって転換点になり得ると確信している」と述べ、歓迎しました。そして、開催国のフランスを称賛するとともに、「この歴史的な合意はアメリカの指導力を示すものだ」と強調しました。
そのうえで「進展をはかるのは容易ではなく、直ちにできるものでもない。しかし、子どもたちのため、より安全で繁栄した世界を残すことがわれわれの最大の任務だ」と述べ、各国に対し、協定に基づいて温暖化対策に取り組むよう呼びかけました。


イギリスのキャメロン首相は、フェイスブックに「われわれの世代が地球の未来を守るための義務を果たしたということが子どもや孫にも分かる重要なステップだ」とするコメントを載せました。そして「パリは1か月前、ヨーロッパでこの10年余りで最もひどいテロの犠牲になったが、きょうは歴史上最も前向きな世界の取り組みの開催地となった。世界は団結や希望、忍耐によって何ができるかを示した」と高く評価しました。

「パリ協定」は法的拘束力を持つ地球温暖化対策の新たな枠組みで、2020年以降は先進国と発展途上国、すべての国が協調して温室効果ガスの削減に取り組むことになります。
この中で、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度に抑えるよう努力するとし、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせて、今世紀後半には実質的にゼロにするよう削減に取り組むとしています。そして、この長期目標を達成するために途上国も含めすべての国が5年ごとに温室効果ガスの削減目標を国連に提出し、対策を進めることが義務づけられました。
削減目標は各国の野心を反映し提出するたびに改善されるべきだとしたほか、排出量の実績などについて専門家の検証を受けることも盛り込んでいます。
そのうえで、先進国と途上国の間で責任に差を持たせるため、先進国が排出削減の対策で主導的な役割を果たすべきだとしたうえで、途上国も国内事情に応じた形で排出量の削減や抑制をするよう促しています。
また、温暖化による災害の被害を抑える対策の強化を世界的な目標に掲げるとともに、各国が具体的な対策をまとめることになりました。
さらに、温暖化によって引き起こされた災害などでの損失や被害を最小限に抑えることも重要だと指摘しています。
最大の争点だった途上国への資金支援については、途上国での温室効果ガスの排出削減策や温暖化の被害を抑える対策を進めるため、先進国による資金支援を義務づけ、先進国だけでなく経済力がある新興国なども自主的に資金を拠出することを促しています。
ただ、拠出の額については現在の水準の年間1000億ドルについて「パリ協定」本体には数字を盛り込まず、その水準を2025年にかけて引き続き目指すとする協定とは別の決定を行いました。
そして、長期目標の達成のためにこうした削減目標や資金支援などの進捗(しんちょく)状況を2023年以降、5年ごと検証することになりました。
「パリ協定」は、世界全体の温室効果ガスの排出量の少なくともおよそ55%に相当する、気候変動枠組条約の締約国55か国以上の参加で発効します。

「パリ協定」は1997年の京都議定書以来18年ぶりとなる、法的拘束力を持つ新たな枠組みで、世界各国が協調して地球温暖化対策に取り組む歴史的な転換点となりました。
世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満に抑えることを前提に、海面水位の上昇など温暖化の脅威にさらされている国々からの声を受けて1.5度に抑えるよう努力するとさらに踏み込みました。
そして、世界全体の排出量をできるだけ早く減少に転じさせ、今世紀後半には排出量を実質的にゼロにするという野心的な目標を掲げています。
そのためにも、先進国だけに削減目標を義務づけた京都議定書とは異なり、2020年以降は発展途上国も含めすべての国が5年ごとに削減目標を提出し、対策を進めることが義務づけられました。
今や世界全体の温室効果ガスの排出量の6割以上を占める途上国も排出削減を行うことで、世界全体の取り組みの強化につながることが期待されています。
ただ、京都議定書を離脱したアメリカや、世界最大の排出国、中国が参加できる枠組みを目指したことで目標の達成は義務づけられず、達成できなかったときの罰則規定もありません。
削減目標を提出するごとに改善するといった規定や5年ごとに行う検証などを通じて実効性を持たせることができるかが課題となります。
また最大の争点となっていた途上国への資金支援については、年間1000億ドルという具体的な数字は「パリ協定」本体には盛り込まれず、その代わりに先進国は2025年にかけて、年間1000億ドルの資金拠出を引き続き目指すとする決定を別に行うことで、先進国と途上国の間の妥協が図られました。
先進国に加えて経済力のある新興国などにも拠出を促したことで、温暖化の影響を受けている途上国への支援が広がることが期待されています。
しかし、島しょ国をはじめ途上国での温暖化による脅威は強まっており、必要な支援を実現できるかが問われることになります。

「パリ協定」の採択について、名古屋大学大学院の高村ゆかり教授は「すべての国が削減対策を国際的に約束して進めることになったのは大きな変化だ」と述べ、先進国だけに排出削減を義務づけていた枠組みが変わることを高く評価しました。そのうえで先進国の役割について「多くの先進国が途上国への支援を表明し、協定の中にも先進国が途上国に対し引き続き支援することが義務として定められた」と説明し、「パリ協定」を通じて、途上国への支援が確実に実行されることが重要だと指摘しました。
また、日本国内の対策については、「世界全体の温室効果ガスの排出量を今世紀後半には実質ゼロにすることを目指すなかで、日本がどう取り組みを進めていけるかが課題だ。2030年の目標に向けて、具体的な計画や対策を明確にして取り組みを急ぐことが大切だ」と強調しました。