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「COP26」は会期を1日延長し、13日、3度目となる議長案が示され、交渉は最終局面を迎えています。

議長案では、「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求する」とした内容となっています。

また、焦点のひとつとなっていた石炭火力発電については表現が弱められ、「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」と「努力」の文言が入りました。

そして発展途上国への気候変動対策の支援として先進国が2020年までに約束している年間1000億ドルの資金拠出については、2025年までの間に早急に達成することを強く要請する内容となっています。

しかし、発展途上国からは石炭火力発電についての内容や気候変動によって受けた損失と被害に対応する資金への拠出について、反対の意見が出されています。

インドの代表は、「貧国の撲滅という課題に取り組まなければならず、石炭火力を利用する権利がある」と主張しました。

これに対し、アメリカのケリー特使は、「確かに、すべての国の最善の望みを満たさないものもある。しかし完璧にはならない。正しい方向への非常に重要な一歩だ」と述べて、議長案に同意するよう理解を求めました。

議長国イギリスは13日中の決着を図る意欲を示していて、ぎりぎりの交渉が続けられています。

「COP26」の成果文書などの採択に向けた全体会合で、日本政府を代表して山口環境大臣が発言し、3度目となる現在の議長案を支持する立場を表明しました。

山口環境大臣は、「我々は結論を持たずにグラスゴーを後にするべきではない。特に、パリ協定のルールに関する文書を採択する必要がある。各国が合意に向けて妥協し、ホームワークを片づけようではないか。団結するときが来た」と各国に合意するよう理解を求めました。

「COP26」は会期を1日延長して14日間にわたる交渉を終え、13日、全会一致で成果文書を採択し閉幕しました。

成果文書では「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意する」としたうえで、「各国の2030年に向けた排出削減の目標について来年の末までに必要に応じて検証し、さらに強化することを要請する」としています。

6年前に採択された気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」では「気温上昇を2度未満に保つとともに、1.5度に抑えるよう努力する」とされていて、今回の合意の表現はこれより一歩踏み込んだものになっています。

また、発展途上国の気候変動対策を促すため、先進国が資金支援を強化することも盛り込まれました。

また、COPでは異例ともいえる分野別の対策にも踏み込みました。

意見が対立する石炭火力発電をめぐっては「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な削減のための努力を加速する」と明記しました。

ただ、表現をめぐっては、議長が示した案では「段階的な廃止」となっていましたが、インドなどが直前に反対し「段階的な削減」に弱められる結果となりました。

気候変動による豪雨や熱波などの異常気象が世界の各地で相次ぐ中、今回の合意をもとに国際社会が協調して実効性のある対策を進められるかどうかが課題となります。

13日の採択の直前には石炭火力発電の表現をめぐって、各国の激しい応酬がありました。

13日に示された3度目の議長案は、石炭火力発電について「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な廃止のための努力を加速する」としていました。

しかし採択直前の土壇場になってインドの代表が「廃止」という文言を「削減」に変更することを提案すると、一部の国からは拍手が起こりました。

これに対してスイスの代表が「変更には反対しないが、最終版での変更には大変失望した。これで1.5度の目標の達成をさらに難しくする」と述べると、この発言にも拍手が起きました。

続いてEUヨーロッパ連合の代表も「私たちは歴史から石炭に未来がないことを知っている。だからこそ段階的に廃止すべきだ」と落胆を示しながらも文言の変更には反対しませんでした。

また気候変動の影響で海面が上昇し、水没の危機にあると訴えるマーシャル諸島の代表はインドの提案に反発しましたが「落胆とともにこの変更を受け入れる。今回の成果文書には私たちの島に住む人たちの命に関わる要素を含んでいるからだ」と述べ、成果文書の採択を優先する姿勢を示しました。

こうした発言を受けて、シャルマ議長は声を詰まらせながら「申し訳ない。だが最も大切なのは文書全体が守られることだ」と述べ、インドからの提案を受け入れました。

この結果、成果文書の最終的な表現は「排出削減対策が取られていない石炭火力発電の段階的な削減の努力を加速する」となりました。

COP26のシャルマ議長はすべての採択が終わったあとのあいさつで「各国が互いの違いを乗り越えて共通の課題に立ち向かうために団結できることをともに世界に示した2週間だった。平均気温の上昇を1.5度に抑えられるようにするため努力を追求することは私たち全員の責任だ。ここグラスゴーに集まった人々は大きな挑戦に立ち向かう勇気を持っている」と述べ、目標達成のために行動に移そうと呼びかけました。

合意のポイントは

【1.5度】

「COP26」の大きな焦点となったのは、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることで各国が一致できるかでした。

成果文書では世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意するとしました。

6年前に採択された「パリ協定」では「気温上昇を2度未満に保つとともに、1.5度に抑えるよう努力する」とされていますが、最新の科学的知見や近年の気候変動への危機感の高まりもあり、今回の合意の表現は一歩踏み込んだものになっています。

そして、気温上昇を抑えるためにこの10年間での行動を加速する必要があると明記し、各国の2030年に向けた排出削減の目標について2022年の末までに必要に応じて検証し、さらに強化することを要請することで合意しました。

【資金】

発展途上国の気候変動対策を促すため、先進国が資金支援を強化することも盛り込まれました。

途上国の気候変動対策への支援として先進国が約束している年間1000億ドルの拠出を2025年まで着実に維持するとともに、あらゆる資金源から資金を集める必要があるとしています。

【石炭】

異例ともいえる個別の分野にも踏み込みました。

二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電について段階的な削減が明記されました。

ただ、文書の内容をめぐっては議論が紛糾しました。

当初の議長案では「排出削減対策が取られていない石炭火力発電と化石燃料への補助金の段階的な廃止を加速する」とされていました。

最終的な議長案で「努力を加速する」と表現が弱められた上、採択の直前のインドなどの主張を受けて「段階的な廃止」が「段階的な削減」へとさらに弱められました。

【パリ協定ルール】

気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」の着実な実施に向けたルールについても、各国が合意に至りました。

「パリ協定」の6条で定められた温室効果ガスの排出削減量を政府間や民間で取り引きできるルール作りは、これまでのCOPで繰り返し議論されてきたものの合意に至っておらず「最後のピース」とも呼ばれていました。

協議が難航していた理由の1つは、一部の途上国がかつての京都議定書のもとで認証されていた削減量を新たな枠組みであるパリ協定のもとでも活用できるよう主張したのに対し、先進国などが新たな削減につながらないとして難色を示していたことです。

また、削減量を支援した国と支援された国で二重に計上しないルールなどもさらなる検討が必要とされてきました。

今回の合意したルールでは、京都議定書に基づいて2013年以降に認証された削減量はパリ協定のもとでも2030年の各国の削減目標に算入できると認めたほか、取り引きに参加する国は削減量の透明性を確保し二重計上などを防いで排出量の増加につながらないようにすることなどが盛り込まれました。

このルールが合意されたことで、企業などが海外での排出削減につながる事業を行うメリットが大きくなって「脱炭素ビジネス」が活性化し、各国の経済成長と気候変動の抑制につながると期待されています。

環境省によりますと、この仕組みにより2030年までに世界全体の二酸化炭素の排出量をおよそ3割削減できるという試算もあるということです。

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