地球温暖化問題の裏の裏の裏 https://t.co/PLsKU7oipq 無料記事として配信しました。
— 田中宇 (@tanakanews_com) November 18, 2019
しかし事態をさらに良く見ていくと、地球温暖化問題は「騙しの構造」が別のところにもあることがわかる。それは、パリ協定で定めた温暖化対策の中心となる事業として国連で議論されている「緑の気候基金」が「2酸化炭素の排出を減らす」ためと喧伝されているものの、実際は2酸化炭素の排出を減らすものになっていないことだ。国連で議論されている地球温暖化対策を主導するのは「欧米(トランプの米国以外)」であるように見えるが、実のところそうでなく、主導役は「中国」だ。中国は2009年のCOP15でオバマ大統領から主導役を委譲されて以来、温暖化問題を主導している(近年はトランプの覇権放棄策によって、温暖化対策だけでなく国連全体が中国やロシアの主導になっている)。 (Wikipedia - Green Climate Fund)
中国は世界最大の2酸化炭素の排出国だが、2酸化炭素の排出を減らすと自国と世界の経済にマイナスだと知っているので、自国と国連が「2酸化炭素を減らすふりだけして実際の削減事業をやらない」策略を採っている。
中国が、国連の傘を着て先進諸国に圧力をかけて巨額資金(計画では総額100億ドル)を出させ、一帯一路など中国の世界戦略にプラスになる形で途上諸国のインフラ事業などへの投融資に使うのが「緑の気候基金」の本質だ。トランプは「先進国から途上国に(何の見返りもなく)資金を渡すだけ(の馬鹿げた計画)だ」と言って、この基金への参加を拒否している。
地球温暖化問題は90年代に最初に問題にされた時は、これから2酸化炭素を排出する途上諸国にカネを出させ、先進諸国が途上諸国(新興市場諸国)の経済発展を制限したりピンはねする、冷戦後の米国覇権の維持策の一つだった。中国インドなど新興諸国は、経済成長を放置すると先進諸国をしのぐ強い勢力となり、米英覇権体制を崩して世界が多極化しかねない。80年代末には、米国(共和党レーガン政権)がソ連と和解して英国・軍産好みの冷戦構造を崩してしまい、放置すると世界が多極化し、英国が米国を操って覇権をとらせてきた冷戦時の世界体制が崩れかねない。それを防ぐ策の一つが、人為説の誇張による地球温暖化対策によって新興諸国の石化燃料の利用を規制することだった。
温暖化問題は、冷戦に代わる英米覇権の維持策として考案されたが、その態勢は長続きしなかった。京都議定書など温暖化対策の交渉に欧米の国際NGOが入ってきて、彼らがマスコミを巻き込んで「新興諸国より先に先進諸国が2酸化炭素の排出を削減しろ」と要求し、それが世界の主流になったからだ。
米国など先進諸国が先に本格的で自滅的な2酸化炭素排出削減をせねばならなくなるのは話が全く違うので、米国などの財界やエリート層が難色を示した。米国は、政権が共和党のブッシュになって京都議定書の批准を拒否し、議定書を無意味な存在におとしめた。米共和党には隠れ多極主義の勢力(ニクソン、レーガン、トランプの系譜)がおり、彼らは党内の石油ガス利権勢力と結託して温暖化対策の推進を妨害した。
独仏などEU諸国はプロパガンダ発信源である英国の影響が強いので、温暖化問題の主導役が中国(諜報界の多極側)に移っても温暖化人為説を軽信する姿勢を崩さず、2酸化炭素の排出を本気で削減する気でいる(そぶりを見せている)。だが、米国の影響が強く、中国に近いので中国の台頭を脅威と感じる傾向も強い日本や豪州は、中国が温暖化対策の主導権を握った後、米国に同調して2酸化炭素の排出削減をやりたがらない傾向を強めた。米日豪は協調して「緑の気候基金」への資金の拠出をしぶる動きを昨年から続けている。
米日豪が協力して中国支配の緑の気候基金を敵視していると書いたが、さらによく見ると、これも微妙に修正が必要だ。最近の日本はこの件で静かに米豪を裏切り、中国にすり寄っている。緑の気候基金の枠組みを使って途上諸国の火力発電所を建設しているのは中国だけでなく、日本もどんどんやっている。緑の気候基金は15年3月の理事会で、石炭火力発電所など石化燃料を使う事業にも基金の投融資を使えることを決めたが、この決定は中国、日本、サウジアラビアの主導で行われた。日本は中国と一緒になって、緑の気候基金を日中好みに歪曲することをやっており、この歪曲を利用して日中はあちこちの途上諸国で、基金の枠組みで石炭火力発電所などの建設を競って受注している。
米国で今、人為説に基づく温暖化対策を最も声高に言っているのは、新人議員であるオカシオコルテス下院議員(AOC)ら民主党の左派だ。AOCは、10兆ドルの米政府財政金をかけて2酸化炭素の排出削減をやるべきだと主張している。財政赤字をいくら増やしても政府は破綻しないと主張する「MMT(現代貨幣理論)」に依拠し、米政府が財政赤字の増加で10兆ドルを作り、そのカネで2酸化炭素の削減事業をやる「緑のニューディール」をAOCらが提唱している。これは米英などで古くからある構想をまとめたものだ。人為説は事実でないので、2酸化炭素を減らしても温暖化対策にならない。温暖化は危険なものでないので、そもそも温暖化対策も必要ない。MMTも正しくない理論だ。緑のニューディールを実施すると、米政府は無意味なことに10兆ドルを使って財政破綻する。
トランプ弾劾騒動も、最終的に弾劾が失敗してバイデン元副大統領(民主党エリート系の唯一の大統領候補)の悪事暴露に至るだろうから、民主党内でエリートがしぼんで左傾化に拍車をかけて終わる。
トランプの米国は昨年からパリ協定の離脱を宣言していたが、実際の離脱手続きを開始したのは最近だ。このタイムラグの意味するところも、これからの大統領選挙戦の期間に、温暖化問題の真贋や、パリ協定離脱への賛否を争点の一つにして、人為説のインチキを暴露するのをトランプ支持の増加につなげようとする策だと考えられる。
#グレタ
d1021.hatenadiary.jp
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中国は、旧体制が拠点化を目論む地
#多極化
地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から正式に離脱を表明したトランプ大統領。これに大反対の野党・民主党。大統領選挙の大きな争点と言える環境政策にMMTの専門家は・・・https://t.co/NuPVxlW6QM
— NHKニュース (@nhk_news) November 19, 2019
トランプ政権は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に正式に通告し、来年11月に離脱することになった。
野党・民主党は厳しく批判し、来年の大統領選挙で温暖化対策は今後、重要な争点になりそうだ。この議論の突破口になるか注目されるのが、最近よく聞く、MMT=現代貨幣理論。
その名付けの親として知られる、オーストラリア・ニューカッスル大学のビル・ミッチェル教授が来日した。
講演会場は、(意外にも)超満員で、平日の昼間にもかかわらずおよそ350人が駆けつけた。
きっとまた、「自国通貨を発行できる国は、インフレにならないかぎり、いくらお金を使っても大丈夫」という、お決まりの主張だろうと思っていたら、教授の口から飛び出したのは「グリーンニューディール」。
良い意味で、裏切られた。「グリーンニューディール」は、環境を表す「グリーン」と、世界恐慌の時代に、経済の活性化を図ろうとしたルーズベルト大統領の「ニューディール」政策をかけ合わせたことばで、地球温暖化対策や環境関連の事業に投資して、新たな雇用を生みだし、経済成長につなげようというもの。
アメリカでは、民主党の若き新星、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員が、2030年までにすべてのエネルギー需要をクリーンエネルギーで賄うなどと表明。
サンダース上院議員やウォ-レン上院議員など民主党の候補者がこぞって支持を表明している。
その一方で、トランプ政権が、温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に通告したことは記憶に新しい。
ミッチェル教授は、アメリカを含め各国の政府は、このグリーンニューディールに、優先的に資金を投入すべきだと主張していて、そのために必要なお金は、MMTの理論を使えば心配ないという。
講演の当日、ミッチェル教授と個別に話をする機会を得た。
(ミッチェル教授)
これはアメリカだけでなく地球全体の問題で、将来の世代のために全員が気候変動の問題に対応していくべきだ。
ルーズベルト大統領の打ち出したニューディール政策のような、景気後退を避けるために政府が財政出動をするということではなく、社会の構造的な改革で、これまでとは全く違う新しい国づくりをしていくということだと思う。実は、3週間前にアメリカを訪れたばかりだ。
現地で、学者や金融市場の関係者、政治の世界にどっぷりつかっている人たちに話を聞いてきた。私は政治学者ではないが、グリーンニューディールを提唱しているサンダース氏やウォーレン氏は民主党の中で指名を獲得できないだろう。
(ミッチェル教授)
グリーンニューディール政策を実施するために、「どうやって必要なお金を集めるのか」という質問のわなにはまってしまいがちだからだ。
MMTこそ、お金を集めるための答えなのだが理解されていない。気候変動の原因を作った人間の行動そのものを変えるには、炭素社会から脱却するための大規模な変革が必要で、必然的に政府が中心的な役割を果たさなければならない。
しかし、政府が財政的な負担を背負えるかということばかりに気をとられてしまうと、本当に有効な対策を打てなくなってしまうのだ。
MMTの主張では、政府は、必要なものに対してはいくらだってお金を使うことが可能だ。ここで考えるべきポイントは、「どうやって必要なお金を集めるのか」ではなく、「低炭素社会の実現に向けて、今の便利な生活を変えなければならないと、国民を説得できるか」であるべきだ。