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オバマ大統領の新外交戦略―IT外交― 横江公美 | 現代アメリカ | 東京財団

デジタル外交の中心的役割を担うのは、もちろん国務省である。2010年1月、ヒラリー・クリントン国務長官は、ワシントンDCのニュースに関する博物館「ニュージアム」でインターネット・フリーダムという言葉を使って基調講演を行った。


インターネット・フリーダムとは、先端技術のインターネットを使って外交と開発を結合しようという、ヒラリー長官率いる国務省の新しい挑戦である。ヒラリー長官は、インターネットでつながった世界では、人々は今まで以上に自由を手にすることになる、と演説した。


そして、翌日、国務省IT技術部門の筆頭アドバイザーのAlec Ross(アレック・ロス)が、ヒラリー長官の語ったインターネット・フリーダムに関する記者会見を行った。そこで、ロスは、国務省が目指す、ITを使った包括的な外交政策21st Century Statecraft(21世紀の外交術)を紹介した。ロスは、筆者とのインタビューで、21st Century Statecraftは、オバマ政権における、これまでの「人権外交」にかわる外交政策の要である、と語った。


人権というと拒否する国も多い。しかも人権外交はカーター大統領の下で登場したもので、既に使い古された感がある。さらに、現在のアメリカは、iPadiPhoneが登場し、第二次IT革命ともいえるソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)革命の真っただ中だ。オバマ政権は、この便利さと楽しさが共存する価値を、外交カードとして使おうというのである。


ちなみに、日本ではSNSと言うとフェイスブックツィッターに代表されるが、アメリカでは検索サイトのグーグルも参加型百科事典のウィキペディアも、ビデオ投稿サイトのYouTubeも含まれる。グーグルは、その瞬間のユーザーの検索回数に応じて検索結果が表示されるので、個人が作る参加型検索とみなされSNSの扱いになっている。


実は、国務省は、ブッシュ政権の時からSNSの活用に取り組んできた。国務省の役人が情報共有するために、国務省Wikiが作られている。ブッシュ大統領テロとの戦いの一環として、当該国の言語でサイトを作るなどして、当該国の国民に情報を送る取り組みも行ってきた。


そのため、ロスが目指す先端技術を使った新外交も、当該国の国民向けのパブリック・ディプロマシーとして理解されることが多い。実際、ヒラリー長官のインターネット・フリーダム講演に続いて、パネリストとして登壇した新アメリカ財団(New America Foundation)のRebecca MacKinnon(レベッカ・マッキノン)研究員は、「インターネット・フリーダムの演説を聞いた時は、パブリック・ディプロマシーとして理解していた」と語った。


しかし、21st Century Statecraftは、非常に斬新な試みなのである。ちなみに、筆者もロスにインタビューするまでは、パブリック・ディプロマシーとして理解していた。21st Century Statecraftのページが構築され、かつ国務省ホワイトハウスから聞こえてくる話から、ようやくその全体像が見えるようになってきたのは、中間選挙が過ぎたあたりからである。

21st Century Statecraftは、2009年1月・2月号のForeign Affairsに掲載された「America’s Edge」を元にしている。著者は、当時、プリンストン大学ウッドロー・ウィルソン・スクールの学部長だったアン=マリー・スローター(Anne-Marie Slaughter)である。そこでは「アメリカはコネクティビティ(つながり)をうまく使えば、21世紀をアメリカの世紀にすることができる」と要約されている。そして、スローターは、2009年1月23日、国務省の政策企画本部長に任命された。


アレック・ロスは、彼女の論文を理論的支柱に置き、この論文を各国に駐在するアメリカ大使に送ったと言われている。そして、ロスは、この政策の価値を認め実現に力を入れるクリントン長官を21st Century Statecraftの「ゴッド・マザー」と呼んでいる。


そして21st Century Statecraftの実行部隊のナンバーワンは、Jared Cohen(ジャレッド・コーエン)だった。コーエンは、ジョージ・ブッシュ政権下でコンドリーサ・ライス長官に指名され、国務省で働くようになった。当時、彼はすでにSNSをつかって世界中の人々とネットワークを構築しており、イランやシリア、アフリカといった情報が取りにくい地域の情報に誰よりも長けていた、とライスが認めるほどだった。


2009年1月共和党政権からオバマ大統領率いる民主党政権交代したが、コーエンは国務省に引き留められた。通常、政権交代すると前政権で指名されたスタッフは職を失うが、彼は、例外的に残ることを請われた。そしてオバマ大統領のネット選挙の要の一人と言われるロスと出会い、二人三脚で21st Century Statecraftを作ってきた。


ロスとコーエンは、グーグルやツイッターなどのCEOと関係を深め、彼らを新外交政策に引き込みながら21st Century Statecraftを育ててきた。2人はこの業界のCEOとともに開発が必要と思われる国も訪問し、21st Century Statecraftにビジネス界も巻き込んだ。


しかし、コーエンは中間選挙直前に国務省を辞め、グーグルの非営利部門に籍を移した。これは、グーグルが政府の頭脳を得たと、ワシントンDCでは大きなニュースになっていた。だが、21st Century Statecraftの流れは止まるどころが、オバマ政権は、さらなる期待を寄せるようになっている。


というのも、中間選挙敗北を受け2012年再選へのきっかけを作るために、ホワイトハウスも、21st Century Statecraftに注目するようになったからだ。

最後に政府の外から、21st Century Statecraftを支えるシンクタンクを紹介しよう。それは、ワシントンDCに本部を置くNDN(ニュー・デモクラット・ネットワーク)である。アレック・ロスは、所長のサイモン・ローゼンバーグとともに、2007年5月に「A Laptop in Every Backpack」という小論を書き、そこでは、すべての小学6年生がラップトップを持つことの意義を訴えていた。ローゼンバーグは、ロスとともに21st Century Statecraftの生みの親といえるのである。

さらに、NDNでは、研究員のサム・デュポン(Sam Dupont)が、Global Mobilという名の研究を行い21st Century Statecraftを後押ししている。

21st Century Statecraftについて、国務省のアレック・ロスにインタビューした際も、NDNのサイモン・ローゼンバーグ、そしてサム・デュポンにインタビューした際も、「日本にも協力してほしい」と言われていた。もちろん、まだ大きな声ではないが、アメリカ政府は日本政府にも声をかけている。

アン・マリー・スローター - Wikipedia

Jared Cohen - Wikipedia, the free encyclopedia

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Simon Rosenberg - Wikipedia, the free encyclopedia
サイモン・ローゼンバーグ講演録 「新しい政治の夜明け」 | 現代アメリカ | 東京財団

ローゼンバーグ氏は、民主党議員と幅広い人脈を持つ政治・選挙の戦略家。1992年大統領選でクリントン候補の選対本部スタッフを務めた後、民主党全国委員会および民主党指導者会議のメンバーとして活躍し、1996年にNDNの前身にあたる「新民主党員ネットワーク(NEW DEMOCRAT NETWORK)」を立ち上げた。


その後、ローゼンバーグ氏は、グラスルーツやインターネットを活用した選挙手法により、民主党の支持層を強化・拡大してきた。これまでに多数の民主党政治家を支援し、50名を超える新人議員を連邦上下両院へ送り込むのに貢献している。また、現在は、ヒラリー・クリントン国務長官の新しい外交理念の構築に貢献するなど、オバマ政権の知恵袋として活躍している。

21st Century Statecraft

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