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アングル:大手石油各社、危機対応で異なる戦略打ち出す | Reuters

石油各社は数十年ぶりという厳しい経営環境を乗り切るためにこぞってかつてないほど身を削ってきた。ただ、足元で経営陣が打ち出した危機対応の戦略にはそれぞれ違いが出てきている。


過去1年半で原油価格が70%前後も下落したことを受け、世界の石油大手5社が最近発表した利益は急減してしまった。こうした中で経営陣は、財務の健全性を損なわないために支出を削減しながらも、市況が回復したあかつきに競争力を保って成長できるような生産インフラを維持するという難しいかじ取りを迫られている。


そこで自らの専門性に特化したり、強みを発揮できる地域に経営資源を集中しようとする企業が見られるようになった。


例えば、シェブロンCVX.Lやコノコフィリップス(COP.N)、ヘス(HES.N)は相対的にコスト高の深海油田開発プロジェクトからは手を引き、米国のシェール産地に力を注ぐ方針だ。


これに対して英BP(BP.L)はエジプトのオフショア天然ガス田に将来を賭け、ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.L)はBGグループ(BG.L)買収によって備えを固めようとしている。


原油価格の下げが始まった2014年半ばの5年ほど前には、1バレル=100ドル超の時代があり、大手エネルギー企業は競って生産設備を拡大していた。幅広い地域で権益を購入したり、コストのかさむ深海や沖合の油田開発にいそしんだ。


しかし過去1年で各企業は設備投資を削減し、開発コストが数十億ドルに上り、稼働までに最長で10年もかかるような大型プロジェクトは断念している。


BMOキャピタルのアナリスト、ブレンダン・ウォーン氏は「企業は長期と短期の投資のつり合いを取りながら、しっかりしたバランスシートを維持して業況悪化局面をしのいでいきたいと考えている」と指摘。専門性に特化したり事業展開地域を絞り込むことで、投資家に「他に代えがたい価値を持つ存在」としてアピールできると付け加えた。


シェブロンは先週、比較的コストが低く数カ月で軌道に乗る短期の投資案件への支出に的を絞る事業計画を公表した。特に開発が難しくコストが高い深海油田開発プロジェクトをやめて、米パーミアン地区でのシェールオイル開発に重点を置こうとしている。


ジョン・ワトソン最高経営責任者(CEO)は「より長期サイクルのプロジェクトについて、われわれは積極的には進めていない」と説明した。


1バレル当たりで考えると、シェール層の方が深海よりも開発コストが高い場合もある。だが開発に要する期間はシェール層の方がずっと短く、事業執行リスクも低いため、より早期に利益を得やすい。


シェブロンの場合、既存の長期プロジェクトを豊富に抱えているため、新規プロジェクトは短期に専念できるという面もある。


深海油田から撤退しつつあるのはコノコフィリップスやヘスも同様で、両社はノースダコタ州などを含むバッケン地区のシェール生産に軸足を移行している。


一方でBPは昨年、大型プロジェクトを承認した数少ない大手で、エジプトの西ナイルデルタの天然ガス開発に120億ドルを投じる意向だ。これは、自社の生産を伸ばす上でこの地域のガスに多くを依存しようという戦略に基づいている。


シェルは原油安が始まったそれほど時間が経過しないうちに、BGグループ買収という手を打った。買収額はセクター内で10年来の大きさだった。同社は液化天然ガス(LNG)とブラジルにおけるオフショア石油生産で最大手となり、保有エネルギー資源を20%程度増やすことを目指している。