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「重力波を初観測」米中心の国際研究チーム 発表 NHKニュース

アメリカにある「LIGO重力波観測所」の国際研究チームは、現地時間の11日午前首都ワシントンで会見し、アインシュタインがちょうど100年前に「一般相対性理論」の中で提唱した現象である「重力波」を初めて直接観測することに成功したと発表しました。
重力波は、ブラックホールなどの天体によって生み出された宇宙空間の「ゆがみ」が波となって伝わる現象で、研究チームによりますと、2つのブラックホールが合体するときに出た重力波を去年9月に観測したということです。2つのブラックホールは、質量がそれぞれ太陽の29倍と36倍と極めて大きく、観測された重力波は13億年前に出たものだと説明しています。重力波はこれまで直接観測されたことがなく、アメリカだけでなく日本やヨーロッパなど世界の科学者が観測を目指していました。
観測に成功した「LIGO重力波観測所」は、アメリカの西部ワシントン州と南部ルイジアナ州の2か所に施設があり、研究チームを率いるカリフォルニア工科大学のデビッド・ライツィー教授は会見の冒頭で「重力波を観測したぞ!」と叫び、喜びを表していました。
重力波の観測はノーベル賞に値する成果とも言われ、今後は世界各国の科学者による観測データの検証が進められることになります。

アインシュタインが発表した「一般相対性理論」は宇宙の数多くの現象を言い当て、現在の物理学の土台となっていますが、そのなかで唯一、直接観測されていなかったのが100年前に予言した「重力波」です。このため、アインシュタインの「最後の宿題」といわれていました。
一般相対性理論」では、すべての質量がある物体はその質量に応じて空間をゆがめ、そこを流れる時間の早さも変わるとされています。「重力波」は、その物体が動いた際に空間のゆがみが波となり、光の速さで周囲に伝わるもので、何にも遮られることはないと予言しています。
1993年には、アメリカの2人の物理学者がお互いの周りを回っている2つの星の軌道の分析から重力波の存在を間接的に証明したとして、ノーベル物理学賞を受賞しています。
しかし、予言された空間のゆがみは極めて小さいため、これまで理論の発表から100年間、重力波を直接観測した例はなく、世界の研究機関がしのぎを削っていました。

NASAアメリカ航空宇宙局などによりますと、重力波は、半世紀前から観測が試みられていて、どの国の研究チームが実際の観測に成功するのか注目が集まっていました。このため、数日前にLIGO重力波観測所の研究チームが「最新の成果を報告する」と発表すると、世界各国で憶測の記事が出て、ワシントンの会場には多くのメディアが詰めかけました。そして、研究チームを率いるカリフォルニア工科大学のデビッド・ライツィー教授が会見の冒頭で、「重力波を観測したぞ!」と述べると、メディア関係者からも大きな拍手が起きました。
会見では、観測された重力波の波の形が紹介され、ライツィー教授によりますと、2つの施設でそれぞれ観測された波の形が驚くほどそっくりだったということで、「最初に見たときは驚いた。ほかの現象を見ているということはないのかなど、あらゆる可能性をつぶした」と説明しました。
また、ライツィー教授のあとに会見した別の研究者は、この波の形を基に重力波を音で表してみたことを明らかにし、初めて紹介された何かがはじけるような短い音に、会場の関心が集まっていました。

重力波の観測を目指して日本が建設を進めている観測装置、「KAGRA」の研究プロジェクトで、観測データの分析を担当する大阪市立大学の神田展行教授は、研究室のメンバーとともに大阪・住吉区の大学の会議室に集まり、国際研究チームの発表をインターネット中継で見守りました。時折メモを取りながら耳を傾け、発表が終わるとメンバーから拍手が沸きました。
神田教授は、「論文を読み込んで検証する必要はあるが、発表を聞いたかぎりではものすごい快挙で驚いている。アインシュタインが存在を予言した『重力波』を世界で初めて捉えたこと自体すごいが、その重力波ブラックホールから出たとみられる点にもびっくりしている。光を発しないブラックホール重力波を捉える以外、観測する方法はないとされてきたが、今回の成果はブラックホールの存在を裏付ける証拠を観測したことになる」と話していました。
そのうえで、「今回の発表で、日本の観測装置、『KAGRA』でも重力波を観測できるはずだと勇気づけられた。今後、日本を含む世界各地で観測体制を整え、今回の研究成果を検証していくことが、物理学や天文学の発展のために重要だ」と話していました。

素粒子物理学を研究している東京大学数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長は「大変興奮しています。天文学の新時代が幕を開けました」と述べてその成果を高く評価しました。
村山教授は、出張先の首都ワシントンでNHKの取材にメールで応じ、「アインシュタインは時空が震えることを予言していましたが、それが確認されました。小さな『さざ波』をとらえた技術的に見ても、とんでもない離れわざです」と述べました。そのうえで、「これで、ブラックホール重力波を使って『聞く』ことができるようになります。『KAGRA』という重力波の観測施設を作っている日本の仲間たちにとってもすばらしいニュースです。これから驚くべき発見が次々とあることを期待します」とコメントしています。

「LIGO重力波観測所」はアメリカのカリフォルニア工科大学マサチューセッツ工科大学が中心となって建設した観測施設で、実験には、世界15か国の1000人以上の科学者が参加しています。
長さ4キロメートルの2本の長大なパイプをL字型に組み合わせ、そのパイプの中を真空に保っている施設で、アメリカの西部ワシントン州と南部ルイジアナ州の2か所に同じ施設が2つあります。2つの施設では、パイプの中でレーザー光線を照射していて、その光線が往復する時間に僅かな変化があると、それが重力波による変化である可能性が高いとされ、同じ変化を2か所の施設で同時に観測して互いに検証することで重力波かどうかを判定できるということです。
LIGOでの重力波の観測は2002年から始まりましたが、2010年までの8年間一度も重力波を観測できず、いったん運用を終えています。その後、観測の能力を10倍に上げるための改修工事がおよそ5年かけて行われ、「アドバンストLIGO」より高度になったLIGOとして去年9月から再び観測を始めていました。
重力波の観測施設はほかにもあり、ヨーロッパの研究機関がイタリアに建設し2007年から運用を始めた「VIRGO」のほか、日本の岐阜県飛騨市には「KAGRA」という施設があります。

アメリカを中心とした国際研究チームが、アインシュタインが提唱した「重力波」を初めて直接観測したと発表したことについて、NASAアメリカ航空宇宙局も11日プレスリリースを出し「宇宙物理に新たな分野を切りひらく待ちに待った第一歩だ」と述べています。
NASAのプレスリリースは11日ホームページに掲載され、はじめに首都ワシントンで発表されたLIGO重力波観測所での観測結果を紹介し、「私たちの宇宙に関する知識のほとんどは、星々などが出す光の観測を通して形づくられてきた。重力波で研究できるということは、たとえるならば、新しい窓を通して宇宙を見ることができるということで、ほかの手法による観測をおおいに補ってくれるだろう」とコメントして観測結果を高く評価しました。
そのうえで、NASAは、LIGOが今回重力波を通して直接観測したという2つのブラックホールが合体する現象について、「X線などを通して観測を試みている。複数の手法による観測ができれば、この現象をより深く理解できることにつながる」と述べていて、ヨーロッパ宇宙機関などと共同で探査に取り組んでいくとしています。

日本も目指した「重力波」の初観測 NHKニュース

このうち日本で計画を中心的に進めてきたのが、「ニュートリノ」と呼ばれる素粒子の研究でノーベル物理学賞を受賞した東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長です。重力波の観測を目指し、東京大学宇宙線研究所と国立天文台などが岐阜県飛騨市に建設したのが、重力波望遠鏡と呼ばれる巨大な観測装置、「KAGRA」です。
この装置は長さ3キロもある2本のパイプがL字型につなげられていて、この中でレーザーを使って精密に距離を測ることで重力波による空間のゆがみをとらえます。アインシュタインが予言した空間のゆがみは極めて小さいため、装置は振動や温度変化の少ない地下200メートル以上のトンネルの中に設けられたほか、装置の中は真空に保たれレーザー光線を反射する鏡は分子の振動を抑えるためにマイナス253度まで冷やされます。
「KAGRA」は来月から試験運転に入り、2年後までに本格的な観測を始める予定でした。
一方、今回発表を行ったアメリカの「LIGO」のほかに、ヨーロッパの「VIRGO」という施設も観測に挑んでいます。

アメリカなどの研究チームによる「重力波」の観測成功の発表について、日本で重力波を観測する計画を中心的に進めてきた東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長は「重力波や、アインシュタイン一般相対性理論の研究者が待ち望んでいた歴史的快挙です」というコメントを発表しました。
そのうえで、「われわれは今後も引き続き、KAGRAの建設を進めて完成させ、高い感度を実現して重力波の国際観測ネットワークに一刻も早く参加し、重力波天文学という新たな学問分野に貢献していくつもりです」と今後の抱負を示しています。

「重力波」捉えられれば天文学も飛躍的発展 NHKニュース

古代、天文学の起源は星が放つ目に見える光の観測でした。現在も光の分析は星の温度や物質の構成のほかブラックホールの研究にも利用されています。
一方、「ビックバン」の名残などとして宇宙には電波が飛び交っていて、20世紀に入るとこうした電波をはじめとした電磁波を捉える研究が進み、光では見ることができないさまざまな天体現象の発見につながりました。
その次の観測手段として注目されているのが「素粒子」、とりわけ宇宙の初期に大量に作られた「ニュートリノ」です。ニュートリノはさまざまな物質の影響を受けにくく、宇宙が誕生した時の状態を今もとどめていると考えられているため、これを観測することで宇宙の誕生と進化の過程の解明につながると期待されています。
そして、光、電磁波、素粒子に続く第4の観測手段が「重力波」です。今回、アメリカの「LIGO」が観測したと発表したのは、地球から13億光年離れた太陽の29倍と36倍という極めて大きな質量を持つ2つのブラックホールが合体する際に生じた重力波です。重力波の観測が確認されれば、「一般相対性理論」の最後の難題が確かめられ、宇宙の成り立ちの解明につながるだけでなく、強力な重力で光さえも飲み込んでしまうブラックホールの誕生の瞬間を直接観測できるようになるなど天文学に新たな発見をもたらすと期待されています。

素粒子物理学を研究している東京大学数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長は首都ワシントンでNHKのインタビューに応じ、「興奮しました。重力波を通して、ブラックホールの合体を検出できたのは、歴史的な偉業で、新しい天文学の時代が幕を開け、さらに新しい宇宙物理学が見えてくることが期待できる。まさに歴史的な瞬間だと思います」と述べ、天文学の飛躍的な発展につながる成果だとして、高く評価しました。
そのうえで、村山さんは、「重力波というまったく新しい手段によって、今ままで見えなかった宇宙でのさまざま現象を重力波を通して『聞く』ことができるようになり、これまで想像もしなかったような新しい現象が見つかる可能性がある。ワクワクしている」と話し、今後の研究への期待を示しました。
村山さんは、東京大学などが岐阜県飛騨市に建設した巨大な観測装置、「KAGRA」について、「KAGRAが完成すると、どこから重力波が来ているのかを特定できるようになる。アメリカ、ヨーロッパ、日本と、世界の3か所に観測装置があることがポイントで、世界的に見ても重要な装置になる」と述べています。

アメリカを中心とした国際研究チームが、「重力波の観測に成功した」と発表したことを受けて、本当にデータが確かなのか今後、世界中の研究者が確認を進めることになります。
今後、地球上の複数の場所で第2、第3の重力波を観測することができれば、重力波が届いた時間の差から三角測量のようにどの方向から来たかが特定でき、光などでは観測できなかった宇宙のさまざまな現象が見えてくる可能性があります。これには、日本の「KAGRA」やヨーロッパの「VIRGO」など世界の観測施設が連携することが必要で、日本にもその役割が期待されています。
一方、重力波の観測は極めて難しいため、これまでにも発表後にデータの誤りが見つかったケースがあります。おととし、アメリカの研究チームが「重力波の痕跡を世界で初めて観測した」と発表しましたが、去年になって、「観測を裏付けられなかった」と訂正しています。

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