アップルVS司法当局 テロ事件以外の12件でも NHKニュース
アメリカでは去年12月に起きたテロ事件を捜査しているFBI=連邦捜査局が、死亡した容疑者が使っていたアップルのスマートフォンのロック機能を解除するため、アップルに協力を求めたものの拒否され、捜査目的の情報収集と個人情報の保護を巡る議論が高まっています。
この問題で、去年9月以降、テロ事件とは関わりがない12件の捜査について司法当局が裁判所を通じて、アップルにロック機能の解除に協力するよう命じていたことが裁判所の資料で明らかになりました。
このうちの1件では、麻薬取締局がニューヨークの麻薬密売の捜査で入手した、スマートフォンのロック機能の解除を求めています。アップル側は、いずれの件でも異議を唱えるなどして協力していないとしていますが、司法省は「アップルは法的な手続きをとらず、命令を無視している」として対応を批判しています。ロック機能の解除を巡っては、司法当局は「テロ事件の捜査に限って協力を求めている」としてきましたが、たびたび司法当局とアップルのせめぎ合いが起きていた実態が浮かび上がり、今後の議論の行方が注目されています。
アップルCEO ロック解除応じれば利用者を危険に NHKニュース
アップルのティム・クックCEOは、24日アメリカABCテレビのニュース番組に出演しました。
この中で、クックCEOは、FBI=連邦捜査局がテロ事件の捜査のため、死亡した容疑者が使っていたアップルのスマートフォンのロック機能の解除に協力を求めていることについて「個人情報の保護は極めて重要だ。当局の求めに応じれば利用者を大きな危険にさらすことになる」と述べました。そのうえで「スマートフォンの情報を取り出すためには、新たなソフトウエアを導入するしかないが、これはがんのようなものでとても危険だ」と述べ、ソフトを作れば今後、悪用される可能性もあるとして、当局の求めには応じない考えを改めて強調しました。
巨大IT企業と司法当局による個人情報の保護と捜査目的の情報収集を巡る対立は、アメリカで大きな関心を集めており、大手調査会社のトムソン・ロイターによりますと、アップルを支持する人が46%なのに対して、支持しない人は35%と、世論は大きく分かれています。