中国から資金流出20兆円、資本逃避でなくドル債務返済か−BIS - Bloomberg
2014年半ばから続いている中国からの資金流出は、同国の資産から投資家が手を引いたというよりも、ドルの上昇を予想した中国企業がドル建て債務の返済に動いたことが影響した可能性が高い。国際決済銀行(BIS)が四季報でこうした見解を明らかにした。
BISが6日公表した四季報は、中国の通貨からの資金流出について、「中国本土の資産の投資家による一斉売却か、中国企業のドル建て債務返済」」という「2つの異なる説明」に行き着くと指摘。BISの分析が「後者を支持する」とする一方、これら2つの説明では「オフショア人民元のデポジット縮小」が見落とされているとの見方を示した。
昨年12月時点で新興市場国の借入額と借り入れペースが行き過ぎである可能性を警告していたBISは、中国が昨年7−9月(第3四半期)に見舞われた国境を越える資金流出が過去最高の1750億ドル(約19兆9200億円)に達した状況について、公的準備の流出は120億ドルにすぎず、残り1630億ドルが民間部門の資金流出だったと分析した。
BISによれば、1630億ドルのうち人民元のデポジット減少が800億ドル、中国企業による外貨建て債務のオフショア銀行への直接返済が340億ドル、オンショア銀行への返済が70億ドルを占めた。
BISによると、昨年10−12月(第4四半期)にはオフショア人民元のデポジット減少ペースが鈍る一方、企業による外貨建て債務の返済ペースは加速しており、資金流出が続いている状況が浮き彫りになった。
中国人民銀行(中央銀行)は「人民元の実効レートの安定を維持する意向」を表明しており、これは「ドルが主要通貨に対して上昇する場合、人民元の対ドル相場が下落することを暗示する」と四季報は分析。「こうした出来事が起きれば、オフショア顧客は満期が到来する人民銀建て預金を持ち続けることはせず、中国企業が今後もドル建て債務の返済に動く理由になるだろう」と予測した。
China's $175 Billion Outflow Wasn't Investor Flight: BIS - Bloomberg Business