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コラム:膨らみ続ける中国の債務、抑制策は先送り | ロイター

政府の新たな5カ年計画では、直面するジレンマが鮮明になっている。李克強首相は、2020年までの年平均実質成長率目標を6.5%以上にすると表明した。広義の民間セクター融資を示す「社会融資総量」は2016年に13%増える見通しだ。このため、仮にインフレが楽観的な目標である3%になったとしても、債務の伸びは名目GDPを上回ることになる。こうした傾向が続けば、債務総額は2020年までにGDPの約290%に達する見込みだ。


中国人民銀行中央銀行)の周小川総裁は企業債務の増加に懸念を示しているが、政府が融資を抑える兆候はほとんど見当たらない。銀行が今年1─2月に新規融資として貸し出した金額は3兆5000億元(5億4000万ドル)で前年同期比3割強の増加となった。中国企業は、国内で借り入れた資金を外国での企業合併・買収(M&A)に充当している。トムソンワンによると、中国企業による外国でのM&Aの総額は今年、1000億ドル近くに達している。株式市場がもっと健全であれば、企業はより多くの株式を発行して債務負担を軽減できるのだが、昨年のバブル崩壊により投資家は慎重な姿勢を強めている。


政府もさらに大きな債務負担を背負う恐れがある。国際決済銀行(BIS)のデータに基づいてBreakingviewsが算出したところ、昨年のGDPに対する公的債務の比率は約44%となり、先進国の比率を大きく下回る水準だった。だが、これには国有企業や地方政府による借り入れは含まれていない。ムーディーズは、これらの国有企業や地方政府などの債務がGDPの50─70%に上ると推計している。


一方で消費者の借り入れ総額はGDPの39%にとどまっている。このため家計が住宅ローンやクレジットカードなどの借り入れを増やす余地は大きい。消費者の借り入れブームが起きれば、中国経済を消費主導型へと移行させながら政府の経済成長目標を達成するのに役立つかもしれない。しかしながら、誰が借り入れるにせよ、債務総額の水準は上昇し続けることになる。世界中の他国と同様、債務負担の低減には時間の経過を待つ必要がある。