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焦点:増産凍結合意の裏に抜け穴、ロシアの原油輸出拡大で露呈 | ロイター

低迷する原油価格を回復させるため、ロシアやサウジアラビアなど主要産油国は条件付きながら増産凍結で合意し、4月にカタールで開く石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国による会合での最終合意を目指している。その一方で、ロシアの4月の欧州向け原油輸出量は30カ月ぶりの水準に増える見通しだ。


ロシアは4月にバルト海の港から原油を700万トン輸出する見通し。3月に輸出を予定する641万トンから9%増加し、2013年10月以来の高水準となる。石油パイプライン独占企業トランスネフチが23日、ロイターに明らかにした。


ロシアの輸出拡大という事実は、合意を実行する難しさとともに、各国が抜け穴を利用して原油輸出を続け、増産凍結による価格への影響力を弱める恐れがあることも示唆する。


原油の一部を国内の精製所から輸出用に振り向けることで、ロシアは生産量を横ばいに抑えつつ、輸出を増やすことが可能になる。


ロシアのノバク・エネルギー相は、合意の対象は「生産量の凍結のみだ。輸出は関係ない」と記者団に語った。


国際エネルギー機関(IEA)は23日、合意は無意味になるかもしれないと述べた。イランとリビアが少なくとも現在は不参加を表明し、増産の構えを見せているためだ。原油生産量がアフリカ最大のナイジェリアも、来月のドーハ会議では増産凍結で合意できると予想するものの、同国自身は増産する計画だと述べた。


ロシアの輸出増大は主に、石油精製所で保守点検作業が予定され、国内の処理能力が低下することや、景気の落ち込みで国内需要が低迷していることが背景にある。


あるトレーダーがもう一つの要因として挙げるのは、ロシアの石油会社が欧州原油市場でのシェアを守ろうとしていることだ。欧州市場は伝統的にロシアが強みをもつが、新たに参入したサウジからの原油供給によって脅威にさらされている。


エネルギー省のデータに基づくロイターの試算では、ロシアは来月、最大430万トンの生産余剰能力を抱えるという。同国の石油精製所は夏場のピーク時に備え、保守点検作業を急ぐため、毎年4月に最大の余剰能力を抱えることになる。


しかし点検のためだけではない。余剰能力を輸出に回すほうが利益が上がるという石油業界の事情もある。


ロイターの試算によると、先月原油を販売した業者は、国内に比べて輸出向けのほうが1トンあたり約500ルーブル(7.3ドル)利益を上乗せできた。

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