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節約した100万円を貯金しても、あなたの価値は1円も増えない|あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門|ダイヤモンド・オンライン

価値を高めたいとき、何が必要だろうか? すぐに思いつくのは「企業:コストを抑えて利益を高める」「個人:節約をして貯金を増やす」などだが、これはファイナンス的には正しいやり方ではない。

キャッシュフロー、つまりキャッシュインとキャッシュアウトの差額を増やせばいいということは、利益(=売上−コスト)を増やせばいいということか。それなら簡単だ!」


しかし利益を増やせば、価値が増えるかというと、事はそう単純ではないのだ。

【問題】
あなたがその店の店長なら、20万円の値引きをするか、しないか?
「価値を高める」という視点で考えてみよう。

まず、年間の利益が増えたとしても、これはあくまでその店だけでのこと。世界に名だたる高級ブランドKのお店の1つが値引きをしたとなれば、そのブランドの価値自体が著しく毀損することになる。


一度でも値引きされたブランドを、定価で買おうとする顧客はかなり少ないだろう。場合によっては、値引きしてまで売ろうとすることで、ブランドKを見限る顧客も出てくるかもしれない。


それに、値引きによる将来キャッシュフローの減少は、その店だけには留まらない。1つの店舗で値引きすれば、ほかの店舗でも値引きを迫られることになる。


1店舗の愚行が、世界中のブランドKの店舗の価値を毀損してしまうのだ。


このように目先の利益を実現するために値下げを断行すると、将来的な稼ぐ力が未来永劫大きく損なわれることになる。重視すべきは、単年度での稼ぎではなく、持続的な稼ぐ力なのだ。


しかもたいていの場合、稼ぐ力の毀損はバランスシートには現れない無形資産の領域で起きるため、決算書だけを眺めている経営者は必ず見落とす。

1年の稼ぎではなく、長期的な稼ぐ力が価値を決めるという考え方は、企業価値評価だけではなく、人間の価値にも提供される。

【問題】
このとき、Lくんの価値は果たしてどれだけ増えただろうか?
ファイナンス的の観点から答えよ。

バランスシートで考えてみれば、Lくんが持っている労働力(無形資産)が、預金(流動資産)に換金されたにすぎない。資産の部そのものの大きさはまったく変わっていないのである。

では、どうすればLくんは自分の価値を高められただろうか? たとえば、すべてを預金に回すのではなく100万円を資格取得の勉強のために使っていたらどうだろうか? この資格取得によって、とある大企業に正社員として就職できたとしよう。これによってLくんのバランスシートは大きく形を変える。

このようにファイナンスでは、持っているお金の額や、その年たまたま稼いだ金額ではなく、「将来にわたってどれくらい稼げるか」で価値が決まる。これは、モノも企業もヒトもまったく同じだ。

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