https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

これって、セカイノオワリの始まりなの?:イスラム国は“賢者の石”から生まれた|日本人が知らない本当の世界経済の授業|ダイヤモンド・オンライン

「我々は、イスラム国がヒドイことをしているのを見て、イスラム教がコワいとか、悪魔だというイメージを持ってしまいがちですが、実際には、イスラム教徒をそういう行動に走らせるような憎悪を生んだキリスト教側に問題があると私は思っています」


「それって4回目のゼミ」(『増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』参照)で教えていただいたイギリスが、みんなにいい顔をしてインチキな約束をして中東をメチャメチャにした、という話と関係しているんですか?」


「そうですよ。およそ100年前、イスラムの大国、オスマン帝国を第1次世界大戦で亡ぼすにあたって、イギリスが、アラブ人、ユダヤ人、ロシア・フランスの3者と矛盾する約束をして、オスマン帝国を分割する話ですね。その結果、クルド人は分割され、イラクやシリアのような人造国家が生まれ、ユダヤ人の国のイスラエルが生まれる伏線となったわけで、現在の中東の火種の根本的な原因というわけです。でも、本当の原因はもっと前に遡る必要があるのです」


「もっと前って、いったいどのくらい前なのですか?」


「およそ1000年前です」


「え〜、そんな古い話が今にまだつながっているんですか?」


「ええ。およそ1000年前の十字軍が、根源ですね」


「十字軍ってキリスト教徒が、イスラム教徒と戦うやつですよね」


「そうです。聖地エルサレムイスラム教徒に占領されて、巡礼ができないとしてキリスト教徒がイスラム教徒に戦争を仕掛けてエルサレムを奪還しようとするのです。


 この十字軍というのが、じつは大混乱の始まりなのです。十字軍がエルサレムを奪還するにあたってエルサレムにいたイスラム教徒のみならずユダヤ教徒も、女子供もすべて皆殺しにしてしまうのです。エルサレムの街がすべて血の海になってしまう、その凄惨さはすさまじいものだったのです。


 しかも、聖地奪還という宗教的な大義名分とはかけ離れたような金儲けのための略奪・暴行行為を行ないました。イスラム側から見るとまるでカルトで野蛮な強盗殺人集団に突然、襲われたようなものだったと思います」

「ということは、今のイスラム教とキリスト教のいざこざは、キリスト教がそもそもまいた種っていうことですか?今は十字軍の延長ってことですか?」


「……残念ながら、ずばり言えばそういうことになります。さらに言えば、聖地エルサレムイスラム教徒に占領されて、巡礼ができないというのは、実際は言いがかりだったのです。4回目のゼミでも少し話しましたが、イスラムの世界はじつは他宗教に対して寛容です。イスラムに征服された人たちもイスラムに改宗を強要されることもなく、税金さえ払えば特になんの問題もなかったのです。ですから、聖地エルサレムにはユダヤ人もキリスト教徒もいたわけですし、キリスト教徒が巡礼することにも支障はありませんでした。イスラム側とすると理不尽極まりない話だったのです」

「第1次世界大戦でイギリスがめちゃくちゃにしたあと、第2次世界大戦後の覇権国のアメリカも中東に介入してめちゃくちゃにしてしまいました。直近のブッシュJr.大統領は、原理主義的なキリスト教福音派から支持されていて、イラク悪の枢軸と呼んで、攻撃したわけです。そしてイラクの独裁者フセインを倒したら、イラクは良くなるどころかより貧しく悲惨な国になって、その結果イスラム国が生まれてしまいました」

「権力や経済的な利権のために、宗教を政治利用してしまったことが問題なのです。さっき話した十字軍はその典型です。ローマ教皇は権力を拡大しようとし、封建領主には領土的野心があり、イタリア商人は商圏を拡大して利益を得ようとして、皆が私利私欲のために宗教を利用したわけです」


「自分たちの私利私欲を隠すために、自分の神様が正しくてそれ以外は間違えているとした、ということですか?」


「そうです。邪宗イスラム教徒がキリスト教徒を迫害して聖地エルサレムを占拠しているので、キリスト教徒のために取り返さなければならない、と宗教的な“大義や正義”を掲げたのですが、その“大義や正義”は欲を覆い隠すためのものだったというわけです。


 現在のアメリカのやっていることも、実際には中東の石油利権が絡んでいるのに、それを覆い隠す“正義”を掲げて戦争しているので、十字軍と同じロジックというわけですね」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160518#1463567944