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ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏(米コロンビア大教授)とスイスの汚職対策専門家、マーク・ピース氏は5日、タックスヘイブン租税回避地)の実態を暴露した「パナマ文書」の問題を受け、パナマ政府が設立した調査委員会のメンバーを辞任したと発表した。


スティグリッツ氏はロイターの取材に対し、パナマの金融システムの不透明さを調査するために設立された「パナマ文書委員会」そのものが透明性を欠いていると批判。


「政府はもっと熱心だと思ったが、そうでないことは明らかだ。われわれを骨抜きにしようという姿勢は驚きでしかない」と批判した。


パナマ政府報道官は、今後声明を発表すると説明した。


両氏によると、委員会は6月4─5日にニューヨークで開かれた初の全体会合で、パナマ政府はどのような事実が見つかろうとも、最終リポートの公表を確約する必要があるとの結論で一致したが、先週、政府から約束を撤回するとの通知を受け取ったという。


スティグリッツ氏は「われわれには、パナマの不透明な金融システムから利益を受けている方面から圧力が加わっているのではないかということしか推察できない」と語った。


ピース氏は電話取材に対し、「いわゆるパナマ文書を詳しく調べてきたが、経済・組織犯罪の専門家の観点から見ても、理論で想定されてきたケースの大半が実際に確認されたことに驚きを禁じ得ない」と説明。児童買春をめぐる資金洗浄といった犯罪の証拠も見つかったことを明らかにした。


スティグリッツ氏は、7人の委員のうち、2人を除く5人も辞任する可能性があり、透明性向上に向けパナマ政府に圧力を加えられるかどうかに掛かっていると呼び掛けた。

タックスヘイブン狩りの実情。世界の国税当局の「つながり」とは?|税金亡命|ダイヤモンド・オンライン

 いわゆる租税条約の主な目的は、「国家間の二重課税の調整」と「脱税・租税回避への対応」である。


 先進国の多くでは、「全世界所得課税」を採用しているので、各国が勝手に課税し始めると二重課税など、自国企業に迷惑がかかるので調整が必要となる。放っておくと、国と国との「税金のぶん取り合戦」になりかねない。


 それと、脱税や租税回避への取組を行うということも重要な目的である。二重課税の調整は、ある程度の積み上げをしてきたので、これからは租税回避の封じ込め、それとタックスヘイブンと言われる国・地域などでの隠れた所得の摘発が行われることになるだろう。


 租税条約(二重課税の回避、脱税及び租税回避等への対応を主たる内容とする条約)を締結しているのは、54条約、65ヵ国・地域(平成28年7月現在)に及んでいる。


 ここ数年の特色として、旧来タックスヘイブンと言われた香港、マン島(情報交換協定)、ケイマン諸島バハマバミューダなどが相次いで条約に署名してきた。また署名から発効までの期間が極端に短いというのが目立った。

 国家間の二重課税の防止については、関係国税務当局が「相互協議」というテーブルについて、二重課税や多重課税を回避することになる。


 一方、脱税や租税回避への対応について、大きな役割を果たすのが「情報交換制度」があげられる。情報交換は大きく次の3つのモデルがある。


(1)自動的交換資料
 例えば、利子、配当などに関して、条約の相手国に「自動的に送付する」もの。国内の支払調書や源泉徴収票をイメージしていただければと思う。日本居住者で、外国の銀行口座を開設している人は、この制度により国税に通報されることになる。


(2)個別的情報交換資料
 特定の事案に関連して「情報提供を要請し、取引内容の解明を条約相手国の税務当局に求める」ものである。日本の納税者を調査している最中、外国口座についての情報収集を委託したり、必要に応じて相手国に調査実施をしてもらい、課税情報を得る制度である。ここが「国際税務の要」となる。


(3)自発的情報交換資料
 条約相手国からの要請がない場合でも、「他国に有効な情報と判断」した場合に、自発的に情報提供するもの。信頼がある国家間でないと、自発的交換はなかなかされない。