メラニアはスロベニアの田舎に生まれた。母は畑仕事に出ていたというから、決して裕福な家庭ではなかったのだろう。聞けば、トランプと同じような、前時代的で尊大で一家を支配する父親と、それに仕える母親という構図だったらしい。
しかし、メラニアは田舎暮らしに飽き足らなかった。
スロベニアの首都に進学し、それからヨーロッパでモデルの仕事をするようになり、そして、ニューヨークに渡ったのである。
スロベニアの田舎の貧しい地域に生まれ、単身、ヨーロッパに渡り、ニューヨークに渡り、そして、巨万の富を持つといわれる男の妻に収まった。
夫に従うだけで自分の意志を持たないかのように言われるメラニアは、実は「人生において手に入れたいもの」を早い時期からはっきりと自覚していたし、それに対して誰よりも野心的に「一生懸命に努力」したのではないかと思うのである。
人間性を褒めるでもなく、聡明さを愛でるでもなく、トランプは妻の見てくれを真っ先に重視する男であることが、図らずも明らかになったのである。
そして、このツイートから透けて見えるのは、トランプがメラニアを尊敬していないという事実である。
「どうだ、いいだろう」と新しい玩具を自慢する子供のように、「どうだ、美人だろう」と自分の妻を自慢する男。
巨万の富を持ちながらも、妻を尊敬しているように見えない男。尊大な夫に我慢して、人生を共にするのも、「人生において手に入れたいもの」のために、「一生懸命に努力する」ことの一部なのだろうか。
私の中の大きな疑問は二つ。
1) 生前に他人を顧みずに悪行の限りを尽くした人が三階層の一番下というのは分かる。けれど、生前にまじめに正直に生きた人が、モルモン教を信仰しないという一点だけで差別されて三階層の真ん中なのはどうしてなのだろう。神の愛は、それほどに狭量なのだろうか。
2) Spiritual Worldで、モルモン教しか教えないというのは、アンフェアではないか。仏教やヒンズー教やいろいろな教義を聴講して、違うかなと思ったものはドロップして、いいなと思ったものは残すような、大学の講義のようなシステムのほうが、フェアではないだろうか。
この質問をしてみたところ、
「真実というのはひとつだけだから」
と、とても強い口調で言われた。
「信仰」とはこういうことかと、私は思った。「信じる」というのは、こういうことなのである。
そこに論理なんてないのである。「ただ、それだけが真実なんだから。それだけなんだから」というのが、唯一の答えなのである。
何かをこれほど強く信じるということは、すべてに対して懐疑的であることよりも、よっぽど素晴らしいことだろう。
実際に、モルモン教の説明をしてくれた人たちは、みんなとても好感の持てる人で、私の素朴な疑問にも可能な限り誠実に答えてくれた。
宗教というのは、風土と慣習に根付いたものだろうと、強く感じる。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160810#1470825141
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160807#1470566108
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150129#1422527831
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150122#1421923052
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141224#1419417959