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本件の事実関係等の概要1 本件は,神奈川県内に所在し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍(以下「米海軍」という。)が使用する施設である厚木海軍飛行場(以下「厚木基地」という。)の周辺に居住する平成27年(行ヒ)第512号上告人ら・同第513号被上告人ら(以下「第1審原告ら」という。)が,自衛隊及びアメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)の使用する航空機(以下,それぞれ「自衛隊機」,「米軍機」という。)の発する騒音により精神的及び身体的被害を受けていると主張して,平成27年(行ヒ)第512号被上告人・同第513号上告人(以下「第1審被告」という。)に対し,行政事件訴訟法に基づき,主位的には厚木基地における一定の態様による自衛隊機及び米軍機の運航の差止めを,予備的にはこれらの運航による一定の騒音を第1審原告らの居住地に到達させないこと等を求めている事案である。

1 海上自衛隊及び米国海軍が使用する飛行場の周辺住民が,騒音被害を理由として自衛隊機の運航の差止めを求める訴えについて,行政事件訴訟法37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められた事例


2 海上自衛隊及び米国海軍が使用する飛行場における自衛隊機の運航に係る防衛大臣の権限の行使が,行政事件訴訟法37条の4第5項所定の行政庁がその処分をすることが裁量権の範囲を超え又は濫用となると認められるときに当たるといえないとされた事例


本件訴訟のうち前項の部分は,平成27年6月26日被上告人X2の死亡により終了した。6 本件訴訟のうち被上告人X3の航空機の離着陸等の差止め及び音量規制の請求に関する部分は,平成27年9月7日同被上告人の死亡により終了した。7 訴訟の総費用はこれを5分し,その3を被上告人らの,その余を上告人の負担とする。理 由第1 事案の概要本件は,上告人が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約等に基づきアメリカ合衆国海軍(以下「米海軍」という。)に使用させ,また,海上自衛隊が使用する厚木海軍飛行場の周辺に居住する被上告人らが,同飛行場において離着陸する米海軍及び海上自衛隊の各航空機の発する騒音等により精神的又は身体的被害等を被っていると主張して,上告人に対し,人格権に基づく航空機の離着陸等の差止め及び音量規制を請求するとともに,国家賠償法2条1項に基づく損害賠償等を請求する事案である。

将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものとされた事例