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長崎県諫早湾で行われた干拓事業をめぐる裁判では、排水門の開門を求める漁業者と、開門に反対する干拓地の農業者、それに、国の3者が和解協議を行っていて、国は、開門しない代わりに有明海の漁業環境を改善させるための総額100億円の基金を設ける案を示しています。


17日に長崎地方裁判所で行われた和解協議で、国は基金案について、佐賀県とその漁業団体が受け入れを拒否した一方、長崎、福岡、熊本の3県とその漁業団体が「受け入れる」と回答したと報告しました。そのうえで、基金案に沿った和解協議を継続すべきだと主張しました。


一方、漁業者側の弁護団は、国の案とは逆に、佐賀県の漁業団体の方針を後押しする形で、排水門を開けることを前提に国が基金を設けるべきだとする新たな案を提示しました。この案では、開門して干拓地の農業に影響が出た場合に農業者向けの補償などに基金を活用するべきだとしています。


裁判所は17日の議論を踏まえ、今月23日に開かれる次回の協議で、今後の議論について考え方を示すということです。

漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は「佐賀県と佐賀の漁業団体が受け入れを拒否している以上、国の基金案を実現できないことは明らかであり、裁判所はそれに代わる新しい案での和解協議を進めるべきだ。その観点から言えば、私たちがきょう示した新しい案こそが、いちばん筋道の通った解決策だと考えている」と話していました。

農業者側の山下俊夫弁護団長は「われわれが和解協議の席についたのは開門しないことを前提としていたからで、漁業者側が主張する、開門を前提とする和解協議に応じることは100%ありえず、前提自体が破綻している」と述べました。そのうえで、「有明海の再生を目指すため、漁業者側に基金を前提とした今の和解案を受け入れてほしい」と話しました。

農林水産省農地資源課の横井績課長は「佐賀県と佐賀の漁業団体も基金の必要性を否定しているわけではなく、回答の中には和解協議の場での決定を尊重するという記述もあり、今後の協議で基金案が実現する可能性はあると考えている」と述べました。そのうえで、福岡・長崎・熊本の3県とその漁業団体が基金案を受け入れると回答したことを踏まえ、「これまでの経緯や立場を乗り越えて苦渋の決断をされたと思っている。この機会を逃さず、基金案の具体化による解決を図りたい」と話していました。