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フランス大統領選挙は23日、1回目の投票が行われ、開票作業が続いています。


フランス内務省の発表によりますと、集計率86%の時点で、中道で無所属のマクロン前経済相が772万票余り、極右政党・国民戦線のルペン党首が734万票余り、中道右派共和党のフィヨン元首相が652万票余り、急進左派の左派党のメランション元共同党首が636万票余り、となっています。


フランスの公共放送「フランス2」は、これまでの開票状況や独自の集計結果などから、マクロン氏とルペン氏が来月7日に行われる決選投票に進むことが確実になったと伝えました。


フランスでは伝統的に中道左派中道右派の政党が交互に政権を担ってきましたが、今回の選挙は、既成政党に属さないマクロン氏と極右政党のルペン氏が決選投票に勝ち進む異例の展開となりました。


2人の主張は大きく異なっていて、マクロン氏がEUの枠組みを堅持するとともに合法的な移民は受け入れ続けると主張しているのに対し、ルペン氏は「フランス第1主義」を掲げてEUに批判的な立場で、移民も厳しく規制すると主張しており、決選投票に向け激しい選挙戦が繰り広げられることになります。


ただ、マクロン氏とルペン氏の得票率がいずれも20%台前半にとどまる見通しであることから、今回、ほかの候補に投票した有権者の動向が決選投票の行方を左右することになり、すでに敗北宣言をした共和党のフィヨン元首相と社会党のアモン前教育相は、それぞれの支持者に対してマクロン氏への投票を呼びかけました。

決選投票に進むことが確実になった中道の無所属、マクロン前経済相は、パリ市内の演説会場に姿をあらわし、支持者の間からは大きな歓声が上がっていました。


マクロン前経済相は「これまでの政権とは全く異なる新しい政治を目指したい。それは、活力に満ちて、経済的にも力強く、わが国を守ってくれるヨーロッパを支持するものだ。そのためにあなたたちの支持がさらに必要だ。これから決選投票まで連帯して勝利を目指そう。私は必ず大統領になる」と力強く訴えました。

決選投票に進む見通しが伝えられた国民戦線のルペン党首は、フランス北部の町で23日午後9時ごろ(日本時間の24日午前4時ごろ)、支持者の前に姿をあらわしました。


ルペン党首は「歴史的な結果だ」と支持者に感謝したうえで、「今回の戦いは、工場の移転や不当競争、大勢の移民の流入の原因となっているグローバル化を続けるか、それともわれわれの国境や安全、アイデンティティーを守るため、フランス優先の道を選ぶかの選択だ。既成の2大政党によらない根本的な政権交代が必要で、すべての愛国者たちに結束を呼びかける」と述べました。


支持者たちは国旗を振ったりルペン党首の名前を連呼したりして、決選投票へ進むことへの喜びを表していました。

中道右派共和党のフィヨン元首相は、パリ市内で、敗北を認めたうえで、決選投票では中道で無所属のマクロン前経済相を支持するよう呼びかけました。


この中で、フィヨン元首相はみずからの敗北を認めたうえで、「国民戦線の経済政策は、EU離脱も含め、フランスを破綻に導くものだ」と述べました。


そのうえで、「極端な政策を掲げる国民戦線は国民を不幸にし、亀裂を生み出すだけだ」と述べ、支持者に対し、決選投票ではマクロン前経済相を支持するよう呼びかけました。

敗北が確実になった急進左派、左派党のメランション元共同党首は、来月7日に行われる決選投票については「支持者はみずからの判断で投票すべきだ」と述べました。


メランション元共同党首はパリ市内で支持者を前に演説し、「選挙戦での健闘を誇りに感じ、引き続き団結して運動を続けていこう」と述べました。


そのうえで、マクロン前経済相と国民戦線のルペン党首との間で行われる決選投票については「支持者はみずからの判断で投票すべきだ」として、マクロン氏とルペン氏のどちらを支持するのか明らかにしませんでした。

フランスで行われた大統領選挙の1回目の投票で、与党・社会党のアモン前教育相はパリ市内で記者会見を開き、敗北を認めたうえで、「国民戦線を打破するために、同じ考えではないが、マクロン氏への投票を呼びかける」と述べて、極右政党・国民戦線のルペン党首を当選させないため、決選投票に向けて、中道で無所属のマクロン前経済相を支持すると表明しました。

中道の無所属、マクロン前経済相が決選投票に進んだ背景には、「左派でも右派でもない政治」を掲げ、中道左派の与党・社会党や、公金横領などの疑いで候補が訴追される事態に陥った中道右派の野党・共和党の双方の支持者から、幅広い支援を受けたことがあげられます。


マクロン氏が去年4月に創設した独自の政治運動「前進」は、結成から1年で3000余りの支部を立ち上げ、25万人を超える支持者を集める大きなうねりとなりました。


マクロン氏は、公約で、公務員や議員定数の削減で歳出を減らす一方で、企業への優遇策として法人税や年金など社会保障費の削減し、小規模事業主の失業保険の創設などを訴え、都市部の若者や会社員から多くの支持を得たものとみられます。


また、マクロン氏はEU=ヨーロッパ連合の枠組みを堅持を主張し、EUなどの各国で国境審査なしで移動できる「シェンゲン協定」や単一通貨ユーロを守るとともに、EUの方針に基づいて中東やアフリカからの難民や合法的な手続きで入国した移民は受け入れ続けると主張しました。


こうした訴えから、マクロン氏は現状の政治に不満を持ちながらも、極右政党・国民戦線のルペン党首には反発する多くの有権者の受け皿になったものとみられます。


国民戦線のルペン党首が有権者の多くの支持を集めた背景には、6年前に党首に就任してから、「差別的な極右」という党のイメージの刷新に取り組んできたことがあります。


その結果、以前は国民戦線を敬遠していた有権者や、ルペン党首の就任前の国民戦線を知らない若者などからも、支持を集めるようになりました。


ルペン氏は、自国の利益を最優先にするとの原則を掲げ、移民の受け入れ制限やテロ対策の強化を訴え、中東などから押し寄せる移民や難民に不安を感じる有権者の間で支持を集めてきました。


さらに、国内の産業を保護し、EUからの離脱の是非を問う国民投票の実施すると主張し、EUの下で各国との競争にさらされてきた農家や工場労働者の間でも支持を広げてきました。


事前の世論調査によりますと、国民戦線の支持者に支持の理由をきいたところ、43%が「既存の政党への不満」と答えていて、国民戦線が既存の政治に対する不満の受け皿となっていることがうかがえます。


ルペン党首は選挙戦終盤になって支持が伸び悩みましたが、投票日直前にパリ中心部で警察官が殺傷される事件が起きたことから、治安対策を前面に打ち出してきたルペン氏に追い風になる可能性も指摘されていました。

中道右派共和党のフィヨン元首相が敗れた最大の原因は、家族の公金不正受給疑惑です。


フィヨン氏は去年11月、共和党の統一候補を決める予備選挙サルコジ前大統領などを抑えて勝利し、当初は「大統領に最も近い候補」と言われていました。


ところが、ことし1月、議員時代に妻や子どもが勤務実態がないのに秘書などとして総額1億円を超える給与を不正に受け取っていたとする疑惑が報じられると支持率が急落、ルペン氏やマクロン氏の後じんを拝する形となりました。


妻の名前とアメリカでニクソン元大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件をかけ合わせて「ペネロプ・ゲート」と呼ばれる疑惑に対して、一貫して身の潔白を主張していましたが、先月、司法当局から公金横領などの疑いで訴追されたあとも選挙戦を続けたことで、党内からも批判が上がっていました。


とりわけフィヨン氏は清廉潔白なイメージを強調してきただけに、スキャンダルの打撃は大きく、信頼を取り戻すことはできませんでした。


共和党は5年ぶりの政権奪還の可能性を失ったことになり、6月に予定されている議会選挙に向けて戦略の見直しを迫られそうです。


メランション氏は、今月に入ってから急速に支持を広げ、ほかの有力候補を猛追してきましたが及びませんでした。


メランション氏は「不服従のフランス」というスローガンの下、EUが求めている公共サービスの自由化や民営化を阻止し、厳しい財政規律にも従わないなどと訴え、EUとの交渉次第では離脱も辞さない姿勢を打ち出しました。


また、経済政策として総額で30兆円を超える景気刺激策を行い、最低賃金を大幅に引き上げることなどを公約に掲げたほか、環境保護も重視して国の総発電量の70%以上を賄っている原発を全廃し、2050年までにすべての発電を再生可能エネルギーで賄うと主張しました。


こうした主張は、従来の支持層の労働者に加え、若い世代や既成政治に不満を持つ有権者などから一定の支持は集めましたが、主張が極端だとして実現性を疑問視する声も多く、幅広い有権者には浸透しませんでした。


また、EUに批判的な姿勢をとったことも、極右政党のルペン党首とともに多くの有権者から警戒され、支持が広がらなかったとも見られています。