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フランスの大統領選挙は10日投票が行われ、日本時間の11日午前3時からすべての開票所で開票が行われています。

フランスの公共放送「フランス2」は日本時間の午前6時時点での開票状況や独自の集計結果などから、
▽中道で現職のマクロン大統領がおよそ28%、
▽極右政党のルペン前党首がおよそ23%を得票する見通しで、
今月24日に2人による決選投票が行われることが確実になったと伝えました。

マクロン大統領とルペン候補がそろって決選投票に進むのは、前回・5年前の選挙に続いて2回目です。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、マクロン大統領は外交的な解決に力を注ぐとともに、ロシアに対する制裁の議論も主導し、支持を集めました。

一方で、燃料価格をはじめとする物価が高騰する中、地方の低所得者層などを支持基盤とするルペン候補が、経済対策や生活水準の向上を掲げ終盤になり急速に支持を伸ばし、マクロン大統領との差を縮めてきました。

1回目の投票を受けて、敗退した共和党のペクレス氏などが早々とマクロン候補への支持を表明したのに対し、もうひとりの極右の候補だったゼムール氏はルペン候補への投票を呼びかけました。

今回の選挙はウクライナ情勢を色濃く反映したものとなり、2週間後の決選投票に向けて、安全保障のあり方や対ロシア制裁の影響が広がる経済への対応などをめぐって、激しい論戦が繰り広げられるものと見られます。

フランスの内務省の発表によりますと、10日に行われた大統領選挙は開票率85%の段階で、各候補の得票率は以下のとおりとなっています。

▽中道「共和国前進マクロン大統領27.40%
▽極右政党「国民連合」 ルペン前党首25.05%
▽急進左派「不服従のフランス」 メランション下院議員20.37%
▽極右の評論家、ゼムール氏6.95%
▽最大野党の右派「共和党」 ペクレス氏4.75%

決選投票へ進むことが確実になったという報道を受け、マクロン大統領は日本時間の午前5時前から支持者を前に演説しました。

この中でマクロン大統領は「私を支持してくれたすべての有権者に感謝する。あなたたちが私を信頼してくれたおかげだ」と支持者に感謝しました。

また決選投票で極右のルペン候補と再び争う見通しとなったことについて「必ずしも私の公約に賛成していなくても、極右の台頭を阻むために私に投票する人々にも敬意を表したい」と述べ、幅広い有権者に支持を呼びかけました。

さらにマクロン大統領は「強いヨーロッパの中にあるフランス、偉大な民主主義国家とともに歩むフランスを目指す」と述べ、引き続きEUヨーロッパ連合の中で指導力を発揮していくという考えを示しました。

決選投票へ進むことが確実になったという報道を受け、ルペン候補は日本時間の11日未明、支持者を前に演説しました。

この中でルペン候補は「今回の結果に、国民が1つになって立ち上がろうとする希望を感じている。私はすべてのフランス人の大統領になる」と述べました。そのうえで「民主主義と経済、そして社会を正しい方向へ導く」として、物価対策を含めた生活重視の政策を推し進める考えを強調しました。

また、「フランスの主権とフランス人がみずから決定する自由を取り戻す」と述べ、EUヨーロッパ連合などとは一定の距離をとっていく姿勢を改めて示しました。そして24日の決選投票に向けて「左派も右派も、それ以外もすべてのフランス人に訴える。この連合に参加しよう。皆さんの情熱と信念で、勝利できる」と述べ、党派を超えた幅広い支持を呼びかけました。

現職の中道、エマニュエル・マクロン氏はフランス北部の町、アミアン出身の44歳。多くの大統領を輩出したフランス国立行政学院を卒業し、政府機関から投資銀行に転身しました。

社会党のオランド前政権で2年間、経済相を務め、2015年には経済活性化のため、「マクロン法」とも呼ばれる法律を可決させ、商業施設の日曜や夜間営業の拡大や長距離バス路線の自由化など、大規模な規制緩和を行いました。

前回2017年の選挙では「左派でも右派でもない政治を目指す」として立候補。決選投票で極右政党のルペン氏をやぶって、史上最年少の39歳で当選しました。

それまで政権を担当してきた右派の共和党と左派の社会党の2大政党の候補者は、決選投票にも進むことができず、さらに2か月後に行われた国民議会選挙でもマクロン大統領の政党「共和国前進」が圧勝し、フランス政治の伝統的な構図に大きな変革をもたらしました。

極右政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン前党首はパリ近郊のヌイイシュルセーヌ出身の53歳。2002年の大統領選挙の決選投票でシラク大統領と争った父親のジャンマリ―・ルペン氏から極右政党を引き継ぎ、前々回2012年、前回2017年と立候補し、前回は決選投票に進んでマクロン大統領と争いました。

かつては「反移民」「反イスラム」を掲げていましたが、前回、決選投票でマクロン大統領に敗北したことを教訓に、過激な言動を控え「脱悪魔化」とも言われる穏健化路線を進めて、支持の拡大を図ってきました。

ルペン候補は「私たちが愛するフランス」を選挙戦のスローガンに据え、不法移民の国外追放やこれまで両親の国籍を問わず、国内で生まれた子どもに自動的に国籍を与えてきた従来の制度の廃止などを公約に掲げています。

また、ウクライナ情勢を受けて燃料価格が高騰し、各地で運送業者による抗議行動も起きるなか、ガスや電気、ガソリンなどの付加価値税を現在の20%から5.5%に下げると主張し、不安を抱く有権者の受け皿となり支持を集めています。

今回の投票で3位となる見通しの急進左派のメランション下院議員は、パリ市内で演説し「残念な結果になったが、ここまで成し遂げられたことを誇りに思う」と支持者に謝意を示しました。

そのうえで決選投票に向けて「国のために何をすべきなのか、皆さんは分かっているはずだ。私たちは民主主義への信頼を決して失わない。そのためにルペン候補には1票たりとも投票してはいけない」と強い調子で述べ、ルペン候補を支持しないよう呼びかけました。

反移民を訴えて支持を集めた極右の評論家、ゼムール氏はパリ市内で支持者を前に演説し、「今回の選挙運動と力と経験を勝ち取った」と支援に感謝しました。

そのうえで「マクロン大統領は多くの移民を受け入れてきたが、選挙期間中、移民や治安対策についてひと言も語らなかった。彼が再選されれば状況はより悪化するだろう。だからこそ私はルペン候補への投票を呼びかける」と述べ、決選投票でルペン候補に投票するよう呼びかけました。

今回の投票で敗退した最大野党の右派、共和党のペクレス氏は、パリ市内で支持者を前に演説し、支援に感謝したうえで決選投票への対応について「ルペン候補が大統領に選ばれることは、ヨーロッパや国際社会からフランスが消え去ることを意味する。ルペン候補の政権獲得とそれに伴う混乱を防ぐために、私はマクロン大統領に投票する。私と違う選択をする場合、わが国に悲惨な結果をもたらす可能性があることを真剣に考えてほしい」と述べ、マクロン大統領への投票を呼びかけました。

【今回の結果はフランスでどう受け止められている?】

(藤井記者)

大統領選挙の1年前からささやかれてきた構図で「やはりこうなったか」という受け止め。

今回の選挙はマクロン大統領の5年間の実績を問う選挙でもある。新型コロナウイルスで経済に打撃を受けながらも、失業率を低い水準に抑えたことや、ウクライナ情勢をめぐってEUヨーロッパ連合の議長国としてリーダーシップを発揮したことが、一定の評価を受けたとみられる。

一方、ルペン候補は選挙戦を通じてあからさまな移民排斥などの過激な発言を控え、EUからの離脱というかつての主張も転換して、「脱悪魔化」と言われる穏健化路線を進めてきた。
さらにウクライナ情勢を受け燃料価格をはじめとした物価が高騰していることへの対策を速やかに打ちだし、低所得者層を中心に支持を広げたとみられる。

【決選投票までの2週間、ウクライナ情勢はどう影響する?】

(藤井記者)
ウクライナ情勢の緊張を前に、マクロン大統領は外交的な解決を呼びかけながら、EU議長国としてロシアへの制裁強化の議論も主導してきた。また、欧米の軍事同盟であるNATO北大西洋条約機構を重視し、フランス軍の部隊をウクライナ周辺の加盟国に派遣している。決選投票に向けても引き続き有事の指導者として姿勢をアピールするものとみられる。

これに対してルペン候補は、ロシアへの制裁によって経済に打撃が広がっていると政府の対策を批判。NATOをめぐっても「他国の戦争に巻き込まれる必要はない」として軍事部門からの離脱を訴えている。今後ウクライナの危機が長期化し、物価上昇に拍車がかかったり、フランスにさらに重い負担がかかる事態になったりすれば、ルペン候補への支持が高まる可能性もある。

今後のウクライナ情勢の展開と政府の対応が、決選投票の行方も大きく左右することになりそうだ。

マクロン大統領の支持者が集まったパリの会場では、大統領がルペン候補に差をつけてトップで決選投票に進むという見通しが伝えられると、支持者から大きな歓声があがりました。

30代の女性は「大統領には経験があり、政策の一貫性がある。新型コロナウイルス対策でその力を示し、ウクライナの有事でもその力を発揮している」と、この5年間の実績を評価したいと話していました。

また30代の男性は「マクロン大統領はウクライナの問題でも正しい役割を果たしている。好戦的なロシアからヨーロッパの価値を守り、強いヨーロッパのために力を尽くしている」と、決選投票での勝利に強い期待を示していました。

これまで何度もルペン氏に投票してきたという53歳の女性は、「ルペン氏が決選投票に進んで喜んでいます。私たちは悲惨な経済危機の瀬戸際にいて、ロシアへの経済制裁は何の役にも立たないし、ウクライナの戦争も私たちには関係がない。フランスの国益を第一に考えないといけない」と話し、フランスの利益のためにロシアへの強硬な姿勢は避けるべきだと訴えていました。

また31歳の公務員の男性は、前回の大統領選挙で白票を投じたものの、今回はルペン氏に投票したとしたうえで「マクロン候補は富裕層の大統領というだけでなく、とてもグローバル志向が強い。フランスは国内の産業を十分保護できておらず、かつてのような産業力を取り戻したいです。私はEUを支持していますが、国家の自立性は保つべきだと思います」と話し、過度なグローバル化には歯止めをかけるべきだと訴えていました。

また、73歳の女性は「欧米はウクライナに武器や資金を支援し、それがウクライナの抵抗につながっていますが、もしこうした支援をしていなければ、ウクライナの『中立化』に向けた交渉ももっと進んでいたはずで、ルペン氏ならそうしたと思います」と話し、フランスは他国への介入を避けるべきだという考えを示していました。

www.resultats-elections.interieur.gouv.fr

フランス大統領選挙の第1回投票が10日に行われ、現職でマクロン大統領と、極右政党「国民連合(RN)」のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に進む見通しとなった。中道のマクロン氏が24日の決選投票でルペン氏を制して再選を目指そうとするなら、地に足の着いた選挙戦をもっと強化するしかない。ルペン氏の穏健化によって、これまでの有権者の「極右アレルギー」をもはや当てにできないからだ。

第1回投票でマクロン氏の最終得票率は28%になるとみられ、2017年の前回選挙より改善している。しかし、各種世論調査によると、決選投票でマクロン氏はルペン氏に勝利するとしても僅差の戦いになる。

これまでフランスの選挙は全国レベルでも地方レベルでも、左右両派の有権者が一致団結して極右が政権の座に就くのを阻止する「共和国統一戦線」と呼ぶべき運動が生じてきた。今回も、右派の共和党や左派の社会党を含め、第1回投票で敗退が見込まれる主要候補は軒並み、決選投票でマクロン氏を応援すると表明した。

とはいえ、彼らの支持者が言うことを聞くかどうかは分からない。さらに各候補の予想得票率はいずれも1桁台とあまりに低調なので、支持層の動向はあまり重視されないかもしれない。

市場調査会社イプソス・フランスの調査責任者マチュー・ギャラール氏は「政治家の間では共和国統一戦線が動き出しつつある。有権者がそれに従うかどうかはまだ不透明だ」と述べた。仏世論研究所(Ifop)の出口調査から予想されるマクロン氏の決選投票の得票率は51%にとどまっており、確かに共和国統一戦線のほころびがあらわになりつつある。

マクロン氏再選のハードルが高くなっている状況は、ルペン氏側の変化からも見て取れる。ルペン氏は以前に掲げていたより好戦的な反移民、反欧州連合(EU)の旗をほぼ降ろし、生活費上昇問題の取り組みに重点を移している。この結果、Ifopが3月に実施した別の調査によると、ルペン氏を「恐ろしい」と考える国民は半分弱に減少した。

ルペン氏は10日の演説で、「分断された」国民を団結させ、マクロン氏がもたらした「混乱」に終止符を打つのは自分だとアピールした。ルペン氏によれば、銀行出身のマクロン氏は「金の力」を体現する政治家で、ごく少数の人々のために奉仕してきたという。

<読めない左派票の行方>

マクロン氏側は、左派有権者も取り込むことができない。予想得票率3位で極左「不屈のフランス」を率いるジャン・リュク・メランション氏は、有権者らにルペン氏には票を入れないよう求めたものの、マクロン氏支持は明言しなかった。まりメランション氏が獲得しそうな21%の有権者票が決選投票でどこに向かうか予断を許さない。世論調査からは、多くが棄権に回る可能性がうかがえる。

メランション氏の選対本部に詰めていたある女性有権者(27)はロイターに「マクロン氏の政策が極右の勢力を強めた」と言い切った。この女性は17年にはマクロン氏に投票、今回の決選投票は棄権するつもりだという。

別のメランション氏支持者の音楽プロデューサー(36)はなお迷っている様子で「この2週間の推移を見守る。もし世論調査で(マクロン氏が)49対51で劣勢なら、その時点でマクロン氏に投票する」と答えた。

マクロン氏の支持者や選対関係者は、ルペン氏を倒すには有権者のところにもっと足を運んで支持を訴える活動をする必要があるとの見方を示した。ルペン氏が国民の間に広がった生活費増大に対する怒りや、根強い反エリート感情にうまく乗じて支持を伸ばしてきたからだ。

マクロン氏自身も、ウクライナ問題への対応に追われて選挙活動に入るのが遅すぎたと認めている。元駐米大使のジェラール・アロー氏はツイッターに「決選投票では、マクロン氏は第1回投票よりもいささか(選挙戦に)本腰を入れる必要が出てくる」と書き込んだ。

10日に投票が行われたフランスの大統領選挙は、開票率97%の時点で、中道のマクロン大統領が27.60%、極右政党のルペン前党首が23.41%、それぞれ得票し、今月24日の決選投票に臨むことになりました。

2人が決選投票で争うのは、前回=2017年の選挙に続いて2回目です。

今回の選挙は、緊張が続くウクライナ情勢を色濃く反映したものとなり、マクロン大統領が外交や安全保障政策で指導力をアピールしているのに対し、ルペン候補はロシアに対する制裁が強まる中、物価が高騰しているのに政府が十分対応していないと批判しています。

選挙から一夜が明けた11日、フランスの新聞各紙は2人の顔写真を一面に掲載し、右派系のフィガロは「マクロンとルペン、新たな決闘」、左派系のリベラシオンは「今度は本当に危険だ」という見出しをとり、いずれも前回より厳しい争いになるという見方を伝えています。

ウクライナ情勢の緊張が続く中、決選投票に向けて2人の候補の間で安全保障や経済対策などをめぐり激しい論戦が繰り広げられるものとみられます。

投票から一夜明けたフランスの首都パリでは、市民からさまざまな声が聞かれました。

共和党のペクレス候補に投票したという19歳の男子学生は「マクロン大統領の5年間にはがっかりしています。マクロン支持者でも極右支持者でもなく、決選投票に向けてはまだ決めていませんが、白票を投じるかルペン候補に投票するしかありません」と述べました。

43歳の会社員の女性は「個人的には現職のマクロン大統領が再選されてほしいです。この5年間、新型コロナやウクライナ危機、経済の問題まで、とても難しい課題が相次ぎ、こうした問題は今後も続くと思います。困難な時期を乗り越えるため国民を導いてくれる大統領であってほしい」と話していました。

61歳の公務員の女性は、投票率が前回よりおよそ3ポイント下回ったことについて「多くの有権者が投票に行かなかったことに落胆しています。決選投票では皆が投票に行き、誰が大統領になるべきか選択しなければなりません」と話していました。

フランスの大統領選挙の1回目の投票で現職のマクロン大統領が首位に立ったことについて、フランス政治に詳しいパリ大学講師のバンジャマン・モレル氏は、危機に直面した際に国民が指導者のもとに結束する「旗の効果」といわれる傾向があると分析しています。

そのうえでモレル氏は、今月24日に行われる決選投票について「マクロン大統領が、1回目の投票で共和党のペクレス氏に投票したような有権者も取り込むなど、今後も『旗の効果』が続くことはありうる」と述べ、ウクライナ情勢を受け、マクロン大統領に有利な状況が続く可能性があると指摘しました。

またルペン候補が、前回、5年前の1回目を上回る票を得た背景については、過激な言動を控え「脱悪魔化」ともいわれる穏健化路線に転じたことで、左派の一部の有権者も含めより幅広い層から支持を得られるようになったという見方を示しました。

5年前の決選投票ではマクロン大統領が66.10%を得票し、ルペン候補を大きく引き離しましたが、今回の決選投票については「ルペン候補は物価対策などで左派の有権者の信頼も得ることができた。当選も不可能なシナリオではない」と指摘しました。

そのうえでモレル氏は、1回目の投票で敗退した急進左派のメランション氏や共和党のペクレス氏に投票した有権者をどちらの候補が取り込むかが勝敗のカギを握るという見方を示しました。

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