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私の父の出光佐三は、戦後、日本の石油元売各社が、国際石油資本の傘下に入る中、出光興産が民族資本の石油元売会社であることにこだわり続けました。

出光興産は、その理念こそが強みであります。出光興産がここまで成長することができたのは、経営陣・社員・販売店が理念を共有し、一体となって事業を行うことができたからです。


そして、出光興産の理念に社会から共感、評価を得られたことが、消費者の皆様からの出光興産の支持につながっていると考えています。


これを失ってしまっては、出光興産が社会から評価される会社であり続けることは難しく、他の会社との差別化を図ることもできないと考えるわけです。


今般、石油市場の縮小への対応が、経営統合の理由とされているようですが、だからといって、出光興産が理念を捨て、自己否定をしてしまうと、取り返しのつかない損失が発生すると考える次第です。

私が昭和シェル石油との経営統合に反対する理由は、鶴間弁護士から会社に伝えてもらっているように、大きく3つあります。


第一に、出光興産と昭和シェル石油の体質・社風の違いです。民族資本の会社として独自の理念を大事にして事業を行ってきた出光興産と、国際石油資本の一つであるシェルの傘下で事業を行ってきた昭和シェル石油は、その体質や社風が大きく異なっており、両社を融和させるのには非常に大きなエネルギーを要します。


そのことを考えると、経営統合をしたとしても、実際に成果を上げることは極めて困難です。また、経営統合によって実際に出光興産にメリットがあるのか不明ですから、経営統合にエネルギーを割くのではなく、出光興産がその理念を守り続ける形での事業を模索すべきです。


第二に、経営統合によってサウジアラムコからの出資を受けることになる点です。石油利権を握る国際石油資本と一線を画してきた出光興産の歴史的意義を没却することになります。


このことは、先に述べたような出光興産の強みを失わせるものであって、大きな損失をもたらすものと考えます。


第三に、経営統合は生産者間の競争を減らすために行われるものであると考えられます。出光興産は、これまで消費者本位、すなわち、消費者の利益を第一に考えて事業を行い、また、事業を通じて社会に貢献することを目指してきたはずです。


にもかかわらず、自社の利益を守るために、生産者間の競争を減らし、石油製品の価格を高止まりさせようとしているのは、大変残念ですし、消費者の理解を得られるものではないはずです。

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