https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


路線価は全国の主な道路に面したおよそ33万3000地点について、1平方メートル当たりの評価額を国税庁が1月1日の時点で算定したもので、相続税贈与税を計算する基準になります。


ことしの路線価が3日公表され、東京の銀座5丁目の銀座中央通りが4032万円で、32年連続で日本一となりました。これはバブル期の影響を受けた平成4年の3650万円を大きく上回る過去最高額で、東京オリンピックパラリンピックに向けた再開発事業などを背景に、去年より26%も上昇しました。


また、外国人旅行者の増加でホテルの建設などが進む大都市圏やリゾート地などでも上昇が目立ち、13の都道府県で去年を上回り、全国の平均も去年より0.4%上がって2年連続の上昇となりました。


一方、去年4月に起きた熊本地震の影響は、ことしの路線価で初めて反映されました。震度7の揺れを2度観測し、被害が大きかった益城町では復旧に相当な時間を要すると判断されて、去年から20%を超えて下がった地点があり、県全体の平均でも2年ぶりに下落に転じました。

3大都市圏では、交通アクセスがよいターミナル駅の周辺で路線価が上昇しました。大阪で最も路線価が高かったのは、JR大阪駅そばの阪急百貨店前の御堂筋で、1176万円と去年を15.7%上回りました。また、名古屋ではJR名古屋駅前の名駅通りが880万円と最も高く、前の年を4.8%上回りました。


都道府県別の平均を見ると、13の都道府県で去年より上昇しました。最も上昇率が高かったのは宮城で3.7%上がりました。地元の不動産鑑定士などによりますと、仙台市の中心部でオフィスの不動産投資が活発なことや、仙台市の周辺自治体で、人口増に伴って住宅需要の高まっていることを反映したと見られるということです。
次いで、オリンピック・パラリンピックを控え、再開発事業が続く東京と、去年、10のホテルが開業するなど観光客が増加している沖縄が3.2%の上昇となりました。


一方、32の県では去年を下回りました。秋田は2.7%下がり、4年連続で下落率が全国で最も大きくなりました。地元の不動産鑑定士は「人口減少や県内経済の回復の遅れに伴う店舗の減少や、住宅需要の低迷によって、JR秋田駅周辺など一部のエリアを除いて、土地の価格が下落している」と分析しています。


また、上昇から下落に転じたのは熊本だけで、去年4月の熊本地震の影響が反映されたことが要因と見られています。

バブル期も超えて過去最高額となった東京、銀座は例年、全国で最も路線価が高い地点として知られている「鳩居堂」前に加え、向かい側の去年、開業した商業施設「銀座プレイス」前、さらに近接する老舗百貨店の「三越銀座店」前と「和光本館」前の4つの地点が同額の1位となりました。その額は1平方メートル当たり4032万円でした。


バブル期の影響を受けて、これまでで最も高かった平成4年の3650万円を大きく上回りました。この価格は、はがき1枚分にすると59万7000円に当たります。


銀座では外国人観光客によるインバウンド消費を追い風にして、免税店やドラッグストア、それにユニクロやH&Mなど、若者に人気のファストファッションの店が次々と出店しています。


ことし3月には「プランタン銀座」が「マロニエゲート銀座2&3」にリニューアルしたほか、4月にはブランド店やレストランなど241のテナントが入ったエリアで最大級の商業施設「GINZA SIX」がオープンするなど、再開発が進み、多くの観光客でにぎわっています。


ドバイから訪れたという女性は「銀座はショッピングにカフェにと、とても魅力的で、世界的なブランド店も多くあるので地価が上昇するのも納得です」と話していました。

2020年の東京オリンピックパラリンピックを前に再開発が進む地域では、路線価が大きく上昇しました。


都内では東京駅や渋谷駅の周辺などで大規模な再開発事業が進められていて、地下鉄の新しい駅の設置が予定されている東京、港区の虎ノ門エリアでは去年に比べて10%から15%の上昇が見られました。


虎ノ門は中央省庁が並ぶ霞が関に近く、各国の大使館や外資系企業なども多く、国際的なビジネスの拠点として注目が集まっています。


東京、港区の大手デベロッパーも、このエリアで1万6200平方メートルの敷地に地上38階、高さ180メートルの高層タワーの建設を進めています。オリンピック前に完成する予定で、オフィスに加えて外国人に対応した医療施設やホテル、中長期型の滞在用のサービスアパートメントが入るということです。


開発を手がける「森トラスト」の伊達美和子社長は「戦後の高度成長、バブル時期を超えて、第2の変革期が来たのが虎ノ門だと思い、大型開発を進めています。オリンピックは東京を世界中にプロモーションする最大のチャンスで、われわれの施設が東京のブランド力の向上に協力できたらと思っています」と話しています。

都市部の路線価は商業地で急激な上昇が見られる中、住宅価格の先行指標とされる中古マンションの価格動向には変化の兆しが見えています。


不動産データ会社「東京カンテイ」によりますと、中央区や港区など都心の6つの区では標準的な70平方メートルの中古マンション価格は平成24年10月に5099万円から上がり続け、去年12月には7310万円に達し、4年余りで40%を超える上昇となりました。


しかし、その後、直近の半年間は上がったり、下がったりしながら0.5%ほどの変動率で推移しています。こうした地域では、これまでは中古価格が上がっても売れていたのに、最近は買い手がなかなか見つからず、値引き交渉が行われるケースが増えているということです。


一方、東京都心と同じように、ここ数年、値上がりが続いていた大阪市中央区や北区など6つの区では去年7月の3864万円をピークに緩やかな下落傾向が続いています。


首都圏で中古マンションを販売している不動産会社の担当者は「東京湾岸部では新築のタワーマンションの価格高騰に需要が追いつかず、空室が目立ち始めている。その影響で、中古マンションの価格も弱含んでいて、全体的に価格の上昇幅が縮小し、値下げせざるをえない物件も出てきている」と話しています。

銀座をはじめ東京の都心部で路線価の上昇が目立ったことについて、不動産調査会社「東京カンテイ」の高橋雅之主任研究員は「全国の平均は上昇したが、都市圏や観光客が増えたエリア以外の地方圏は下げ止まっていない。今回は東京に一極集中という印象を抱く。都市部での地価上昇は外国人観光客の増加やマイナス金利の導入によって、商業施設や宿泊施設の開発が相次いだことが要因と見られ、外国人が集まる銀座やビジネス拠点として変貌を遂げる虎ノ門エリアなどは今後さらに地価の上昇が見込まれる」と分析しています。

#経済統計