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ISのイラク最大の拠点だった北部のモスルでは、イラク軍などが去年10月から奪還作戦を始め、9か月近くたった今月9日、イラクのアバディ首相が現地を訪問して、モスルを解放したと表明しました。


10日にはイラク軍がモスルの旧市街の一部に立てこもっていたISの残党の掃討を終え、これを受けてアバディ首相が勝利演説を行いました。この中でアバディ首相は「団結によって勝利を成し遂げた」とたたえたうえで、避難民の帰還やモスルの復興といった課題も同じように団結して進めていかなければならないと訴えました。


イラクには中央政府を主導する多数派のイスラムシーア派スンニ派クルド人という主要な3つの勢力があり、モスルの奪還作戦は協力して進められました。しかし、北部にあるクルド自治政府イラクからの独立の賛否を問う住民投票をことし9月に実施すると発表したり、モスルのスンニ派住民が自治権を求めて声を上げたりと、ここにきて民族間や宗派間の対立が懸念されています。


アバディ首相が団結を強調した背景には、モスルの復興やIS対策の継続という山積した課題を前に国内の対立を抑えたいという狙いがあると見られます。


イラク軍などは、去年10月から過激派組織ISのイラク最大の拠点、モスルの奪還作戦を進めてきましたが、イラクのアバディ首相は今月9日、モスルを解放したと表明したのに続いて、10日には勝利演説を行いました。


これを受けて、これまで奪還作戦を支援してきたアメリカのトランプ大統領は10日、モスルの解放を歓迎する声明を出しました。声明では、「ISが大きな脅威となってからの何年間かよりも、この6か月間でよりめざましい進展を遂げた」として、ISの脅威が拡大したことを受け、空爆など軍事作戦に乗り出したオバマ政権下よりも、みずからが大統領に就任したことし1月以降の作戦の進展が大きかったと主張しています。


ISの壊滅を最優先課題の1つに掲げるトランプ大統領としては、ISの拠点に対する空爆を強化するなどした成果だと強調する狙いがあると見られます。


ただISは、今後もイラクやシリアでゲリラ的に攻撃を繰り返したり、世界各地での報復テロを呼びかけたりすることが予想され、その壊滅は程遠いのが実情です。