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PKO部隊の日報をめぐる問題で特別防衛監察の結果について公表を行っている稲田防衛大臣は、会見の冒頭で、「特別防衛監察の結果が防衛監察から報告され、防衛省自衛隊にとって大変厳しい、反省すべき結果が示されました。極めて遺憾です」と述べました。


続いて、今回の特別防衛監察で認定された事実について説明を行っていて、この中では、去年7月と10月に行われた情報開示請求に対し、陸上自衛隊の司令部などは、存在している日報を開示していなかったとし、いずれも情報公開法の開示義務違反につながるものであり、自衛隊法の職務遂行義務違反にあたるとしています。


日報の消去指示も違反行為


稲田防衛大臣は、情報公開請求を受けたあとに陸上幕僚監部が日報の消去を指示していたことも明らかになったとし、これについても情報公開法の開示義務違反につながり、自衛隊法の職務遂行義務違反にあたるとしています。


このほかにも、日報を発見したあとにも大臣への報告が遅れたことや、対外的な説明など不適切な対応が取られたことなどを指摘し、自衛隊法の職務遂行義務違反につながるものだとしています。


「違反行為踏まえ関係者処分」


稲田防衛大臣は、今回の特別防衛監察で情報公開請求に対する違反行為などがあったことを踏まえ、「関係者を厳重に処分することとしました。具体的には、事務次官のほか3名を停職に、陸上幕僚長を減給処分としました」と述べました。


「大臣報告否定できずも了承なし」


稲田防衛大臣は、最大の焦点となっている自身の関与について、「特別防衛監察の結果によれば、日報データの存在は事務次官まで報告されたものの管理状況が不明確であるため、私には報告する必要はない旨の判断が示されたとされております」と述べました。


そのうえで、「報道においては、私自身に日報が陸自に存在するとの報告がなされ、それを非公表とすることを私が了承したというものがありました。私自身、そのような事実はないと否定してきましたが、特別防衛監察においては、日報データの存在について、何らかの発言があった可能性は否定できないものの、書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった。また、私により、公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかったと認定されております」と述べました。


「監察の結果 素直に受け入れる」


稲田防衛大臣は、自身の関与についての結果を公表する中で、「私自身、報告を受けたという認識は今でもなく、私のこれまでの一貫した情報公開への姿勢に照らせば、そうした報告があれば必ず公表するように指導を行ったはずですが、監察の結果を率直に受け入れます」と述べました。


「報告に基づいて国会答弁」


ことし2月13日に稲田防衛大臣に日報のデータが存在するという報告が行われたとするメモが存在すると一部で報道されたことについて、稲田大臣は「そうした資料の真偽についてはわかりませんが、仮に何らかの発言があったとしても、私がそれまでに受けていた『南スーダン派遣施設隊の作成した日報は、上級部隊である中央即応集団司令部に報告され、用済み後破棄されていた』との報告を覆す内容の報告は一切なかったと思います。その時点では、すでに事務次官に対し、しっかりと事実関係を確認するよう指示しておりましたが、その報告があるまでは、それまでに受けていた報告に基づいて国会において答弁していたところです」と述べました。


「重大かつ深刻 給与返納」


特別防衛監察の結果を公表する中で、稲田防衛大臣は「隊員がそれぞれの現場において、24時間365日、懸命に任務を全うしています。こうした状況で、日報をめぐる一連の問題は、単に陸自の情報公開への対応が不適切であったことのみならず、国民の皆様に防衛省自衛隊の情報公開に対する姿勢について疑念を抱かせた。内部からの情報流出を匂わせる報道が相次ぐことにより、防衛省自衛隊のガバナンスについても信頼を損ないかねない印象を与え、結果として、国内外のそれぞれの現場で日々任務をあたる隊員の士気を低下させかねないという点で、極めて重大かつ深刻なものであると考えています。私は防衛省自衛隊を指揮・監督する防衛大臣として、その責任を痛感しているところであり、1か月分の給与を返納することと致しました」と述べました。


今後の対策 日報10年保管し公文書館に移管


稲田防衛大臣は、今回の特別防衛監察の結果を受けて、情報公開と文書管理について、対策を発表しました。


具体的には、南スーダンに派遣された部隊の日報に加えて、今後、海外に派遣される自衛隊の部隊が作成する日報のすべてを、統合幕僚監部の担当部署で一元的に管理し、情報公開請求に対しても一元的に対応するとしています。


さらに、防衛省の行政文書管理規則を改正して日報の保存期間を10年間とし、その後、国立公文書館へ移管するとしています。


事務次官陸上幕僚長が退職」


稲田防衛大臣は、特別防衛監察の結果の公表に合わせて幹部の人事を発表し、「本日の閣議において、黒江防衛事務次官、および、岡部陸上幕僚長の退職を含む、防衛省幹部人事について内閣の承認がなされました」と述べました。


「一連の事実関係解明できた」


稲田防衛大臣は、監察の結果について「特別防衛監察を開始してから4か月、徹底的な調査がなされた。私に対しても、もちろん報道を受けて聴取が行われた。さまざまな関係者の聞き取りなどによって一連の事実関係については解明ができたと考えている」と述べました。


監察に対し「包み隠さず話した」


稲田防衛大臣は、自身の関与に対する監察への対応について、「私に対する聞き取りは1時間だったが、認識については包み隠さず話しました。特別防衛監察では、書面を用いた報告がなされたという事実などはないと認定されていて、さまざまな証言や資料をもとに防衛監察が認定したと思っています」と述べました。


防衛省関係者によりますと、陸上自衛隊は、稲田防衛大臣に2回にわたって日報が保管されていたことを伝えたと特別防衛監察に報告したということです。


1回目は2月13日で、陸上自衛隊ナンバー2の湯浅陸上幕僚副長が稲田大臣に日報の保管について報告したということです。2回目は2月15日で、稲田大臣や黒江事務次官、岡部陸上幕僚長など最高幹部が出席した会議が開かれ、日報の保管が改めて伝えられたということです。


防衛監察本部によりますと、この2回の会議で稲田大臣に日報の保管が伝えられたと、複数の幹部が証言したということです。


一方、大臣や別の幹部はこれを否定し、証言が食い違っていて、防衛監察本部ではどちらが正確なのか解明できなかったとしています。


結局、防衛監察本部は「幹部から日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できないものの、書面による報告や稲田大臣が公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承を行った事実はなかった」と結論づけました。


この監察結果について、稲田大臣は28日の記者会見で、「報告を受けたという認識は今でもなく、私のこれまでの一貫した情報公開への姿勢に照らせば、そうした報告があれば、必ず公表するように指導を行ったはずだが、監察の結果を率直に受け入れます」と述べました。


また、稲田大臣は28日、安倍総理大臣に辞表を提出したことに関連して、「かねてより私の辞任に関する気持ちをお伝えしていた」と述べ、以前から辞任の意向について相談していたことを明らかにしました。


これに関連して、記者から日報の問題についても安倍総理大臣に報告していたのかという質問が出されたのに対して、稲田大臣は「日報に関する事実関係について報告をしたことはない」と述べました。


安倍総理大臣は今月24日の衆議院予算委員会で、陸上自衛隊に日報が保管されていたことについて、「報告を受けたことは全く無い」と述べています。

今回の特別防衛監察の結果について、企業などが設けた第三者委員会を評価する取り組みを行っている久保利英明弁護士は、「稲田防衛大臣が日報の保管について報告を受けていたかどうかについて、『何らかの発言があった可能性は否定できない』としておきながら、関与した事実はなかったと言い切るのは、本当にこれが正しいのだろうかという疑問が出てくる。事務次官らの幹部の処分を求めるなど一生懸命取り組んだのだろうとは思うが、行政組織がそのトップの大臣について監察を行うのはそもそも難しい」と指摘したうえで、「国会で第三者による調査委員会を作るなど、しっかりとチェックするための独立した組織が必要だ」と述べました。

今回の問題を受けて、稲田防衛大臣が辞任するのをはじめ、事務次官陸上幕僚長という組織のトップが退職する極めて異例の事態となり、省内や現場の部隊では、立て直しを急がなくてはいけないという声が相次いでいます。


防衛省幹部の1人は「稲田大臣が組閣を待たずに辞任したのは、事務次官陸上幕僚長が辞任することが最終的なきっかけになったのではないか。日報問題の対応をめぐり、事務方を中心に、『大臣を守らないと』というある種のそんたくのようなことが積み重なり、防衛省内のさまざまなバランスが失われた結果が、今回の事態だと思う。安全保障環境が厳しい中で、本来業務にしっかりと臨まなければいけないので、省内の連携を改めて図って職務に取り組んでいきたい」と話していました。


また、自衛隊幹部の1人は「日報の取り扱いについて政治の状況などいろいろな背景が影響したのかもしれないが、日報は現場の生の情報を報告するためのもので、部隊の運用や教訓を検討するためにも極めて重要なものだ。『雨降って地固まる』ではないが、今回の問題で部隊に不安が生じないよう立て直さなければならない」と話していました。


南スーダンでのPKO活動に派遣された経験がある陸上自衛隊の隊員は、「国民には現場の実態をありのまま正しく知ってもらいたいと思うし、大臣にはそういった役割を担ってほしいと感じている。早く現場の任務に集中できる環境を整えてほしいと思う」と話していました。

特別防衛監察の結果を受けて、防衛省は再発防止策をとりまとめ、日報について、これまで1年未満としていた保存期間を10年に延長するなどして行政文書の管理を徹底し、国民への説明責任を誠実に果たしていきたいとしています。


PKO部隊の日報はこれまで保存期間が1年未満とされ、用済み後は破棄するとされてきましたが、特別防衛監察では、保存期間があいまいで、管理の状況を把握できていなかったと指摘しました。


これを受けて防衛省は、日報の保存期間を10年に延長するとともに、保存期間が過ぎたあとは国立公文書館に移管して、こうした事案が二度と起こらないようにするとしています。


また、行政文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるという認識が防衛省自衛隊の幹部から担当者に至るまで強く共有されているとは言えないとして意識の向上を図るための教育を徹底するとしています。


このほか、情報公開請求に適切に対応するため、「情報公開査察官」という新たなポストを設け、情報公開請求を受けた担当部署が文書が存在しないとして不開示の決定をした場合に、ほかの関係部署に文書が保管されていないか確認するとしています。


防衛省はこれらの再発防止策を徹底することで、国民への説明責任を誠実に果たしていきたいとしています。


民進党は、蓮舫代表の辞任表明を受けて28日、臨時の執行役員会を開いて新たな代表を選出する代表選挙の日程や方法などを協議しました。


この中で、出席者からは、「安倍政権と対じするため、速やかに代表選挙を行うべきだ」、「国会議員だけでなく、党員やサポーターの意見も反映させる必要がある」などの意見が出されました。


そして、9月上旬までに臨時の党大会を開いて新たな代表を選出できるよう、党員やサポーターも参加する形で代表選挙を行うことで日程調整を進め、来月2日の両院議員総会で正式に日程を決める方針を確認しました。


こうした中、党内では、代表選挙に向けた動きも活発になっていて、枝野元官房長官が、国会内で赤松前衆議院副議長と会談しました。赤松氏は「政策論争の準備を進めるべきだ」と述べ、枝野氏に立候補を促しました。
このあと、枝野氏は、菅元総理大臣をはじめ、民主党時代も含め、代表を経験したベテラン議員らに代表選挙に立候補したいという考えを伝えました。


一方、去年の代表選挙に立候補した前原元外務大臣は、国会内で、みずからが率いるグループの議員と会合を開きました。出席者からは、「代表選挙に立候補する場合は、政策面で明確な対立軸を示すべきだ」といった意見が出されました。

#政界再編#二大政党制